庭の端のテーブルに腰を落ち着ける。
連絡をたまには取るとはいえ、直接顔を合わせるのは久振りのことだった。
「もう、はらぺこ~」
「ははは、親族なんてそんなもんじゃない?
ごちそう目の前に食べられないなんてカワイソー」
「んもう。そのうち翔くんだって!」
ちょっとムキになって行ってみたけれど・・・
「・・・翔くんだって。」
櫻井の家の次期当主になるんだ。
いつか、翔くんは『お嫁さん』をもらって、
一族の長になる。
子供ができて、そして次へとつなぐ。
・・・自分も、そう教えられてきた。
オレは。
いつまで「翔くん大好き」を伝えられるのだろう。
「・・・潤。」
改まったように翔くんがオレの名前を呼んだ。
「次期当主は弟になると思う」
「!なんで?!」
「・・・俺は。なれない」
翔くんがそっと視線を外した。
「もう少し、奏が大きくなったら。
『櫻井の家』は奏にまかせて俺、どっか海外とかにいこうと思ってる」
「・・・どれくらい?」
「・・・ずっと。かな」
「ど、して」
「・・・・・・」
「もう、追いかけさせてもらえないの?」
「・・・・・・」
「オレがしつこくて嫌になった?」
「ちがっ!」
「じゃあ、なんで?」
しばらく経って、翔くんがオレを見た。
睨むような視線だった。
「・・・お前に、関係ない」
***********************
まだ、つづきます