今夜は、オレの姉ちゃんの結婚式だった。
子供のころはそれなりに言い争いをしたり、
普通の姉弟として育ったオレの目にも今日の姉ちゃんの花嫁姿は美しく、
そしてその弟であることを誇らしく感じた。
夜の披露宴は、財界などへのお披露目だ。
ホテルのバンケットルームから庭、プールサイドまですべてを貸し切り、
思い思いに酒とあいさつを交わしていた。
「潤、おめでと」
「翔くん、来てくれたんだ。ありがと」
かっちりとしたスーツに身を包んだ翔くんが足の細いシャンパングラスを持ちながらオレに声をかけてくれた。
「笑美ちゃんきれいだね」
「ありがと、オレもそう思う」
「ははは、シスコン?」
「もー、違うって!」
ざわざわと騒がしい中でふざけるのもよくない。
あらかたの招待客へのあいさつも済ませたし、
昼食も新婦の家族として満足に食べることができなかったから、
少しの間翔くんと抜け出すことにした。
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続きます