翔くんは、本当に食べることが大好きなんだ。
口いっぱいにして、頬袋をパンパンにして。
もぐもぐと一生懸命に口を動かしている姿は
見ているこちらも
「きっと美味しそうなんだな〜」
という気持ちにさせてくれる。
小さい時の俺は好き嫌いも多く、
たくさんのご飯を食べることもできなかったので、
小さくて、
チビで。
同級生の中でもとても「カッコイイ」のグループではなくて。
ジュニアに入った当時も小食で、
それを翔くんがレッスン終わりに
いろんな店に連れて行ってくれたから、
いろんなものをちょっとづつでも
食べることができるようになった。
大きくなって、
人間関係が広がったことによってさらに味覚の幅は広がったけれど、
あの時翔くんにちょっとでもイイから食べてみろ、って言われたから
基本出されたものには手をつけるようになって、
自分の知らなかった味覚の世界が広がった。
離れている間も、貴方が僕の味覚の基本を作ってくれたんだなぁと感謝することがたくさんあって、
「貴方にはどうしたって敵わない」
と心密かに思っていた。
もう一度、貴方の隣に僕がいることを決めた後。
貴方の幸せな顔が見たくて、
僕は料理の腕をふるった。
貴方ができないことで、
僕のできることで幸せな顔になってもらいたくて。
もぐもぐと口を動かしながら
「ウメェ!!」
って翔くんが叫ぶたびに、
貴方が僕の隣にいてくれる限り、
ずっと一生、
貴方の為に美味しいものを作ろうって決めた。