2015/6/22 プロ野球とM&AとIPO② | TakahiroCPAの備忘録

TakahiroCPAの備忘録

京都生まれ京都育ちの公認会計士TakahiroCPAが、会計・財務・税務を中心として日常的に感じたこと(感情の論理)、考えたこと(能率の論理)を備忘録的に綴ります。受験生を応援すると共に、専門家としての日々の修養を積み重ねます。*関係ない話のオンパレードです

3.分析①~M&A編~



私は、ここには俗に言う「PMI (Post-Merger Integration)」問題が、M&Aメリットやシナジー効果を阻害しているのだと考えます。就活を経験した方ならば、訪問する企業一つ一つによってこんなにも雰囲気、組織文化が異なるのか、と感じた経験があるはずです。会計士は仕事で色んなクライアントの元にお邪魔しますが、それぞれの企業の内部環境、業務処理統制、IT環境の構築/運用状況、末端従業員の対応や口調、が大きく異なり、正直仕事がしやすい企業と(相対的に)そうでない企業があると思います。その中である日いきなり、全く組織風土の違う人材がM&Aで入ってきたら、バイサイドも戸惑いますし、セルサイドも本来の力を発揮できないことでしょう。



 広島に関しては、去年までの二年間順位が改善されてきたのは、若いチームの中で個々人の発育と全体最適化が上手く調和してきたからです。マエケン(20代中盤)が投手陣のリーダーであるような元のカープという安定した物質に、いきなりメジャーで長い間実績を上げてきた黒田という異常な化学物質が混入するとどうなるでしょうか。しかも黒田は昨年末からメディアに大きく取り上げられ、「広島」ではなく「黒田」にフォーカスした特番が数多く放送され、元々特集やメディア露出の機会が少なかった広島にとって安定した物質から遠ざかる原因になっていたはずです。



 しかし、PMIは必ずしも未来永劫続く訳ではなく、適切な手続きと適切な組織文化の変革が行われれば、「ニューノーマル(新常態)」として新たな安定した物質に生まれ変わります。DeNAに関しても、グリエルというわがままな性格にも関わらず中畑監督からその実力ゆえ特別扱いされる選手がいなくなったことが、一時的な開放感から(先日弊社の運動会で、部署の2人のトップが不参加だったチームが優勝したように)良好な結果を生み出したのでしょう。しかし、その状態は暫定的なものであり、マリオカートで言うスター状態が終わった頃には実力不足が露呈することになる可能性がある点には注意が必要です(事実、交流戦で本来の実力をまざまざと見せつけられたDeNAは現在三位に転落しています)DeNA然り広島然り、チームの運営には首脳陣すらアンコントローラブルな要素がありますが、現在1~6位まで数ゲーム差の大混戦にセ・リーグは陥っていますから、なんとか這い上がって欲しいと思います。




4.分析②~IPO編~

Dの日本ハムは、去年今年共に安定した成績を残していますが、10年ほど前までは5位が定位置のあまり強くないチームでした。このチームの商材である「プロ野球選手」の獲得(つまり通常企業にとっての新卒採用)に関しては、10年ほど前から首尾一貫したポリシーができています。それは、「若手主体のチーム作り」です。ミーハードラフトと言われるように、実力があると判明すればダルビッシュ、中田、大谷といった選手は競合(くじ引き)承知で取りにいき、その一方で糸井のトレードによる放出、稲葉・金子の引退、小谷野・大引のFA流出などで年齢が相対的に高い選手はチーム外に出ていき、空いたポストで若手選手を試合に積極的に出し、成長の機会を与えて行きます。この戦略は、ベテランのパフォーマンスの衰えによる流動性リスクを回避することや、ダルビッシュや大谷といったデフォルトリスクが相対的に少ないアノマリーを獲得することができることなど、ハーディングを避けアンカリングを元に行動しており、市場投資の観点からも合理的と言えます。このような「若手マイナスベテラン・ポートフォリオ」を保有することにより超過リターンを狙う戦略が当たっているのです。

 しかし、日本ハムは最近巨人から矢野選手を獲得しました。彼は日本ハムの主軸平均年齢からするとベテランです。PMI問題と通底するような効果により、日本ハムは交流戦優勝決定戦に敗れ、交流戦明けの首位攻防戦で連敗発進する最悪のリスタートを切っています。日本ハムはその特徴から、IPOベンチャー企業に例えられるかもしれませんが、IPOを行うようなベンチャーに降りかかる問題として、「生え抜きより、後から承知された実力者の方が給料が高くなることによる生え抜きの心理的問題」があげられます。また、1999年のアメリカの研究では、成長が速いベンチャーほどストックオプションを新規に付与、又は追加的に付与している傾向にあることが判明しており、ベンチャーの報酬対策としてストックオプションは非常に重要な解決策としてあげられます。しかし、gumiショックのような上場ゴール案件を除けば、ストックオプションは上場後なかなか売却しにくい心理状態に陥る現状があり、これを改善するようなストックオプションの条件操作や新しいモチベーション・コントロール手段が必要であるとも考えられます。

 日本ハムは交流戦後体制を崩しかけたようにも見えますが、まだまだペナントレースは長いですし、優勝の見込みはまだまだあると感じるので頑張って欲しいです。ただ、若いチームの問題として「優勝経験のある選手が僅少になり、ここ一番で勝負弱い」という点が懸念事項です。現実に去年のCSで負けた事や、今年の交流戦優勝決定戦を落としたことなど、決して勝負強いとはいえないかもしれませんが、首脳陣の具有する非公開情報へのアクセス権限のない私のようなただのファンには実質的な状況はブラックボックスであり分かりません。個人的に大谷選手や中田選手は大好きなので、チーム成績も個人成績も期待したいところです。







以上、プロ野球に疎い人には読みにくい内容になってしまいましたが、90分で3600字書いてみました。また暇になったら更新していこうと思うのでよろしくお願いします。考査の勉強は範囲が広すぎてやる気が出ないです、笑