2015/5/20 シアトルに半年近く留学してきますよという話 | TakahiroCPAの備忘録

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京都生まれ京都育ちの公認会計士TakahiroCPAが、会計・財務・税務を中心として日常的に感じたこと(感情の論理)、考えたこと(能率の論理)を備忘録的に綴ります。受験生を応援すると共に、専門家としての日々の修養を積み重ねます。*関係ない話のオンパレードです

留学選考をパスしていたことが本日の朝に発表されましたので、2015年の8月~12月にシアトルのワシントン大学に中期留学してきます。そこで、簡単にですが自己規律的な意味で中期留学を希望した理由を書きたいと思います。






私が中期留学にジョインしようと考えた理由は、①自身のキャリアビジョンを達成するための一歩になると考えたから、②勉強内容「グローバルな環境問題、ダイバーシティマネジメント、労働集約的産業(特にIT産業)」に対し高い関心があるから、③自身のモチベーションと目的の実行可能性の3点です。



まず①についてですが、これはなぜ「中期留学を選んだか」に関わっています。私が公認会計士を志した理由は、事業再生分野で高い付加価値を提供できる専門家になりたいということにありました。私は小学生の頃に父親の勤務先企業が倒産した経験から経済事業体に対し高い関心を持ち、「法人の命」に直接的に関わる仕事として事業再生業務に、「法人の命」に財務諸表を通じて間接的に関わる仕事である監査・コンサル業務の面からアプローチしようと考えたのです。

近年、資本の国際化やIT技術の進展に端を発し市場はボーダーレス化し、「法人の命」はグローバルな活動を欠いて維持できない時代へと突入しています。このグローバル化の時代において将来国際派公認会計士として活躍したいというキャリアビジョンを達成するための一歩を踏み出すことができると考え、「中期留学」への参加を決意しました。

また、効果がある程度出るかという面及び便宜上の面で、1.大学の科目が受講できる 2.現地の大学のサークル活動に参加できる 3.ホームステイである 4.短期留学ではない 5長期留学(1年以上)を選ぶと予定時期に卒業できない、という理由がありました。





次に②に関してですが、これはなぜ「アメリカのシアトルを選んだか」に関わっています。まず、私は2015年の2~4月に内定先の監査法人で業務補助にあたり、そこでグローバルな大企業を複数社担当しました。経営学では「所有と経営の実質的分離」の弊害として「短期利益至上主義」が指摘されますが、これは上場企業に株主に良好な経営成績を示す責任があることに起因します(利益至上主義と短期利益至上主義の相違に注意。前者は営利法人故当然だが、後者は期間全体最適を阻害)。当該業務補助において海外環境訴訟案件の処理に奔走した経験から今日の経営における環境保全思考のプレゼンスの高さを実感したことが、私がグローバルな環境問題に関心を持つ理由です。なぜシアトルを選んだかというと、シアトルはマイクロソフト、アマゾン等のグローバルな企業が本社を置く地である一方、豊かな自然に恵まれた土地でもあり、グローバルな環境問題を学ぶには最高の環境であることは間違いないからです。

 私は自身の中高時代のオーストラリアと台湾への短期留学及び国際関係学部での留学生との関わりを通じて、さらには障害を持つ人間に日常的に接することを通じて、企業はダイバーシティ人材にどう向き合っていくべきか?という問題に高い関心を持っています。なぜシアトルを選んだかというと、シアトルはマイクロソフト社に係る人材流入によりアジア系及び中東系住民の比率が米国他州に比して相対的に高く、「人種の坩堝」といわれる米国の中でも最もダイバーシティについて学ぶに適した場所の一つだからです。

 また、シアトルはアントレプレナーとエンジニアの街であり、それは福岡や千葉が「日本のシアトルを目指そう」というスローガンで起業家育成キャンペーンを行っていることやGoogleFacebookがエンジニア部門を設置していることからも理解できます。超第三次産業の時代に財務家として生きることを目指す私は、以前からIT新興企業について深い知見を得る機会を探求していました。日本のサイバーエージェント社やヤフー社、海外のGoogle等の財務諸表を見て一目瞭然なようにIT業界は投資リスク(金額的側面)、負債リスク(財務レバレッジ的側面)、在庫リスクが他業界に比して僅少であり、さらに当該リスクが低いことからビジネスの可変性が高いこと、運用上持つ無形材の割合が高く労働集約的(資本集約的企業よりは参入障壁及びWithdrawal Costが低い)なことから、これからの時代の主要ビジネスモデルになるでしょう。既に高校の同期がIT系企業を起業したり起業準備したり、そしてノマドワーカーしていたり、ということを聞いていますし、自分も会社を作る動きに参加したことがあります(最終的な実現には至りませんでしたが)から、一連のことについて多少の理解はあるはずです。なぜシアトルを選んだかというと、シアトルはスターバックスやマイクロソフト、アマゾン、コストコが本社を置き、GoogleFacebookがエンジニアリング部門を置く一方、そうしたアントレプレナーシップにも溢れている地であり、企業の融和、つまりバランスの取れた共存共栄の成功モデルを直に学ぶに当たり最も適している地所の一つであると考えたからです。





 最後に③に関してですが、これは留学中の狭義の学習効果、さらには留学前の短期間と留学後長期間の学習効果についての一定の高質化の担保を予想するものです。まず、私は一回生の時に長期留学の選考に2度漏れています。高校時代から留学生活を夢見て語学学習に投資していたので懸ける思いも強く、2度目に落ちた時は泣いて泣いて3日間家から出られませんでした。今回は長期ではなく中期ですが、数年前の経験がある分そして逆に中期な分、モチベーションを切らさずに自己投資に奔走できるはずだと考えています。

 次に、私自身の商品価値を挙げなければならない必要性を2~4月の仕事中に実感したことがあります。4月に一年中海外を飛び回っているパートナーの方と何度もお食事をお供させて頂く機会がありましたが、公認会計士業界の平均的語学力の低さと、いずれ弁護士業界のようにならないとも限らない公認会計士業界において「ビジネスマンとしてモテる」必要性を説いて頂きました。これは就活中に、内定辞退させて頂いた他法人のトップ・パートナーの方に、「会計は英語とは比べ物にならないぐらいグローバルなツールだよ。君は多分将来海外に出るだろう、海外に出たとき、そして海外で業務を行う上でそのことを実感するだろう」と仰って頂いたことと整合すると共に、必携のツールの一つとして語学力をこれまで以上に磨く必要性を痛感した次第となりました。

 最後に、一定以上の頑健性の高さ及び上記に対する一定以上の実行可能性の高さの確信です。まず、僕は高校2年生~大学一回生の終わりまで留学のため集中的に語学に取り組んだ経験があります。具体的には高校の授業では板書を英訳してノートをとっていたことや、凄まじい数の暗記カードを作って毎日やっていたこと、TOEFLの勉強とともに、日米英語学院という英語塾及び大学のCLAGGPを通じて効率的に勉強に取り組んだ結果、英検準一級と英検一級の一次、TOEFLでの600点近いスコアを獲得することができました(今は少し落ちてますが笑)。また、公認会計士試験で2年半一日も勉強を休まなかったこと、そして最長17時間勉強できたことは、思考体力的な意味の頑健性の高さを私に齎してくれました。つまり、「インプット能力は英検一級以上アウトプット能力は英検準一級以上英検一級未満 +思考的頑健性の担保」という状態で留学することにより、一定の成果が見込めると期待しているという話です。ただ、「頑健性」だと思っていたら「頑迷性」だった、という状態にならないようには目を注ぐ必要があります。






ざーっと書いてみましたが、考えていたことの中核は大体こんな感じです。海外で一定期間以上生活することは初めての試みであるので多少の不安はありますが、プロ野球監督の野村克也さんは「一流は常に不安と自信が背中合わせにある」と言っています。私は野村克也さんの著作よりどちらかというと正直、長嶋一茂さん著の「三流」の方が自己投影できますが、一流を目指す者として、チャンスを与えて頂いた周囲の人間に感謝しながら、頑張ってきたいと思う所存であります。