🇯🇵シラス国の天(アマ)テラス〜④シラス国とウシハク国🗾
地上を治めていたオオクニヌシに高天原のアマテラスが
「あなたの支配する地上を統治するのは私の子孫が相応しいから国を譲りなさい。」
と、なんとも理不尽な無茶苦茶な事を言ってきました。古事記(日本の公式な歴史書)の原文にはこう書かれているそうです。
汝之字志波祁流
此葦原中國者
我御子之所知國
現代語にすると
「汝のウシハケる
この葦原の中つ国は
我が御子のシラス国なるぞ」
となります。
ウシハケる→ウシハク という言葉はあまり聞いた事がありませんが
主人(ウシ)履く(ハク)=主として君臨するものが、国や民を所有物と見なし私的に支配をする、領有という意味です。
昔の大陸の王国で行われていたのは、このウシハクの統治でした。
王が国と国民を所有物と見なし、私的に支配し贅沢の限りを尽くす。
そして最後に反乱によって倒れ、新たな王が立ちます。
豪華な宮殿を作ろうと思えば国民に使役させます。何のために重い石を運ばされているのかわからない。重労働させられて、イヤだけど鞭で打たれるからしょうがなくやる。やりたくない。できればラクしたい。力のある者に取り入ろう。何の為にしているのかわからないとそうなってしまいます。
ウシハクは、いうなればトップダウン型です。力の強いものが家臣に命じ民を動か
す。これは何もないところから何か作っていくには力強いリーダーシップが必要なので必
要な時期もあります。オオクニヌシは力強いリーダーシップでもって国を治めていたので
す。
一方シラス国、シラスとは知らす。何かをやろうとするときの情報の共有化をする、とい
う事です。そして「知らせ」を聞いた皆が情報を共有化し、互いに必要な役割を定め、みんなで一致団結、協力して国造りをする。のです。
シラス統治で重要なのは、会って議論する「会議」。ひとりひとりが対等な立場で話し合っていくことです。「田畑をもっと広げたいから、ここに水路を作ろう。どうしようか?」と言われたら、いつがいいとか、こういう方法がいいとか、みんなで知恵を出し合って考える。重労働も先の豊かな未来の為に頑張れる。
これはボトムアップ型です。ただ中心がないとまとまりません。この中心となる存在が我が御子=太陽神アマテラスの御子にしなさい。という事なのです。それが日本の天皇なのです。
古事記が編纂された飛鳥、奈良時代は大陸から人や文化がたくさん来ている時代でした。外国人の流入です。
大陸では隋が倒れて唐になったので、国が混乱し沢山の人が逃げてきたのでしょう。沢山の外国人が流入して文化がめちゃくちゃになると、そもそも日本というものが何なのかわからなくなってしまう。そしてまた大陸と対等に渡り合って行く為に「国家」の形を早急に整えなければならない。
そんな中で即位した天武天皇が「これからこのように国をつくっていくぞ!」という意図をもって、正式な歴史書の編纂や、碁盤の目のような都、律令制度、などなどを作っていきました。
トップダウンのウシハク国の統治では隋のように滅びてしまう。みんなで話し合って決めていく。シラス統治がいいんだよ。この国はウシハク国じゃなくシラス国にしていくよ。という事を、オオクニヌシの国譲りのお話で明確に伝えているのです。
そもそも日本という国は縄文時代に13000年も争いがなかった土地で、沢山の村や王朝があちこちにあり、それぞれで、とても平和に暮らしていたようです。弥生時代になり、好戦的な民族がやってきて争いが生まれました。
さらに、外国に侵略されるかもしれないという脅威が生まれ、一つにまとまって外国に対抗しないといけない状況になっていった為、国として整備し、あちこちの歴史をなんとか一つにまとめて国の歴史書にしたのが古事記、日本書紀です。(もちろん綺麗事ばかりではなかったでしょうが…。)
古事記編纂後1300年。日本は現存する世界最古の国です。まさにシラス国の統治が正しい統治であるという証明となっています。
では、何故アマテラスはシラス統治が良い事がわかったのでしょうか?次回はアマテラスの秘密(?)についてお伝えします。