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海外へ1人で行くなんて


後にも先にも最初で最期の経験である。


1人でランチに入るのも苦手だったA子が勢いで決心した1人旅。それも片道チケットしか持たず、ただI氏が待っていてくれる事を信じて。異国の地へ


A子は逃げるように日本を飛び立った。飛行機

飛行機の窓から成田の景色がどんどん小さくなっていった。A子はウォークマンで当時流行っていたKANの「愛は勝つ」を聞いていた音譜音譜音譜


A子の乗った飛行機はガルーダインドネシア航空。

バリ島デンパサールまでの直行便ではなく、ジャカルタでトランジットの予定だった。空の旅はなかなか快適で日本からの約8時間は短く感じた。そろそろ到着する時刻だ。ジャカルタにランディングの時だった「ドーン!っと、とても強い衝撃を受けた。一瞬「ヤバくない?」っとA子は独り言を呟いていた。びっくり

飛行機が尻もちをついたのだ。幸い乗客乗員に大きな怪我はなかったが飛行機に亀裂が入ったとかで随分長い時間ジャカルタで待たされる事となった。


バリまではあと一歩なのにガーン


飛行機の中で奇遇にも1人旅の日本人女性と一緒になった。その女性の年齢はA子より少し年上だったが若く見えた。スイカスイカのデザインの小物を作っていてバリ島でお店をやっていると言っていた。

その女性のお陰で待ち時間も退屈しないで過ごす事が出来た。

今と違って携帯電話スマホSNSもない時代。数時間遅れの飛行機。片道チケット。片言過ぎる英会話。挨拶程度のインドネシア語。本当にA子は無事にバリ島へ入国できるのだろうかはてなマークはてなマークはてなマーク


やっとバリ島デンパサール空港へ着いた。

入国時、やはり「帰りのチケットは?」と聞かれた。A子は、友人がバリにいる事、滞在するホテルの名前と場所を必死に片言の英語とゼスチャーで説明したアセアセするとどうにか入国する事ができたラブラブ

やっとの思いで入国してロビーに出るとI氏とホテルの使用人や友達がみんな笑顔で手を振って待っていてくれたラブラブI came back to Bali~。ドキドキドキドキドキドキ


A子はこれから始まる幸せを予感していたドキドキドキドキドキドキ


ホテルに到着して3日目の夜、予想もしていなかった事件が起こったあせる

ホテルのフロント係からA子の部屋へ連絡が入った。A子宛に日本から国際電話が入っていると。嫌な予感😰

なんと‼︎ガーン

Kからバリ島のホテルへ国際電話がかかって来たのだ。A子は一気に血の気が引いたゲロー

ここに来ている事がばれた事で心臓が破裂しそうな程だった。何故ならば、バリ島に来る事をA子はKに知らせてはいなかったから

だってほとんど日本から逃げてきたも同然たったのだから

何故ここがわかったのだろう


「もしもし。」A子は恐る恐る受話器を取った。

Kは電話の向こうでとても興奮していた。「I氏と電話を代われ」と言われ代わった。2人が何を話したのかはわからなかった。A子自身、頭が真っ白になっており何を話したのかよく覚えていないが唯一今でもハッキリ覚えている事が2つある。

一つは

「お前は絶対に一生幸せにはなれないからな!と言われた事。

もう一つは

「その男ともう寝たのか?」と聞かれ「もう寝た」とウソをついた事


何故ウソをついたのか?

Kに私をキライになって貰う為に、諦めてもらう為にウソをついた。

でも、そんなウソなんてどうでもいいのだ。

だって日本からバリ島に来た=そういう事も覚悟の上なのだから


Kとはその電話が最後だった

もう2度と会う事もないと思うと、電話を切った後心揺れるA子が居たのも事実だった。


あんなに愛していたKを裏切って…傷付けて…。A子はKの言う通り「一生幸せになれないのかも。」Kと過ごしてきた5年間が走馬灯のように駆け巡っていたKに言われた言葉とKのあの時の声のトーンが頭の中をグルグルと、こだましていた


1FIN


2章へ続く