民族とネイション―ナショナリズムという難問 (岩波新書)/塩川 伸明
¥798
Amazon.co.jp
ブックオフで購入。
タイトル買いです。
民族やネイションというと私はどうしても「文明の衝突」サミュエル・ハンチントンを思い出す。
私の中でもトップ3には入る、名著中の名著。
大学時代に読んで本当に感銘を受けた。
そういう経緯があり、この本もタイトルで買ってしまった。
目次
第1章 概念と用語法
第2章 「国民国家」の登場
第3章 民族自決論とその帰結
第4章 冷戦後の世界
第5章 難問としてのナショナリズム
所感としては「よくまとまっている」本という感じだろうか。
特に「エスニシティ」「民族」「ネイション」「国民」といった、ざっくりした枠組みの概念を第1章から説明し、そこからこれらの概念を引き連れて、「パトリオティズム」「ナショナリズム」「近代主義」と発展させていく。
こういうざっくりした概念というのは歴史の道筋の中で生成され、そしてその区分というのがはっきりしない。
例えば血筋と言えばそれは紛れもない事実が分かることだが、はたして民族は本当に一つの塊なのか、文化圏といった場合、どこまでの範囲が組み込まれるのか、そしてネイションと言った瞬間、そこには国家の枠組みでしかなくなる。
当然こういった枠組みの中には様々な不安因子が組み込まれる。
この本では特にソ連や旧ユーゴ、バルカン諸国などを取り上げ、これまでの様々な問題とその原因を描く。
私がこの本を読んで楽しめたのは、特に概念を整理できたというところだ。
それこそ先ほど書いたように「エスニシティ」から「近代主義」まで様々な概念がこういう民族問題や歴史問題、国際関係を考える上で出てくる。
こういった概念はそれひとつを理解するのも困難であるのに、これらの概念がこう沢山出てくると訳が分からなくなるものだ。
それを一つずつ丁寧に紐解き、解説するという意味では、amazonの書評にもあったが「入門書」のたぐいとしては非常に良い。
逆に良くないポイントとしては、深堀ができなかったこと。
そのため概念を分かっている人間としてどうしても物足りない。
そういう私も学生の頃「文化学」を学んできただけあり、基本的に知っていることをおさらいしたようなところが多い。
そういう意味では、物足りない。
また終始これらの概念の考え方を説明し、そしてこれまでの事実関係を述べているのとどまっているため、作者としての意見というものがあまり見られなかったように思える。
そのため新しい視点を掴むという読み方ではない。
総論としては、これらの概念について詳しくない、これから学びたいという人にとっては、きちんとこれらの概念を整理できることがお勧めできる。
¥798
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ブックオフで購入。
タイトル買いです。
民族やネイションというと私はどうしても「文明の衝突」サミュエル・ハンチントンを思い出す。
私の中でもトップ3には入る、名著中の名著。
大学時代に読んで本当に感銘を受けた。
そういう経緯があり、この本もタイトルで買ってしまった。
目次
第1章 概念と用語法
第2章 「国民国家」の登場
第3章 民族自決論とその帰結
第4章 冷戦後の世界
第5章 難問としてのナショナリズム
所感としては「よくまとまっている」本という感じだろうか。
特に「エスニシティ」「民族」「ネイション」「国民」といった、ざっくりした枠組みの概念を第1章から説明し、そこからこれらの概念を引き連れて、「パトリオティズム」「ナショナリズム」「近代主義」と発展させていく。
こういうざっくりした概念というのは歴史の道筋の中で生成され、そしてその区分というのがはっきりしない。
例えば血筋と言えばそれは紛れもない事実が分かることだが、はたして民族は本当に一つの塊なのか、文化圏といった場合、どこまでの範囲が組み込まれるのか、そしてネイションと言った瞬間、そこには国家の枠組みでしかなくなる。
当然こういった枠組みの中には様々な不安因子が組み込まれる。
この本では特にソ連や旧ユーゴ、バルカン諸国などを取り上げ、これまでの様々な問題とその原因を描く。
私がこの本を読んで楽しめたのは、特に概念を整理できたというところだ。
それこそ先ほど書いたように「エスニシティ」から「近代主義」まで様々な概念がこういう民族問題や歴史問題、国際関係を考える上で出てくる。
こういった概念はそれひとつを理解するのも困難であるのに、これらの概念がこう沢山出てくると訳が分からなくなるものだ。
それを一つずつ丁寧に紐解き、解説するという意味では、amazonの書評にもあったが「入門書」のたぐいとしては非常に良い。
逆に良くないポイントとしては、深堀ができなかったこと。
そのため概念を分かっている人間としてどうしても物足りない。
そういう私も学生の頃「文化学」を学んできただけあり、基本的に知っていることをおさらいしたようなところが多い。
そういう意味では、物足りない。
また終始これらの概念の考え方を説明し、そしてこれまでの事実関係を述べているのとどまっているため、作者としての意見というものがあまり見られなかったように思える。
そのため新しい視点を掴むという読み方ではない。
総論としては、これらの概念について詳しくない、これから学びたいという人にとっては、きちんとこれらの概念を整理できることがお勧めできる。