昔の話。

 

自称有能な知人、

そいつが実際働いてる現場を見たことはないが、

どうやら、仕事はできる人らしかった。

 

お客からも評判がよかった、

なんて、よく言ってた。

 

サービス内容とか

商品知識とか詳しいし、

ちゃんと説明するのがうまいし、

きめ細かい心配りもできるし、

そういうところで

喜んでもらえてたんだって。

 

いい話だと思うよね。

 

ええ、

私も、そう思ってた。

 

へー、すごいなぁ、って

その時は思ってた。

 

さぞかし

できる人なんだろうなあ、って

思ってた。

 

 

まあ、それはそれでいい。

 

でもね、

最近、ふと思ったんだ。

 

何であの人、

そんな話を

わざわざ私にしたんだろう、って。

 

一度ならず、なんだな。

 

それから、

落ち着いて

その話を思い出してみれば、

 

それだけ親切丁寧をこころがけて

対応してたのなら、

お客さんの評判よいって、

 

あたりまえ

 

だよなぁ、って。

 

 

記憶は700%ウソ、っていうし、

実際、随分前の話だから

詳細もよく覚えてない感じだけど、

 

「別にそんなにがんばらなくても、

そういう対応がさらっとできちゃうんだ、自分」

みたいな印象だけが残ってる。

 

客の評判よかったとか、

上司からの評価が高かったとか、

 

じゃあ、

それでいいじゃん、

って話じゃないのかね。

 

何でそういう話題になったのかも

今となっては全く思い出せないのだが、

私はそいつの会社のことや

仕事の内容なんて知らないし、

私にそれ言われてもなぁ・・・

 

多分、私だけでなく、

ほかの知人にも

同じように話してたんだろうけど、

 

あれは何だったんだろう?

 

 

ああ、そうか、

私がそういう話を聞かされても、

別にそいつのことが

特別にすごいとも

うらやましいとも

感じなかったのは、

 

そりゃ、フツーでしょ、

という、

 

期待されてるものを

用意できたから評価されるって

当たり前だよね、

 

って部分に、

何の魅力も感じなかったからかも。

 

これが、

 

いや、いつもいろいろやらかすんだけど、

どういうわけか

結果としてはみんな喜んでくれるんだよなぁ、

 

だったら、

その不確定さとか

意味不明さに、

嫉妬してたかもしれない。

 

でも、

ちゃんとやったから

ちゃんと評価されました、って、

まあ、そうだろうね、で

別に、面白くないんだなぁ。

 

いや、私が客だったら、

それは助かるし、ありがたいよ。

大事なことだとは思う。

あの会社のあの担当、

ちゃんとやってくれるし

親切だし、いいよね、

 

私にとって、都合いいよね、

 

って、思うだろう。

 

心から感謝するだろうなぁ。

 

わかりやすく、すばらしいって思うだろうなぁ。

 

でも、

憧れないだろうなぁ。

そいつと、飲みに行きたいとは

思わないだろうなぁ。

 

ただの、ちゃんとできる人であって、

仕事上の付き合いであれば、

それが、特に意識しないで

サラリとできてしまう人であろうが、

超根回し気配りをして、

コツコツ努力して、

かろうじてクオリティを保ってくれる人であろうが、

仕事に滞りがなければ、

どっちだっていい。

 

仕事の評価と、

そいつが幸せそうに見えるかは

全然関係ないわね。

 

今思うに、

あれは何かのアピールだったんだろうかなぁ。

 

ホント、何故今更思い出したのかもわからないけど、

ふと浮かんできた、昔の話。

 

 

あたりまえのことって、大事

それが、おもしろいかどうかは、また別の話