1.はじめに

平成20年度からおこなわれている事業として最も注目を集めているものとして、学校支援地域本部事業があります。

これは、青少年の犯罪、いじめ、不登校などの問題の背景にある、いわゆる「地域の教育力の低下」と、学校現場における教育活動以外の業務量の増加に対応するために実施されたものであります。

文部科学省によると、学校が地域の支援を受けることにより、学校と地域との連携体制が構築され、地域の人たちの学校に対する関心が高まることが期待されるとともに、多忙な教員を支援し、勤務の負担を軽減することで、教員が子ども一人一人に対し、きめ細かな指導をする時間を確保できるとなっています。

東京都杉並区の和田中学校の実践がモデルとなったことで世間の注目が集まり、新しいコンセプトの事業という印象を与えているが、このような学校と地域が連携・協力した取組は今にはじまったものではなく、学社融合の必要性が論議されていたころ、また、指導要領の本格実施にかかわり総合的な学習の時間がスタートしたころなどは、学校と社会教育をつなぐ様々な実践が各地で盛んに試みられました。

学社融合については、栃木県鹿沼市の「板荷コミュニティカレッジ」や千葉県習志野市の「秋津コミュニティ」などがその代表として全国に紹介され、急速に一般化されていったと言えるであろうと考えます。

昨今では、「コミュニティ・スクール」といった事業が展開され広がりをみせていますが、共通して言えることは、教育参加であります。

様々な主体者が教育に参加し、学校教育の経営に対し責任を共有しながら個性豊かな学校づくりを行うものです。

社会性が、多様な他者との時間的・空間的共有により培われるものであるとするならば、住民参加型の学校運営を目指すコミュニティ・スクールは一つの可能性を提示するものであろう。以下、その制度と実践例について見ていきたいと思います。

2.コミュニティ・スクールとは何か-概要-

正式名称を学校運営協議会制度といい、平成166月の地方教育行政の組織及び運営に関する法律(通称:地教行法)改正により導入された。その目的は、保護者や地域住民が一定の権限と責任の下に学校運営に参画することにより、そのニーズを迅速かつ的確に学校運営に反映させること、学校・家庭・地域社会が一体となってより良い教育の実現に取り組むことなどである。現行の学校評議員制度が、校長の求めに応じ個人としての立場で学校運営に関する意見を述べるものであり、校長や教育委員会の学校運営に関して直接関与したり拘束力のある決定を行ったりするものではないのに対して、学校運営協議会制度には次のような権限が付与されている。コミュニティ・スクールの運営に関して、教育課程の編成その他教育委員会規則で定める事項について校長が作成する基本的な方針の承認を行う。コミュニティ・スクールの運営に関する事項について、教育委員会又は校長に対して意見を述べる。コミュニティ・スクールの教職員の採用その他の任用に関する事項について、任命権者(都道府県教育委員会)に対して直接意見を述べることができ、その意見は任命権者に尊重される。
 このように、コミュニティ・スクールにおいては、学校運営の基盤である教育課程や教職員配置について、保護者や地域住人が責任と権限を持って意見を述べることが制度的に保障され、その意見を踏まえた学校運営が進められることに特色があります。ここで肝心なのは学校・家庭・地域社会が一体となってより良い教育の実現に取り組むといった姿勢や気概をもつことであります。

さらに、人材育成の視点も入れながら、地域における人材育成をおこなっていくことも大事な視点なのです。どうしても持続可能にしていくためには欠かせない要素なのです。

3.おわりに

 学校教育分野においては、前述したように、学校支援地域本部事業の取り組みにより、地域教育協議会なる組織が設立され、様々な取り組みが行われてきている状況にあります。さらにコミュニティスクールの取り組みについても増加傾向にあります。

このように地域におけるソーシャルキャピタルを高めていくための政策が学校を中心として行われてきている実態が存在し、今後についても推進がされていくことになろうかと思います。

 従来の発想にとらわれない斬新な発想に基づく必要性があるかと思います。

 より専門的な専門家を育成し「質の高い公共サービス」の提供に向けた考え方が必要でありますし、市民は「お上」意識を転換し自立をしながら地域の経営に自ら参加しよりよい「まちづくり」を行うべきであると思います。