朝日を横目に、
海辺をジョギング。
打ち寄せる波の音と、
砂を噛む靴の音が、
規則正しいリズムを生んでゆく。
荒い息を静めようと、
防波堤に腰を下ろし、
目を閉じて一息つく。
耳の奥、
身体の隅々から、
とくん
とくん
脈打つ音が聴こえてくる。
寝転んだまま、
視線を向ける。
朝日を浴びて、
黄金色に染められた、
若々しい松の木々。
そして、防波堤の上に転がった、
大きな白い石の上を、
ゆっくりと歩む一匹の蟻。
自分が今、ここに生き、
命を営んでいる意味を、
波風に煽られて、
腰を曲げながらもなお、
すっくと立つ松に、
向こう側が見えないほど、
大きな岩の壁を、
ただ黙々と登る蟻に、
今、ここに生きる命に、
教えてもらった。