インクルーシブ教育や合理的配慮が叫ばれている中、通常学級で求められている指導のあり方とはどのようなものだろうか。特性のある児童に対して、どのような支援をしていけばよいか。
① 全児童に効果のある手立て
配慮を必要とする児童だけに効果がある、または、特定の児童のみ優遇するような手立ては、通常学級で行う時には注意が必要である。その子だけずるいといった感情を抱かせないよう配慮をする必要がある。
逆に、その子のためにする支援が、他の児童にとっても有効であるならば、配慮を要する児童を中心に据えた効果的な教育が行われていると考えられる。特に、昨今、グレーゾーンの児童が増えている中で、その支援が多くの児童の助けになるだろう。
② 指導の基準を明確にする
配慮を要する児童は、教師が注意しなければならない行動を取ることも多い。特にADHDや高機能自閉症の児童は、学力面ではなく、行動面でのつまづきが大きい。しかし、1から10まで注意するのでは、何も解決しないし、本人も全て否定された気持ちになり、逆に反発することにもなる。
基本的なスタンスとしては、特性に対しては環境で調整、ワガママによるものはしっかりと注意することである。
ついついハサミで遊んでしまうのであれば、ハサミを教師が預かる、突発的な席立ちはある程度許容する。しかし、〇〇をしない、わかっているのに座らないといった行動に対しては、しっかりと注意する。そうすることで、自分のどうすることもできない行動については認めてくれる。ワガママな行動についてはきちんと注意してくれる。何を気をつけて生活すればいいか子どもにとっても明確になる。
また、環境の調整は、いわばこれから子どもが大人になるに従って必要になってくる、自分を調整する手立てである。仕事のときに、ついついスマホを触ってしまうのであれば、スマホを金庫にしまう。
タイマーを使って15分区切りで集中する等といった手立ては、それぞれにあった合理的な手立てであり、将来にも役立つ。
教室の中で、その子にあった手立てを一緒に模索してあげることが、これから求められる特別支援教育のあり方ではないか。