幼い頃の僕がじーっとこちらをみている。

 

母の足にしがみついたまま、

こちらをじーっとみている。

 

 

「みてな」

僕はそう言って夢から目覚めた。

 

 

 

あの時の僕が

自分の未来をみている。

 

 

だから、

ちゃんとみててほしい。

そう思った。

 

 

ちゃんと

大丈夫だって見せてあげてやろうってね。

 

 

 

 

 

 

・・・

 

 

 

 

 

 

喉が渇いてコンビニへ寄った。

水を買おうとして財布に数十円しかないのを確認した。

銀行から直接支払いのできるカードがあるが、

残高もないのでもこちらも使えない。

 

 

 

 

少し歩いて、近くの公園の蛇口をひねる。

お水を飲んで歩き出した。

 

 

 

 

自分でも少し驚いたのは

その時の心情だ。

 

 

 

 

心配も焦りもほとんど感じなかった。

頭で考えれば残高もない、収入の予定もない。

無職だから。

 

 

 

食べ物や家の心配も出なかった。

 

 

 

僕の頭の中にあるのは

今幸せを感じようという想いと

もう一つ

 

 

 

怖いのは、お金がなくなることでも

ご飯のことでも

家のことでも

それら含めた生活のことでもない。

 

 

僕の頭に唯一あったのは

自分を満足に表現できないまま、このまま時がすぎていくこと

自分の魂の望む人生を発揮しないまま終わりを迎えること

 

 

 

それだけが何よりも嫌だった。

 

 

 

 

そんな自分が少し不思議な気もしたが

それこそ僕らしいと

みょうに納得した。

 

 

 

 

 

そうやって歩いていると

ふと意外と自分は間違っていないんじゃないかと思った。

 

 

 

 

周囲の人の意見や、著名な人の本やビデオ、

いいものや聞いたことは自分の人生に取り入れてきた。

 

 

でもこの時思った。

なんか、違くない?って。

 

 

 

 

アドバイスの内容がとかじゃなくて

僕のままでよかったんじゃない?って。

 

 

変わる必要なんてなかったんじゃない?

変わっちゃいけなかったんじゃない?

 

 

 

そういう発想が出ると同時に

僕の体は強いエネルギーを感じた。

 

 

 

 

周囲の人の意見やアドバイスなんか知らなかったし

それでも、

何も知らなかった頃の僕はかなりのびのびと生きていた。

 

 

 

 

人生を生きるパワーは

教えてもらったやり方や生き方にあるわけじゃない。

僕自身がパワーだ。

 

 

 

誰かに与えてもらったり、お願いしなきゃもらえなかったり、

人の意見ややり方を受け入れなくていい。

 

 

 

 

学んで取り入れようとしなくてもよかったんじゃないか。

 

 

 

 

負けてたまるか・・・

そんな気持ちは、

自分の心の声を、感覚を信じ向く自分との戦いだと思うんだ。

 

 

 

 

なんだ、変わらないでよかったんじゃん!!!

僕のエネルギーは高まっていた。

 

 

 

 

考えや、やり方を周囲の声やすごい人に合わせなきていい。

たとへそれが尊敬する人でも愛する人でも。

 

 

 

それは、まともじゃないということかもしれない。

 

 

 

 

でも、僕はこれがいいんだ。

 

そんな自分が好きでたまらないんだ。

 

 

 

 

遠回りして

頑固で

強気で

バカで

迷惑かけて

いうこと聞かなくて・・・

 

 

 

「そんなんじゃうまくいかないよ」

うっせえわぼけ!!!!!!!!!!!

 

 

もう気づいた

僕は何かうまくいかせたいわけじゃない

 

 

 

 

僕は幸せに生きたいんだ

 

 

 

 

生まれもった

出来損ないの

変わる必要のない

 

ただの僕になりたかったんだ

 

 

ただの僕になりたかったんだ

 

 

 

 

 

矯正器具を外して

何者かになろうとした自分を見てみれば

 

 

 

なんだ

 

悪くないじゃないか

 

 

何も変わってないじゃないか

 

 

 

 

あの日であえたように

 

僕のほおには涙が伝っていました

 

おかえり

 

 

 

 

 

そのままでいてくれて

変わらないでいてくれて

ありがとう

 

 

 

変わった僕がそう言ったのでした。