様々な殺人事件が報道される度に家族や友人は「被害者や遺族がかわいそう」「加害者は頭がおかしい」と言う。

そんなとき、私はいつも黙っている。

加害者の気持ちの方が想像し易いが、同時にそれは口に出すべきではないとも考えているからだ。

 

以前「糖尿病の我が子にインスリンを大量投与して殺した看護師」のニュースがあった。

看護師であれば自分の行為によって子供がどうなるか、わかっていたはずだ。

でも殺した。

周りは「自分の子供なのに、信じられない」と言っていた。

自分の子供だからこそ、病気の性質から一生ついてくるであろう食事のコントロールや看病などを想像すると、この先に待つのは人生の絶望だ。

 

また九州の山間部では一家惨殺事件があった。

犯人と推測される人物も死んでおり、真相は不明だが、人間関係のトラブルが原因ではないかと言われている。

殺害方法も、ナタで首を切り落とすなど、まさに惨殺といったものだった。

母は「首を切り落とすなんて残酷だ。それに人間関係のトラブルなら全員殺す必要ないのに…」と言っていた。

そうだろうか。

殺人犯だって素人だ。人を確実に殺したいから、首を落としたのではないか。

それに田舎の狭いコミュニティの中でトラブルが発生し、心を痛めたのだとしたら、皆殺ししかないと私は思った。

 

私は殺す人間の感情に沿って考える。

周りで声をあげる人は、なぜか違う視点だ。

何に沿って考えている?

どうして死んだ人間がかわいそうだと、犯人がひどいと思うのだろう。

殺人犯の気持ちには全く同意できないのだろうか。

人の死に興味はないのだろうか。

私は死への興味がある。