お腹から出てきた後、実生は助産師さんに綺麗にしてもらい、先にパパが会ってから、帽子やお洋服を上に被せてもらい、私のところに連れてきてもらうことになっていました。

 

会うまでは、どんな顔をしているんだろう、パパ似かな?ママ似かな?と考えていました。

 

 

助産師さんが連れてきてくれた実生は、パパ似のとても可愛くて愛おししい子でした。

手も足も、目も口も耳もできていて、頭だけが頭蓋骨が育っていませんでした。

本当に頭蓋骨だけなのに。

他の赤ちゃんと変わらない可愛い可愛い子なのに。

 

表情が本当に可愛くて穏やかで、「無念なし!」という顔でした。

 

その顔を見て、短い命だとわかっていてお腹に来てくれた気がしていたのですが、その思いが強まりました。

 

穏やかな表情で目を閉じていて、本当に本当に可愛かったです。

 

助産師さんは、

「頭から、綺麗に生まれてくれたよ」

 

と言ってくれました。

 

痛そうなところもなく、綺麗な体で産まれてくれて本当によかった、天国でも幸せに暮らしてくれそうだと思いました。

 

 

LDRを出て部屋に戻りましたが、実生と同じ空間で時間を共有したくて、部屋に連れてきてもらいました。

 

お洋服を被せた上から胸の上をトントンしたり、頬をなでたり、小さい手をさすったりしました。

 

実生に何もすることはできませんでしたが、最後にママの愛情を少しでも感じてほしかったです。

 

 

あまり長時間外にいると実生がかわいそうだからと一度戻してもらいました。暖かい場所や乾燥に弱いためです。

 

その後担当してくれた先生がきて、

 

「もう抱っこした?」

 

と聞いてくれました。

 

「抱っこできるんですか?したいです!」

 

と答えると、そのあとすぐに助産師さんがまた実生を連れてきてくれました。

 

タオルの上に乗せ、タオル越しに抱っこをし、寝かしつけるようにゆっくりゆらしたり、トントンと優しく胸をたたきました。

 

可愛くてたまらず、ずっとこうしていたいと思いました。

 

 

少し迷いましたが、抱っこして家族で写真を撮りました。

 

いつかきっと記憶は薄れるもの。二人目のわが子はどんな顔だったかな?と思ったとき見ることができるため、写真に残せてよかったと思いました。

 

最後にこのような機会を与えてもらい、医師や助産師さんに改めて感謝しました。実生との一番濃い思い出を作ることができました。

 

その日は旦那さんも疲れた様子だったため、6時頃帰るようすすめました。

 

 

その日の夜は大丈夫だと思っていたはずが、やはり急に一人になり、悲しみが押し寄せてきて一晩中泣き明かしました。

 

 

頭では気持ちの整理がついていても、悲しみの感情が消えるわけではなく、きっと時間が解決してくれるのを待つしかないのだと思いました。

 

 

その時に、『死後の世界からの声』という本の内容が載ったインターネットのページをみつけ、すーっと気持ちが楽になりました。

 

この本はニューヨークで活躍した霊能者が書いた本で、死後の世界や現世の意味等が載っているものです。

 

これを読んで、実生の魂が私たちの祖先に可愛がってもらう様子が目に浮かび、私がいつか死ぬ時に会える光景が想像できました。

 

人は死ぬ時、きっと怖いのだろうと思いますが、実生に会えると思うと、私は怖くないのかもなと感じました。

 

死後の世界で待ってくれている子供がいること、私の人生の中で二人目の子供を持てたこと、悲しみの中にも感謝と幸せを感じました。実生、ありがとう。

 

また、この本の中にでてくる、私を救った考え方は、以下のようなものでした。

 

遠くに行ってしまうけど、運命に従い愛する家族を一度手放す。

執着や束縛のない前向きな別れ。互いが明るく元気に過ごしていることを望み合っている。

 

近くにいなくても互いが幸せならそれでいいという愛。

一度家族になると現世でも死後の世界でもつながり続けることができる。

 

大切な家族を亡くして悲しんでいる方にはとても心に響く本だと感じました。

 

 

 

次の日の朝、旦那さんがお迎えに来てくれて一緒に退院の手続きをしました。

 

実生はLDRのある階から、地下の霊安室に移されることになっていました。私たちが帰ったあと、一人で霊安室に入っていく姿を思うといたたまれなくなり、一緒に付き添わせていただけるよう、お願いしました。

 

霊安室の外で、「一度家に帰るね」と伝え、お別れをしてから帰宅しました。

 

病院の霊安室は、大人用に作られているため、温度がかなり低いと聞き、おくるみを首元までかけてあげました。

 

 

既に棺に移された状態でのお別れでした。可愛くて可愛くて、明日には火葬になることを考えると、お別れが悲しくて涙がとまりませんでした。

 

病院を出ても涙がとまらず、病院の外のベンチでひとしきり泣きました。

 

 

帰宅すると、2歳の息子が

 

「ママー!!!!」と出迎えてくれました。

 

興奮気味にくっついてきて、ハグしたり膝に乗ってきたり、じーっとみつめてきたり。

 

この子が健康にこうして成長できているのは奇跡なんだ。素晴らしいことなんだ。こうして幸せな時間を共有して、可愛い姿を毎日見て、話しかけて…。当たり前だと思っていたことに深い感謝の念がわきました。

 

息子が余計に可愛くて大切な存在に感じました。

そして、息子の明るさに癒されました。

 

 

夕食を終え、お花屋さんに棺に入れるお花を買いに行きました。

 

退院後の母体を気遣う母に止められましたが、お花も実生への贈り物。自分で選びたいと反対を押し切って歩いてお花屋さんに行きました。

 

お花は、カラー(純粋・無垢)、小さいひまわり(元気に明るい子供らしさ)、カーネーション(家族愛)を選びました。

 

 

全部で10本でしたが、翌日に小さい棺に入れるとお花が敷き詰められ、明るくなりました。

 

天国で明るく暮らす実生が想像できました。