クリスマスというのに、気分は暗い。
コウは母を喪った。
日常に帰ったと思った矢先、由貴はコウの事ばかりが気になっている。
"プルルルルル"
オーラチェンジャーに通信。由貴は口元へ持ってくる。
「町子ちゃん?」
「うん。由貴、あたしん家に集合」
「…………わかった」
手袋をして、部屋を出る由貴。
階段を降りてくと、父と母がクリスマスパーティーのための準備をしている。
「あら?由貴、出かけるの?」
「友達のとこに……」
「ん!?」
父はそれを聞き、険しい顔つきとなった。
「由貴、まさか友達とは男の子じゃないのか?」
セブンに集合するということは、恐らく健一達も来るだろう。
「男の子も…………いるかな」
「姉ちゃん、コウ兄ちゃんとデートするの!?」
弟の真司がくいついてきた。
父はそれを聞き、愕然としてしまう。
「コウ君って誰だ!?。彼氏か!!?」
「もぉ…………行ってきます」
そのまま話を打ち切り、家を出ていく。
「お父さん、由貴だって年頃だから」
「いや、早い。せめて避妊を…………」
「そんなわけないでしょッ!。真司の前でやめて!」
町子の家に集まった由貴達。
お題は決まっている。
コウを元気付けることだ。
「クリスマスパーティーをしましょ」
町子が言う。
反対の声はなかった。
だが、もう昼下がりだ。
準備してる時間が足りない。
「大丈夫。商店街で揃えれる」
美憂の言葉で、商店街に繰り出す。
おこづかいの範囲で、出来るだけ。
ささやかな、クリスマスを。
「な、何だよ健一、正夫…………僕の腕掴んでんだよ」
まるで警察に連行される犯人のように、コウは町子の家へと連れてこられた。
「まあまあ」
「クリスマスだからな」
「わけがわからねぇよッ!」
そのまま中へと入る3人。
2回の町子の部屋へと入っていく。
『コウ君、1日遅れだけど誕生日おめでとう&メリークリスマスッ!!』
コウはポカン、とした。
何だ、これは。
急いでつけたであろう、折り紙で作った飾り。
町子の家で余ったおからで作ったケーキ。
やや、クリームが崩れている。
「昨日、祝えなかったじゃん?」
「何だよ、ケーキ崩れてる」
「しょうがないでしょ!時間無かったの!」
「料理はあたし達に任せっぱなしで!」
そこでコウは悟った。
ああ、慰めてくれてるんだ。
家族を喪った。
友を得たから、その悲しみからも救われた。
「みんな…………ありがとう」
涙ぐみそうな目を擦り、コウはフォークでケーキをほじくる。
「あッ!」
「…………美味しい…………。食べよう、みんなでッ!」
今年もクリスマスはやってくる。
悲しかった出来事を、消し去るように。
おわり