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太陽のめぐみをありがたくいただく。
太陽光発電の日記です。

DELIAが目指すブロックチェーンで創る「分散型エネルギーの経済圏」とは何か――代表・中村氏に聞く (1/3)

ブロックチェーンによる分散型エネルギーの情報基盤の開発、およびビジネス応用に関わる技術取得とアプリケーション開発を目的としてユニークな活動している団体がある。一般社団法人「DELIA」である。では、その設立主旨や狙いは何か、また今後の具体的活動はどうしようとしているのかなど、代表理事を務める中村良道氏にインタビューを行った。

 

» 2019年07月16日 07時00分 公開

 

DELIAとは

和田憲一郎氏(以下、和田氏) これまで取り組まれてきた太陽光発電燃料電池などの分散型エネルギーの企画開発にとどまらず、最近、また難しいことを始められたそうですね。それについて教えてください。

中村良道氏(以下、中村氏) 私がやろうとしているのは、分散型台帳、つまりブロックチェーンの活用です。この技術をエネルギー分野に活用して、分散型エネルギーの経済圏を創る、つまりビジネスとしてどう使っていくかを考えようと。かなり難易度は高いです。

 ブロックチェーンの活用方法についてですが、これには1つの情報から、電力取引、環境価値の取り引き、地域内の高速同期制御、VPP(バーチャルパワープラント)との接続など多くの広がりを持たせたいと思っています。意味あるデータをトランザクションとしてパックして、ビジネスへ活用できたら良いなと。

 私自身、ソフトウェア作った経験は多少あるものの、改めて15年振りに専門書をたくさん購入して、プログラミングを約2年間徹底的に勉強し直しました。やはり自分でできないと話になりません。また、肩書よりも、自分で何をしているかが大切と思い、自ら「分散エネルギー推進プロデューサー」と名乗っています。

和田氏 それがDELIAの設立につながるのですね。なぜDELIAを作ろうと思ったのか、より詳しくその背景や目的を教えてください。

中村氏 DELIAとは、「Distributed Energy Leader Infrastructure Alliance」の頭文字を取ったもので、日本語では「ブロックチェーンによる分散型エネルギー情報基盤アライアンス」と表します。DELIAでは2つの仕組みを作ろうと考えました。ETP(Energy Transfer Proof)とJWATです。ETPとは、電力の移動証明を意味します。分散エネルギーの電力の移動証明をリアルタイムに追いかけて、記録する役割を担います。一方、JWATは設備投資の運営や決済に使う通貨の役割を果たします。そしてこの物理界(ETP)と経済界(JWAT)を結ぶ仮想環境を構築し、事業化していこうとしているのがDELIAなんです。

 

(てんでんこ)電気のあした:13 革命

2019/3/28 朝日新聞

 

 ■映画は五つの地域を描く。「お金も心も都市に依存する田舎を変えなければ」

 岐阜県郡上(ぐじょう)市の石徹白(いとしろ)の春は、雪解け水の音が運んでくるという。

 約100世帯の集落を流れる豊かな水は、3年ほど前から全世帯分の2倍を超える電気を生み出すようになった。大きな水車の隣にある農産物加工所はトウモロコシのドライなどを作り、お年寄りを病院などに送迎するNPO電気自動車への充電を目指す。

 そんな暮らしを記録した映画「おだやかな革命」の上映会が21日、神戸市内であった。昨年2月の公開以来、150回を超えた。

 上映の後、石徹白に移り住んで8年になる平野彰秀(ひらのあきひで)(43)と平野馨生里(ひらのかおり)(37)夫妻ら4人が約50人の聴衆を前に話した。この10年余りで移住した新住民は、15世帯46人になった。

 「もともと昭和30年までは水力で電気を自給していた土地です。自分で生活をたてる。その経験を地元の人たちに聞いています」

 監督の渡辺智史(わたなべさとし)(38)はこう語った。

 「右肩上がりの時代の社会が行き詰まって、これからの時代にどう向き合うのか。地域でのチャレンジが広がっている」

 「革命」が進む五つの地域の暮らしを映画は描く。そのひとつ、岡山県西粟倉(にしあわくら)村で5年前に起業した井筒耕平(いづつこうへい)(43)も加わった。

 「エネルギーを外から買って、お金も心も都市に依存するようになっていた田舎を変えなければ、と考えたんですよ」

 1500人足らずの村で、3軒の温泉のボイラー燃料を、重油から山で切り出した薪に替え、2千万円弱の燃料代が地域で循環するようになった。木工品など地域資源を生かした業種をはじめ、起業は34社に拡大した。

 カメラは福島県の二つの新電力も追う。飯舘(いいたて)電力(飯舘村)は、パネルのすき間をくぐった太陽光が牧草などを育てる「ソーラーシェアリング」方式をはじめ、小さな太陽光発電所を44基に広げた。会津電力(喜多方市)は昨秋に立ち上げた小水力発電所を起点に「水力を会津に取り戻す」作戦を進める。

 一方、秋田県にかほ市の丘に建てた風車から電気を購入する首都圏の生活クラブは、2基目の風車建設事業をめぐり、東北電力との送電線接続交渉がなお難航している。

 渡辺は9月、五つの地域や自主上映団体が語り合うサミットを東京で計画する。「エネルギーと暮らしの革命はこの先もそれぞれの地域で静かに進行しますよ」

 (菅沼栄一郎

 (No.690)

 

太陽光の“卒FIT”53万件をめぐる争奪戦! 電力買い取りと家庭用蓄電システムに商機

2019/3/22 https://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1903/22/news022_3.html

 

 

エクソルが描く、ポストFIT時代の自家消費ビジネス

 太陽光発電機器メーカーのエクソルは、卒FITを1つの契機に、ますます注目が高まる自家消費市場の開拓を目指す。見据えているのは、卒FITの先にある「ポストFIT時代」、FITから自立したビジネスモデルの構築だ。「電気は買うより、つくる方が安い時代になる」として、太陽光発電をすべての住宅に搭載すべきことを訴える。初期費用ゼロ円、月々の利用料を支払うことで太陽光発電設備を設置できるシステムや、太陽光パネル3枚以下でも設置できるコンパクトプランなど、新たなソリューションを提供する。

 出展ブースでのセミナーでは、同社代表取締役社長の鈴木伸一氏が「太陽光発電の使命」を次のようにアピールし、来場者の共感を誘っていた。

エクソルでは、鈴木社長(左)がポストFIT時代のビジネスを語る

「太陽光発電は、地球温暖化問題への切り札です。再生可能エネルギーのエースとして貢献するのは当然のこと。ゼロエミッション電源として最良の選択肢となるべく、まさに自助努力が求められています。

 国際紛争の主因は、エネルギー資源の取り合いです。すべての国が太陽エネルギーで電力を自給できる日がくれば、エネルギー格差はなくなり、先進国と途上国間の暮らしの格差も縮まります。そして、国際紛争も激減するはずです。

 未来の子供たちに、安心・安全なエネルギーを財産として遺しましょう。自給自足のゼロコストエネルギーによって、エネルギー自給率を高め、同時にレジリエンスとして災害時や停電時にこそ力を発揮する太陽光発電は、エネルギーセキュリティを支え、豊かで争いのない、人々の生命を守る社会の実現につながると私たちは考えています」

 

福島第一事故の対応に最大81兆円 シンクタンクが試算

小森敦司

 

 東京電力福島第一原発事故の対応費用が総額81兆~35兆円になるとの試算を民間シンクタンク日本経済研究センター」(東京都千代田区)がまとめた。経済産業省が2016年に公表した試算の約22兆円を大きく上回った。

 81兆円の内訳は、廃炉汚染水処理で51兆円(経産省試算は8兆円)、賠償で10兆円(同8兆円)、除染で20兆円(同6兆円)。

 経産省試算との大きな違いは、汚染水の浄化処理費用を約40兆円と大きく見積もったことや、除染で発生する土壌などの最終処分費用を算入したことなど。また、この汚染水を、水で薄めたうえで海洋放出する場合は、廃炉汚染水処理の費用が11兆円になり、総額も41兆円になるとした。

 これに加えて事故で溶け落ちた核燃料デブリ)を取り出さずにコンクリートで封じ込める、いわゆる「石棺」方式を採用した場合は、廃炉汚染水の費用が4・3兆円になり、総額も35兆円になるとした。ただ、「石棺」方式は、かつて「復興やふるさとへの帰還をあきらめることにつながる」などと問題になったことがある。

 同センターは2年前、総額70兆~50兆円に膨らむとの試算を出したが、その後の汚染水処理や除染などの状況を踏まえ、再試算した。試算を示したリポートはこの費用の増加を踏まえ、「中長期のエネルギー計画の中で原発の存否について早急に議論、対応を決めるときではないか」と指摘した。(小森敦司

 

2018年 

太陽光

発電

 
1月   152  
2月 248  
3月 429  
4月 509  
5月 518  
6月 448  
7月 469  
8月 392  
9月 444  
10月 372  
11月 252  
12月 119  
     
     
     
   

計4352.028

 

 

 

 

神話を破壊、111%の電力生むデンマークの風力 (1/4)

風力発電など、再生可能エネルギーに由来する発電所をこれ以上増やすことが難しいという議論がある。系統が不安定化したり、火力発電所の増設が必要になったりするという理由だ。このような主張は正しいのだろうか。風力だけで消費電力の100%以上をまかなったデンマークの事例を紹介する。

» 2016年12月19日 13時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 

 

 

 

デンマークが発電の記録を打ち立てた。2016年12月1日、国内の全消費電力を超える電力を風力発電から得た*1)

 現地時間2時30分から18時30分までの発電比率の推移を図1に示す。風力発電が消費電力に占める割合を縦軸にパーセント表示したもの。2時30分ごろから5時50分ごろまで100%を超えている。最大値は111%だ。

*1) デンマークEnerginet.dkは、国営の送電システムオペレータ。ガス網も管理する。電力・ガスに関するリアルタイム情報を1分ごとに「Power right now」というWebページ上で公開しており、今回はこのデータを分析した。

図1 デンマークにおける風力発電の出力と消費電力の関係 丸印は作図に用いたデータの時刻 出典:デンマークEnerginet.dkが公開した電力データを基に本誌がグラフを作成

神話と事実は異なる

 今回のデンマークの記録から分かることが幾つかある。再生可能エネルギーや発電にまつわる幾つかの「神話」、その神話に誤りがあることだ。図1から分かる誤りは2つある。

神話1:風力発電の比率が高まると、系統が不安定になり制御できなくなる

神話2:変動する風力発電は、主要な電力源として役に立たない

 風力発電の比率が100%を超えたことはもちろん、1日を通じて70%以上の比率を維持しながら問題は生じなかった。12月1日に限った話ではない。その後も100%を超える日が続き、風力の比率が高い水準で推移している。

火力発電は不足しないのか

 風力発電などの再生可能エネルギーを用いた発電所は、出力が大きく変動する。変動を吸収するためには、これとほぼ同程度の出力の火力発電を用意しなければならないという主張がある。この主張は正しいのだろうか。

神話3:風力発電を増強すると、それに合わせて火力発電も増やさなければならない

 デンマーク国内には風力発電所の他に、大型のガス火力発電所と小型のガスコージェネレーション発電所、太陽光発電所が複数ある。それぞれのガス火力発電所の出力変化はどうだったのだろうか*2)。図2を見てほしい。

*2) デンマークでは太陽光発電の導入量は少なく、12月1日は終日雨がちだったため、ここでは触れていない。

図2 風力発電と2種類のガス火力発電の出力変化 出典:デンマークEnerginet.dkの公開データに基づき本誌作成

 コージェネレーション発電所は電力と同時に熱を生み出して都市に熱を供給する。図2ではほとんど変化していない*3)

 大型のガス火力の出力には変動が見られるものの、風力の出力変化とは直接関係していない。

*3) 図2では示されていないものの、デンマークのコージェネレーション発電所はEnerginet.dkの管理下にあり、必要に応じて出力を増減できる。12月1日以外ではそのような運用が確認できた。

 

猛暑こそ太陽光発電 最高気温更新でも安定

2018/8/20



 

 記録的な猛暑が続いたこの夏、冷房を使う機会が増える一方で、東京電力管内の電力需給は、深刻な逼迫(ひっぱく)に陥った日がまだないことが分かった。太陽光発電の発電量が増え、節電の浸透で電力消費自体も減っていることなどが要因だ。東電管内で稼働している原発はゼロでも猛暑の日を乗り切っており、「電力の安定供給には原発が不可欠」とする政府や電力業界の主張はその根拠が薄らいでいる。 (伊藤弘喜)

 電気の使用可能量(供給)に占める実際の使用量(需要)を示す「使用率」について、東電は安定的(93%未満)、やや厳しい(93~95%未満)、厳しい(95%以上)、非常に厳しい(97%レベル)の四段階に区分する。一般的に暑い日ほど冷房が使われ使用率は上昇。97%を超えると停電の可能性も生じるとされる。

 だが、この夏の使用率は、埼玉県熊谷市の気温が四一・一度と国内最高記録を更新し、東京(千代田区)で史上三位の三九・〇度に達した七月二十三日でも92%と「安定的」だった。ほかの日をみても、94%となって「やや厳しい」となった七月二日以外は、すべて「安定的」だ。

 電力不足が避けられているのは、「気温が高い」との予報がある日に、東電が火力発電の発電量や他の電力会社から融通してもらう電力を増やしていることが要因になっている。さらに午前十時~午後三時ごろに増える太陽光の発電量が、電気の使用がピークになる午後二時ごろと重なることも大きい。太陽光発電は、再生可能エネルギーで発電した電気をすべて電力会社が買い取る制度が二〇一二年に導入されてから増加。東電管内でも供給力の一割超を占めるようになっている。

 節電や省エネで、電力の消費量自体も減っている。七月二十三日には、東電管内の電力使用量が午後二~三時に五千六百万キロワットと震災後最大を更新。それでも〇一年七月二十四日に記録した過去最大量よりも13%少なかった。

 事前に契約した企業への一時的な節電要請や、他の電力会社に電力を融通してもらう仕組みが整備されたことも、供給安定の要因に。日没以降も高温が予想された八月の一日と二日、東電は夕方にかけて大口顧客に節電を要請した。今年一月も厳しい寒さで暖房の利用が急増したが、電力会社間の融通によって電力不足は回避された。

(東京新聞)

 

幹送電線、利用率2割 京都大特任教授、大手10社分析

2018年1月28日 朝日新聞



 

 風力や太陽光発電などの導入のカギを握る基幹送電線の利用率が、大手電力10社の平均で19・4%にとどまると、京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽・特任教授が分析した。「空き容量ゼロ」として新たな再生エネ設備の接続を大手電力が認めない送電線が続出しているが、運用によっては導入の余地が大きいことログイン前の続きが浮かび上がった。▼経済総合面=増強費用負担が前提

 

 基幹送電線の利用状況の全国調査は初めて。29日に東京都内であるシンポジウムで発表される。

 50万ボルトや27万5千ボルトなど各社の高電圧の基幹送電線計399路線について、電力広域的運営推進機関(広域機関)が公表しているデータ(2016年9月~17年8月)を集計した。1年間に送電線に流せる電気の最大量に対し、実際に流れた量を「利用率」とした。

 分析の結果、基幹送電線の平均利用率は東京電力が27・0%で最も高く、最低は東北電力の12・0%。一時的に利用率が100%を超える「送電混雑」が1回でもあったのは60路線で東電が22路線を占めた。

 一方、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線は全国に139路線あったが、実際の平均利用率は23・0%で、全体平均と同程度。大手電力がいう「空き容量ゼロ」は、運転停止中の原発や老朽火力も含め、既存の発電設備のフル稼働を前提としており、実際に発電して流れた量ははるかに少なく、大きな隔たりが出たとみられる。

 電気事業連合会の勝野哲会長は昨年11月の会見で、送電線に余裕があるのに再生エネが接続できない状況を指摘され、「原子力はベースロード電源として優先して活用する」と述べた。

 ある大手電力は「空き容量は、送電線に流れる電気の現在の実測値だけで評価できるものではない」と説明する。だが、欧米では、実際の電気量を基にしたルールで送電線を運用して、再生エネの大量導入が進んでおり、経済産業省も検討を始めた。

 「空き容量ゼロ」路線の割合は、東北電、中部電力、北海道電力、東電で高く、西日本の電力会社は少ない。東北電、北海道電などでは、空き容量ゼロの利用率が、管内全体の基幹送電線より低かった。

 安田さんは「本来は利用率が高く余裕がないはずの『空き容量ゼロ』送電線が相対的に空いているのは不可解だ。『なぜ空き容量をゼロというのか』『なぜそれを理由に再生エネの接続が制限されるのか』について、合理的で透明性の高い説明が電力会社には求められる」と指摘する。(編集委員・石井徹、小坪遊)

 

 ■大手電力の基幹送電線の路線数と平均利用率

北海道電力 38(19) 14.5%〈14.1%〉

東北電力  34(23) 12.0%〈9.5%〉

東京電力  77(31) 27.0%〈36.6%〉

中部電力  77(48) 20.4%〈25.4%〉

北陸電力  10(3)  14.8%〈25.9%〉

関西電力  50(9)  25.5%〈23.7%〉

中国電力  20(4)  13.9%〈2.2%〉

四国電力  25(0)  16.3%〈-〉

九州電力  53(2)  15.0%〈26.7%〉

沖縄電力  15(0)  14.2%〈-〉

 ※( )内はうち「空き容量ゼロ」とされる路線数。〈 〉内は「空き容量ゼロ」路線の平均利用率

 

2017年太陽光発電はついに原子力発電を抜き去った

2018年2月8日 環境エネルギー政策研究所)


 

世界中で急拡大する自然エネルギー市場の中で、これまで主力だった水力発電風力発電を追い抜く勢いで、太陽光発電の普及が飛躍的に進んでいる。

Bloomberg New Energy Finance(BNEF)の速報データ[1]に依れば、太陽光発電2017年の年間導入量は、世界全体で30%増、過去最大となる約1億kW(98GW)に達した。

累積導入量で見ると、太陽光発電は10年前(2007年)にはわずか900万kW(9GW)だったが、2017年末には4億kW(400GW)と40倍以上に拡大し、ついに太陽光発電原子力発電(392GW)を追い抜いた (図1)。風力発電は、2017年、前年比微増となる5600万kW拡大し、累積導入量でもすでに2015年原子力発電を超えて2017年末には5.4億kW(540GW)に達した。

http://www.isep.or.jp/archives/library/10685

 

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風力発電、目標の3割どまり 送電線の整備遅れ

 

2018/1/17 日本経済新聞

 

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 風力による発電が伸び悩んでいる。2017年の導入量(発電所新設分)は16万9千キロワットと16年に比べて12%減少した。17年末の累積導入量は16年末より5%増えたものの、政府目標の約3割にとどまる。「太陽光偏重」となっている再生可能エネルギー。基幹電源となるためには、規制緩和や家庭などに届ける「送電線」など、風力発電事業で解決すべき課題は多い。


 

 日本風力発電協会が17日に発表した統計によると、17年単年の導入量は2年連続で前年実績を下回った。「環境影響評価(アセスメント)に時間がかかっている案件が多い」(同協会)のが理由だ。

 環境アセスは4~5年かかるうえ、風車の配置変更や基数減少が求められるケースも少なくない。グリーンパワーインベストメント東京・港)が17年末に着工した発電所も、国定公園に近いことから計画の変更を迫られた。当初は15年に着工する予定だった。農地や保安林を守る規制も影響した。

 送電線について、風の強い地域で不足していることやコストが高いことも大きい。

 欧州では発送電分離が進み、送電線への投資を電力料金を通じて社会全体で賄おうとする傾向がある。日本では送電線は大手電力会社が持つ。大手電力が送電線を新設する際の費用の一部を発電事業者が負担しなければならず、負担は大きくなりがちだ。日本の送電線関連費用はドイツの約3倍になっているとの調べもある。

 既存の送電線についても問題を指摘する声は多い。運用指針によって、接続申し込みの早い順に発電事業者が決まる仕組みになっている。この結果、稼働していない原子力発電所火力発電所がフル稼働することを想定した送電線が空いたままの状態になっているケースもある。


 

 政府は30年度に風力発電の導入量を1千万キロワットとする目標を掲げる。同協会によると、17年末の累積導入量は339万キロワットで、3分の1にとどまる。今のままでは「達成できない可能性がある」と風力発電大手幹部は不安を募らせる。

 「今後は海外の案件発掘に注力する」(オリックスの錦織雄一環境エネルギー本部長)。事業の軸足を海外に移す日本の再生エネ事業者も出始めている。

 ただ全ての再生エネが同じ状況ではない。経済産業省によると太陽光発電の17年3月時点の導入量は3910万キロワットで、政府目標の6割を達成した。18年3月末には政府目標の7割近くに到達するとの見方が強い。

 太陽光アセスが不要なうえに電力の買い取り価格は当初、風力の2倍だった。空き地活用など設置が容易なため多くの異業種が参入した。買い取り価格は年々下がり、規制が強化されたが、固定価格買い取り制度により20年間は高額で売電できるため、急増した太陽光発電所は当面稼働が続く。

 「日本は海に囲まれているのになぜ風力発電が普及しないのか」。17年秋に都内で環境省が主催した日独の電力関係者の交流会。ドイツの発電事業者から疑問の声が上がり、日本側は説明に追われた。世界を見回すと再生エネの主軸は風力になっている。ドイツは3分の1を占め化石燃料含めた総電力の1割に達する。それでも年10%以上のペースで成長する。

 輸入化石燃料に多く依存する事情から、多様な自給自足エネルギーの確保を目的に導入促進された日本の再生エネ。太陽光に偏っていては、エネルギーの安定供給に不安を残す。政府も手をこまねいているわけではなく、空き容量を見ながら、既存送電線を有効利用する英国の制度に習い「日本版コネクト&マネージ」と呼ぶ取り組みを開始している。