台風のせいでジメっとムシムシしている都内です。『野鴨 ーVildandenー』本日東京千穐楽です✨おはようございます☁️
ヤルマール父(グレーゲルスが敬愛するエクダル中尉)を演じている浅野和之さんは今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で小栗さん演じる北条義時の祖父である伊東祐親を演じられていましたよね。すごく穏やかな印象なので、己のプライドのためには(宿敵頼朝とはいえ)孫でさえもあやめてしまう冷徹さと猛々しい坂東武者っぷりに驚きましたが、浅野さんお見事でした。
今回、訳本を読んだ時にヤルマール父役はピッタリだろうな~と思ってはいましたが、やはりさすがだなと。それ以上にヤルマール父=浅野さんってことを忘れるほど”THE老人”なんですよね。力ない歩き方、佇まいはもちろん、丸くなった背中から漂うくたびれ感。膝の上に乗せた指先の曲がり方… 老いても家長として生きてきた特有の喋り方…嗄れ声でも威勢よく喋っていたのに、ソファーに座りながらいつの間にか居眠りしてしまう存在の消し方!眠っている姿さっきより小さくなってない?!と感じるほどなのに、ラストの『俺は怖くない』と己を鼓舞する老兵の叫びは圧巻。目が見えにくくなっているとはいえ、グレーゲルス父の矍鑠感との対比も含めて陰と陽。
そんな歩くのもやっとなヤルマール父を前にしても、過去に生きるグレーゲルスが子どもの頃のエクダル中尉の虚像に縛られ『あの頃の情熱』『僕と一緒に山に帰るべきだ』と強引に誘うあたり、羽を撃たれて沈みながら水草にしがみついている野鴨と同じ…と感じます。
どうか、どうか無事に東京の幕が下りますよう…♡