小さな頃褒められたことって
その当時は何が何だか
こそばゆいだけでわかんなくても
いつまでも覚えてるもんだよね
起きた彼女が物欲しそうに
伸ばしたその細い指先で
俺の喉下を撫でながら問いかけてくる午後を跨きそうな朝
昨夜の残像を知らせる
一部だけひんやりとしたシーツにくるまりながら
名残惜しそうに俺をなぞるのは昨夜とは打って変わった体温の指
私ね
お正月に毎年
自慢にさせられてた項(うなじ)見せるために
髪結いて貰ってて
褒められながらそのまま
襟足ずっと撫でられてたんだ
当時美容師さんだった親戚のおじさんに
その時はさ
よくわかんなかったけど
やたらそこばかり撫で回されるからさ
「おじさん、そんなに綺麗なの?あたしのここ。」
って
恐る恐る鏡に映る
チクリとした笑顔見ながら問いかけたの
そしてね
伸び過ぎて首元下まで届きそうな手に手を当ててみたんだ
当時に戻ったみたいに
終わりそうもなく
話続ける彼女を見つめながら
その少し温まって来た指を振り払って鏡に立つ
そのお髭もさ
綺麗な太輔には削ぐわない汚いお髭だけど
私は好きよ
昨夜みたいに
いや
違うなあ
私のおじさんが触ってたみたいに
今朝は触ってい?
てかさ
ねぇ俺のどこがいいんだよっての
抗う為の自己表示、ねぇそれはただの自己満足なんだからね
プロテイン男子ならぬ反抗した厨二病なんてやめときなよ、って
わからせる為に褒めてるのか?
…って聞いてる?
横見ると
何故か勝手に今度は自分のこと慰めてる彼女がいた
…あ、ああはぁあ
ごめんなさい、、
…ちゃったみたい
あのおじさんの生温かい指思い出して
いや
太輔褒めて困らせて
あたしね
駄目なんだ
褒められて困ってる人見るの
何故だかね
あの日のそうしたかったあたしが頂点に達しちゃうの
果てた彼女を傍目で眺めながら
俺は俺で準備にかかる
こうしてまた
来る夜を待つ長い昼
俺も褒められてる昨夜の想像だけでまた…きそうだ



