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ぶーさーのつやつやブログ

艶が2次小説と薄桜鬼ドラマCD風小説かいてます。

これは、お休みする直前に書き上がっていたお話です。
今後、ちょこっとずつ「薄桜鬼小説」増やしていきますw
薄桜鬼の主要メンバーでバンドを組んでいたら?というお話です。
読み切りではなく、続く予定です。
※バンド名が「薄桜鬼」ってどーなの? ま、いっかw

ではどーぞ。
  
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これは、とあるロックバンド「薄桜鬼」メンバーのお話―――



中性的な声と甘い顔のボーカル、沖田総司。
性格はバンド内一の小悪魔。社長の近藤を慕っており、チーフマネージャーの土方を軽視している。
その為、小さな衝突は日常茶飯事。

リードギターは原田左之助。
バンド内のまとめ役的存在であり、バンマスでもある。
面倒見が良いせいか、他のメンバーがはめを外し、いつもそれに巻き込まれてしまうちょっと損なポジション。

サイドギター、藤堂平助。
一番年下と言う事もあり、何かとみんなからいじられる。
とにかく血の気が多く、喧嘩っぱやい。

ベース、斎藤一。
寡黙で何を考えているか分かりづらい。
何故かチーフマネージャーの土方には従順。

ドラム、永倉新八。
お調子者で、酒と女が大好き。
演奏のテクニックは相当なものだが、うっかり間違える事が多く、メンバーたちから若干あきられている。




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「だぁからぁ、間違ってんの俺じゃねえって!」

都内の大きなリハーサルスタジオの1室で、ギターの藤堂がネックを強く握り締めて大きな怒鳴り声を上げる。

「平助だろぉが?さっきから何回もブリッジんとこでコード間違ってんのはよ!?」

藤堂に喰ってかかっているのはドラムの永倉だった。

「まぁまぁ、平助も新八も落ち着けって」

仲裁に入ったギターの原田が二人の間に立って両腕を広げる。

「・・・もう、ちょっと休憩しようよ。僕疲れちゃったし・・・行こう、はじめくん」
「ん?あ、ああ・・・そうだな」

ボーカルの沖田はマイクスタンドのホルダーにマイクを戻して、はじめくんと呼ばれたベースの斎藤と連れだってスタジオ内から出て行った。




沖田と斎藤がサブルームに上がると、テーブルでPCとにらめっこしていたチーフマネージャーの土方が

「おぅ、どうした、休憩か?」

と振り返った途端、不機嫌そうな顔をして口に咥えていた煙草の灰がぽろっと崩れた。

「おっと・・・すまん、斎藤」

その灰はすかさず斎藤が差し出した灰皿の上に落ちたから、土方のPCは灰で汚れるのを免れた。

「んもぅ、はじめくんの方が土方さんのマネージャーみたいだよね」

嫌味っぽく笑った沖田が土方の向かい側に座る。

「また平助と新八さんが揉めだしちゃったからさ、はじめくんと抜け出してきたんだよね」
「ったく・・・あの二人はいっつもいっつも」

土方は煙を吐き出して、灰皿で煙草をねじ消しながらサブルームの小窓からスタジオ内を覗き込んだ。
それと同時にドアが開き、プロダクションの社長である近藤と現場マネージャーの山崎が顔を出した。

「おぉ、お疲れ。どうだ?リハは順調か?」

近藤は豪快な笑顔で言って、手土産をテーブルに置いた。

「わぁー、近藤さん、これ何~?」

言うより速く、沖田が飛びつくように箱を覗き込んだ。

「ケーキを買って来たぞ、皆で食ってくれ!」
「やった!誰かさんと違ってさすが、気が効きますね、近藤さんは」

沖田はちらりと土方を見て、箱の中から手づかみでケーキを取り出し、ぱくっとかぶりついた。

「んだよ?いちいちうるっせぇな、総司は」

きっと睨み返して、またPCの画面に視線を戻す。

「社長、僕もいただいて宜しいでしょうか?」

斎藤が恭しく言って椅子から立ち上がると、

「もちろんだ、食ってくれ!いっぱい買って来たからな」

近藤は嬉しそうに笑って、箱をずいっと斎藤の方へ押しやる。

「有難うございます、いただきます・・・では、まずチーフにこれを・・・」

自分の分よりも先に土方の分のケーキを取り出して、PCの横にそっと置く。

「おう、斎藤。有難う」

後でいただくよ、と呟いて、土方は再び作業に戻る。

「ところで、他の3人は?」

きょろきょろと近藤が室内を見回すと

「あ、スタジオ内にいるようですね。せっかく近藤さんが来たので呼んできましょう」

山崎はさっとサブルームから出て、スタジオ内で揉めていた3人を呼びに行った。



まだごちゃごちゃと口論を交わしていた永倉、原田、藤堂がサブルームへやって来ると

「・・・ったく、お前らいい加減にしろ!」

土方がバンっとテーブルに手をついて一喝すると、後からやって来た3人はぐっと黙り込んだ。

「歳、そう怒るな。バンド内でディスカッションを交わすのはいい事だと思うぞ?そうやって、ひとまわりふたまわりと大きくなって行くもんなんだから」
「さっすが近藤さん、どこかの誰かと違って懐が深いなぁ」

ケーキを食べ終えた沖田が指についたクリームを舐めながら笑う。

「ぅるっせぇ!・・・もう今週末にはアリーナ本番なんだから、ちったぁまとまったらどうなんだよ?」

突き刺すような視線を沖田に向けて、その後で黙ったままの3人を見やる。

「・・・はぁ~い」

しぶしぶと藤堂が返事をすると、永倉もそれにならって返事をする。

「い、いやっ、俺は2人を止めただけだからな。こいつらいっつもモメやがるから」

原田は、藤堂や永倉と一緒にされては困るとばかりに自分の両脇に立つ2人を交互に睨みつけた。

「んなこたぁどっちだっていいんだよ!10分休憩したら、すぐに通しリハ、始めろよ?」


土方のドスの聞いた言葉に「はい」と答えたのは斉藤だけだった―――



【続く・・・】