周りが、皆、間が抜けて居る様に視えるならね。

其れは、ちと勘違いってもんさ。



世の中は、

理想的な君子(くんし)にて成立しちゃあいないからね。


君子を理想とした孔子で在っても

其れ、恕(じょ)かだよ。


思い遣りが、人生ではね。

一番に大切な心掛けなんじゃないかなと


弟子の子貢(しこう)にも語ったもんだよ。


切れ過ぎる頭脳、

怜悧な頭とはね。


まさに

諸刃の劒(つるぎ)、


確かに的は得て居るかも知れないが


的を得て居るが故に

相手の弱味を突き、


己れが、強いと虚勢を張って見せる

張りぼての虎と謂う処かも知れないぜ。


結局は、味方も褪(さ)めて仕舞う。


理屈では、まさに

そうさ。


でもね、人は、理屈や理想だけでは

動けない。


動かない。


絵空事、独り善(よ)がりは


人の心さえ

空っぽにする。


伽藍堂(がらんどう)

ゴーストタウン(ghost town)には、


冷たい風が、音をたてて沈んで逝く。


三成の理想にはね、

住める人も数が、


家康の理想よりも

少なかったと謂う事なのかも知れないね。