それぞれに、考え方があり、生き方がある。
今年の7月いっぱいまで、西麻布で約2年間「cafe&Bar」 を、共同経営していた。
始めたきっかけは、週に二回ほど通っていた、写真学校での出会いからだった。
彼は、俺の9歳年上で、友達でもあり、お兄さんのような存在だった。
彼は、俺が興味を持っていたものを、ほとんど経験していた。
ボクシング、スカイダイビング、ホノルルマラソン、行きつけのBAR。 彼の体験談を聞き、より興味をもちきっかけを、与えてくれた。 俺は、キックボクシングのジムに通い始め、ホノルルマラソンにも参加し完走。 今では、行きつけのBARも、数軒ある。
彼のおかげで、少し変われた気がする。 彼には、「俺は、30歳で、自分の店を出す」と、話していた。
そんなとき、彼のもとに cafeを、共同経営しないかとの話がきた。 彼自身も、店に興味がありやる気あった。しかし、ほとんど飲食の経験がなく、一人では、自信がない。そこで、俺に話が来た。
当初は、昼のcafeタイムのオーナーに雇われての形態での話だったが、昼と夜を、分けて毎月売り上げの何パーセントを、支払うことにした。
BARタイムの経営をすることが決まって、新装開店を3ヶ月後にひかえ毎日のように、彼と打ち合わせを重ねた。
店内改装、食器決め、酒屋選び、メニュー作成・・・・ やることは山ほどあった。お互いに、仕事をしながらだったので、深夜からの打ち合わせもざらだった。 二人で、ひとつの目標に向かい、とても充実した時間だった。
OPEN当日のpartyには、100人をこえる人が、お祝いに駆けつけてくれた。 お店に、人があふれ、楽しそうな笑顔を見たときに、泣きそうになった。 ていうか、泣いた・・・・。
彼と硬い握手をして、今後ともに、がんばっていくことを、誓った。
しかし、数ヶ月が経ち、客数にもばらつきがあり、昼と夜の逆転生活。収入減。 あまりの生活の変化に、次第に彼は、ダメージをうけていた。 そして、3ヵ月後。 彼は、店を辞めた。
辞めた当初、俺は、彼に嫌悪感を抱き、見下していた。弱い人間だと。
俺は、そのまま店を、続けた。
半年以上、連絡を取らずにいた。 彼の目標を見失いかけている姿を、見たくなかった。
しばらくして、共通の友人から彼が、アラスカにオーロラを観に行ったと聞いた。
そして、そのツアーを企画した旅行会社に就職した。 旅が、好きな彼が、居場所を見つけたのだ。
彼に、以前の輝きが、戻った。 彼のブログに、生き生きとした言葉が、つづられていた。
とてもうれしかった。 一度は、同じ道を歩き、そして別の道を歩んでいる。
彼には、彼の道があり、俺には俺の道がある。 道は、一本じゃないかもしれないし、今歩んでいる道は遠回りなのかもしれない。
でも、一歩一歩を大切に、常に前に進んでいれば、きっとたどり着ける気がする。
また彼に会いたくなった。 飲みに行こうと誘ってみようかな・・・。