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坊さんに弟子入りした21才

「生き方が分からない」と悩む21才のマザコン大学生に救いの手を差し伸べてくれたのは「坊さん」だった。坊さんから仏教的生き方を洗脳されると人生が激変していく。坊さんに弟子入りしたけど、出家はしていない普通の20代男が、小学生でも実践できる仏教の知恵を紹介。

今思っても、なんで坊さんに
弟子入りしたのだろうかと不思議に思う。

昔は宗教と聞くだけで、嫌悪感があって、
怖くて、この世から消えてなくなれば
いいのになんて思っていた。

戦争が起こるのも宗教のせいだと。

そういえば大学生のとき。

突然、中学のとき同じ部活で
仲の良かった後輩から、

「先輩、お久しぶりです」
「今度一緒に食事でも行きませんか?」

と電話がかかってきたことがあった。

なんでこんな唐突に連絡があったんだろう
と不思議に思ったけれど、

彼は中学のときに家が火事にあって、
それ以来、話すことがなく卒業を
してしまっていた。

久しぶりに声が聴けて嬉しかったから、

「いいよ。行こう」

と返事をした。

後日、たまたま同じ中学の後輩に会って、
そのことを話したら、

「先輩、ソイツに会わない方がいいですよ。

ソイツの家族、新興宗教にハマっちゃって、
同じ中学の奴らにバンバン勧誘かけてるんですよ。

俺もこの前、連絡かかってきましたもん」

「えっ!?、、、アイツが?」

愕然とした。

どうやら火事にあったときに、
ある宗教団体から多額の援助を受けたらしい。

本当にショックだった。
信じたくなかった。

火事があったとき、友達と協力をして、
その後輩のために募金を集めたりした。

すごく人なつっこくて、
人付き合いがあまり得意ではない僕も、
彼とはよく話ができた。

宗教ってこんなに人を変えてしまうんだ
と思うと、怖くなって、気味が悪くて、
僕は宗教ってものが大嫌いになった。

そんな僕が今では坊さんに弟子入りをしている。

不思議だ。

今では宗教に対しての嫌悪感がなくなった。

「洗脳されてるんじゃないの?」と言われたら、
返す言葉がないがその通りだ。

僕は坊さんと出会って、
随分と自分の考え方が変わった。

そのことに自分自身も気づいている。

宗教は人を救いもするし、
人を狂わせて、不幸にもする。

それは宗教に限らずに、恋愛だって、
お金だってそうだから、こういう二面性は
どういうものにもある。

あるとき坊さんがこんな話をしてくれた。

「世界でもっとも有名な人って誰だと思う?」

確かそのときはアメリカの大統領なんて
答えたと思う。

世界でもっとも有名な人って、
考えてみると以外に思い浮かばない。

「アメリカの大統領か、、、なるほど。

でも、4代前のアメリカの大統領って
誰だか知ってる?」

「、、、分かりません笑」

今、オバマ大統領といえばひょっとしたら、
小学生でも答えられるかもしれないけど、

きっとクリントン大統領のことを
知っている子は少ないと思う。

「ある時代、名声を得た人でも、
時間の流れと共に、忘れられていく。

きっとマイケルジャクソンだって、
50年後には知らない人が多いと思うよ」

「なるほど」と思った。

きっと木村拓哉だって、タモリさんだって、
みのもんただって、あと50年後には、
ほとんどの人が知らなくなるだろう。

世界でもっとも有名な人、、、
その答えを坊さんが教えてくれた。

「どれだけ有名になった人でも、
時代の流れと共に忘れられていく。

でもね、時の流れを超えて、
国境も、性別も、年齢も超えて、
人々から愛されて、尊敬されて、
人々を救いつづけている人たちがいる。

それはイエスキリストとか、
マホメットとか、お釈迦さまとか、
宗教家といわれる人たちなんだよ」

からだがブルっと震えた。

そういえばガンジーだって、
マザーテレサだって宗教家だ。

人々の記憶にいつまでも残り、
語り継がれる人たちの中に、
宗教家は多い。

そして私たちはその言葉や行動に
勇気づけられている。

「そっか僕は勝手に毛嫌いしてたけど、
宗教家って凄いんだな」

いつも坊さんの口から仏教の話が
出てくると、僕はなんだか宗教の
勧誘をされているような気になって、
すごく嫌だったんだけど、

この話を聞いてから宗教への嫌悪感が
少しだけ崩れて、宗教を勉強して
みたいと思うようになったんだ。

なぜか今俺は坊さんに弟子入りしている。

こんな選択肢があるなんて
学校の先生も教えてくれなかった。

両親だって「好きなことをやったらいいよ」
なんて言ってくれていたけど、
さすがに坊さんに弟子入りするなんて
予想もできなかっただろう。

縁って本当に不思議なものである。

周りが就活をして、内定がとれないと
やきもきしている中、俺はひとり、

「俺って本当は何やりたいんだろう、、、」

なんて考えていた。

完全にひとり出遅れていた。

でも、俺はとりあえず生活のために、
就職先を探すなんて納得がいかなかった。

女の子にモテたくて、オシャレな服を買うために、
バイトをして、ただ時間が早く過ぎるのを
待つなんてもううんざりだった。

どうせオシャレな服買っても、
モテないし、、、

「俺はやりたいことやってるんだ!」
って実感が欲しかった。

大人からすると「甘い」とか、
「子どもみたいなこと言って」と、
あきれられるのかもしれない。

でも、人生って一度きりなんだ。

このままダラダラ過ぎて、
俺は精一杯生きた!って
満足感を得られるんだろうか。

、、、絶対にムリ。

俺は生きてる!って、

もし明日死んでも、
「もう思い残すことは何もない」
って思えるような生き方がしたかった。

「何かやらないと、、、何でもいいから。
このまま人生終わったら絶対に後悔する」

焦って、でも、結局何をやったらいいのか
分からなくて、1人でもがいていたとき、
俺は運命的な出会いをした。

これはユダヤ人大富豪に出会って、
成功の秘密のすべてを教えてもらった
なんていう格好良い話ではない。

なぜか俺が出会ったのは、、、

坊さんだった。

どんな出会いだったのか気になる
ところだと思うが、話すと長くなるので、
またの機会にする。

俺はこの坊さんに焦りを見抜かれていた。

「キミはこのままでは絶対に失敗するよ」

「ハァ?何でアンタにそんなことが分かるの!?
やってみなきゃ分かんねーじゃん」
とブチ切れそうになったが、

すぐに頭が冷えた。

ごもっともです。

このままじゃダメだって分かってる。

するとこの坊さんは突然こんなことを言い出した。

「僕と一緒に働かないか?」

、、、ヘッ???

何、この展開は?

「キミはこのままでは何をやっても失敗するよ。

もし、自分を真剣に変えたいんだったら、
僕と一緒に働かないか?」

この坊さんは俺に生き方を教えてくれるという。

人生には方程式があるんだと。

「オイオイオイ、何かすごい展開になってきたぞ。

チャンスなのか、宗教の勧誘にあっているのか
よく分からん。

、、、でも、このままだったら俺は何も変われない」

10秒考えて決断した。

「お母さんと相談させてください」

超情けない返事に、あきれることもなく、
「分かった。いいよ」と坊さんは
俺の返事を待ってくれた。

俺は家に帰って母さんに本気で相談して、
次の日坊さんに「ぜひやらせてください」と
返事をした。

まぁ何とも情けないスタートだったのだが、
俺はこの坊さんとの突然の出会いによって、
人生を180度変えられてしまった。

つづく