[ES]Ｈｅａｒｔ of HAIR代表　美食処　千貫家　店主

佐藤陽一×千貫家康之氏

「1人で行くか、仲間と行くか。職人魂の行きつく先は…」＃1

佐藤　　　今日はよろしくお願いします。

千貫家　　よろしくお願いします。

佐藤　　　お休みのところ、この対談にのってもらって、ありがとうございます。

千貫家　　どういたしまして。早速ですが、僕は、美容室に行ったことはないんですけど、美容室に来たお客様は、こう切って、というのか、似合うようにして、とか、どういうオーダーを出すんですか？一回切ってしまうと、伸びるにも時間がかかるし、大変な仕事だと思うんです。

佐藤　　　そうですね。最終的には「お任せ」と言っていただけるのが目標ですけど、最初はお客様のオーダーをしっかり聞き出すことと、忠実に再現できるかどうかが大切だと思います。体の一部を触る仕事なので、細胞を切っている、ということを考えて扱うようにしていますね。ただ、言われたまま切るだけではなくて、その人がどうなりたいかをしっかり聞いて、それを形にするという繰り返しです。それが、「任せるわ」につながるんだと思います。

千貫家　　なるほどね。話は飛びますけど、今って野望とか夢とかってない時代じゃないですか。国のせいにしてはいけないですが、自分がどうしたいか、ということが見つけにくいですよね。若い子たちに、最終的に自分がどうしたいか、という目標を持たせてあげにくいところが、僕は悔しいんですよ。僕が触れている若い世代だけかもしれないんですけど、本心から来る野望とか夢が、ないんですよね。僕も、自分が店を持った時点で、「店を持ちたい」という夢が終わっちゃったんですよ。そう考えたときに、もっと大きな夢を語らないといけないんじゃないかな？という気持ちがあるんですよね。

佐藤　　　僕は、夢追い人なんですよ。「こうしたい」「ああしたい」というのがたくさんあるんです。最終目標は、最後まで美容師のまま死にたいと思っているんです。そのためには、最後までお客様がいてくれなくてはいけない。もちろん、美容師で居続けるためには、最低限のお金が必要なんですよね。だからこそ、会社として［ES］プロジェクトを作ったし、スタッフたちにも美容師で居続けていてほしいと、勝手に思ってるんです。

千貫家　　その上の目標ってないんですか？つまり、店を持った時点で、自分のモチベーションをどう上げるかって大事じゃないですか。

佐藤　　　僕は、300人の会社にしないといけないんです。僕の右腕がそう言ったので、それは　僕の夢でもあるんですけども。同じ想いを持った仲間を増やして、その子のやりたい、形にしたい思いを叶えてあげたい。僕はスタッフを終身雇用したいと思っているんです。そのためには、お金を稼いでいくためのラインが必要なんですね。でないと、スタッフも、スタッフの家族も、ずっと一緒に仲間としてやっていけない。

千貫家　　佐藤さんは、人のためにやってるんだね。だから嬉しいんだね。

佐藤　　　そうですね。それが自分のためなんでしょうね。この仕事は、人のためにやって喜べる人じゃないと続けられないと思うんですよ。お金儲けしたいなら、美容師になるのはやめたほうがいい。好きな仕事でメシが食えるのは、いいところですけどね

千貫家　　なるほど。僕たちの業界は、自分と戦うところがあるんですよね。仲間じゃなくて。人を頼っても、結局自分。そこが美容師さんたちとは違うと思う。どれだけお客様に褒められても、自分が納得していないと何も嬉しくないんですよね。美容師さんにも、自分と戦うタイプの人もいるでしょ？

佐藤　　　もちろんいますよ。僕もそういう面を持って仕事してます。職人としてのこだわり、想いをもって美容に取り組むということをスタッフにもしっかり伝えていますしね。ところで大将って、何歳まで自分でお店してると思いますか？

千貫家　　考えてないです。今を一生懸命やってる。今はそれだけだなぁ。

佐藤　　　料理人って、年をとってもできるじゃないですか。でも、美容師ってできないんですよ。ものすごい技術を持っていても、年をとっているだけでお客様が来ない。そこが決定的に違いますよね。「ずっと切ってもらってるから、あなたで」という積み重ねのお客様はいるとしても、新たなお客様は絶対に嫌がるんです。だから、年をとったときに、それでもやってほしいというお客様を1人でも多く今から作らなくてはいけないんです。

千貫家　　それは素晴らしいことですよ。だからこそ、スタッフさんがついてくるんでしょうね。スタッフが300人になったら、佐藤さんのしたいことは実現できるんですか？

佐藤　　　はい。そうです。僕が死んでからでもいいけど、実現できると思います。今は、企業化はしようとしています。昔、美容師の先輩から、「現場から退かない限り、経営者になるのは無理」って言われたこともあるんですよ。でも、僕は現場から退かない。何か、退かずに経営者としてやる方法があると思うんです。

千貫家　　そういうことを考えるということは、きっとスタッフさんも佐藤さんを尊敬しているということなんでしょうね。すごいですね。

佐藤　　　スタッフがそう思ってくれていればうれしいですね。(笑)　トップが本当の意味での職人で、現場にいるということ。そして、そのトップを中心にできるプロ集団という雰囲気を僕は大事にしたい。だから僕、大将のお店の空気感を、スタッフにも見せたいですもん。これが本当の職人の姿だよって。

2へ続く…

[ES]Ｈｅａｒｔ of HAIR代表 佐藤陽一× 千貫家康之氏 ＃1

[ES]Ｈｅａｒｔ of HAIR代表　佐藤陽一×　千貫家康之氏＃1