ディズニー、ピクサーによる『インサイド・ヘッド』を子どもと一緒に観ました。子どもがいなかったら観なかった映画だと思いますが、観ていなかったことを後悔しました。とても良い映画で、クレヨンしんちゃんの『大人帝国の野望』以来の良作。不覚にも途中泣いてしまいました。インサイド・ヘッドというタイトルの通り、この映画ではライリーという女の子の中にいる擬人化された感情たちをめぐる物語となっています。ヨロコビ、カナシミ、イカリ、イライラ、ビビリという5つの感情が司令部にいて、ライリーの成長を見守ります。ライリーが生まれてから12歳になるまで、感情の多くを締めていたのはヨロコビでしたが、引っ越しを契機に変化が生じます。ちょうど年齢的にもさまざまな感情が芽生える時期。その揺らぎの時に、ひょんなことからヨロコビとカナシミは司令部を離れ、記憶が保管される場所に迷い込んでしまいます。一刻も早く司令部に戻らないと。ヨロコビとカナシミの冒険が始まります。あまり書いてしまうとネタバレになってしまうのでこれ以上は控えますが、感情や記憶の関係など、世界観がとてもよく練られていて、少女の心の機微など、こういうのって人類共通なのかなと思いながら見ていました。また、親目線で見ていて、かつての感情たちを振り返り、頭の中でこんなふうにトラブってたのかなと、とても心揺さぶられるものがありました。感情同士が理解し合うこと、特にヨロコビとカナシミの関係の変化、複雑な感情を伴う記憶へと移り変わる過程は、自身や子どもの成長過程とも重なりました。これからもっと子どもには様々な感情の変化や思い出が作られて行くのかなと思うと、もっとシンプルなままでもいいのにと、子の成長に対する複雑な気持ちを抱きました。下の子は5歳ですが、最後泣いてしまって、小さくてもよくわかってるんだなと。寝かしつける時に映画の話をしたら、思い出すと泣いちゃうからやめてと言われました。感情と向き合う時に、頭の中にこんな感情たちが右往左往してるんだよと、すこし思い返せるだけでも心との程よい距離感ができるんじゃないかと思いました。8月には2が出るので、家族で映画見に行こうと思っています。
宮下誠『越境する天使 パウル・クレー』
「力なき者がそれでも生き続けるための「悪意と戦略」。
20世紀の暴力に絵筆で挑んだ画家のぎりぎりの闘いを追跡した《批評家》が、私たちに宛てた/仕掛けた最期 の《手紙》。
*
此岸でわたしを捕まえることはできない。
わたしは好んで死者たちと、
未だ生まれざるものとの領域に住みついているから。
----パウル・クレー
*
クレーの2つの眼差しは、
片方で、混迷を極めてゆく世界を、
或いはいよいよ生き辛くなってゆく世界を、
悪意に満ちた眼差しで見つめながら、
もう一方の眼差しで、森羅万象の不思議を見詰め、考察し、
深い哲学的な思想で再解釈し、イメージとして残そうとした。
クレーの絵画世界は、その記録である。
※出版社からの内容紹介です。Amazon.comより引用しました。
- 越境する天使 パウル・クレー/宮下 誠
- ¥2,940
- Amazon.co.jp