卒業生の皆様へ
太原ゼミ及び教え子の皆様へ
昨日から、城西大学について、残念なニュースが報道されています。
既に多くの方がご覧になったと思います。私のところに問い合わせも多数
来ております。
しかし、城西大学を良い大学にするか、悪い大学にするかはすべて皆さ
ん次第、もっと言えば皆さんの気持ち次第です。
進路を選ぶときに、就職率が良い、評判が良い、面倒見が良い、もしく
は偏差値などを基準にして、また、そのような進路指導を受けてきたかも
知れません。予備校などが出す、評価一覧表を参考にしたかもしれない。
しかしながら、大学とは哲学的に言うと実存的なものです。簡単に言うと
皆さんが、「良い大学だった、良き友良き師に会えた」「時間を忘れて、
仲間たちと寝食を共にできた貴重な場であった」と思えば、そういう良い
場所になるし、「こんな大学」と思ったら、そういう大学になってしまいます。
大学を良くするのは、創立者でも、先生でも、きれいな校舎でもありませ
ん。皆さん方が、日々、自分たちに課せられた仕事を、丁寧にこなし、
当たり前のことを当たり前にこなす日々の地道な積み重ねが、皆さんの
信用を形成し、それが大学の信用と評価にもつながります。
変な報道に惑わされず、自分の責任をまっとうする日々をお送りください。
「これからが、これまでを決める」 ~ アルフレッド・アドラー ~
「絶へず努力を続ける者は、われらが救ふことができる」 ~ 鷗外 森林太郎 ~
元城西大学経営学部教授
太原 正裕
1種類のコネクタでスマホ、タブレット、パソコン、ディスプレイ・・・がつながる時代へ
メーカーが離脱することはないであろう。便利な時代へ。「創造と破壊」がまた
起こり苦しむ企業も登場するだろうが、ビジネスチャンスもまた、広まる予感(太原)。
これからのPCコネクタはUSB Type-Cに一本化
これからのスマホやタブレット、パソコンなどのコネクタはすべて1種類のUSB Type-Cと呼ばれる規格になりそうだ。USBでメモリやマウス、プリンタなどに接続していたことと同様、プロジェクタなどのディスプレイにもUSBで表示させることができるようになる(図1)。これまではプロジェクタに投影するVGA端子やHDMI端子もすべてUSBに代わり、使い勝手は良くなる。
Apple製品には、Lightningコネクタと呼ぶ、上下ひっくり返しても使えるコネクタが定着してきた。USBコネクタの最新版 Type-C(図2)も上下逆にしても差して使える規格になっている。最近、このようなコネクタがディスプレイにも登場している。USBコネクタがすべてType-Cに切り替わるだけではなく、ディスプレイ用のコネクタにも使えるようになる。
今のパソコンはUSBで、マウスやフラッシュメモリ、プリンタなどもUSBコネクタが使えるようになっているが、唯一ディスプレイ端子だけはまだVGAあるいはHDMIになっている。プロジェクタ側はいまだにVGA端子が多いため、変換コネクタも必要になっている。このような煩わしさから、私たちは間もなく解放されるだろう。
ディスプレイ用の端子にはこれまでのVGAに代わってDisplayPort(Apple製品に多い)とHDMI(パソコンやデジタルテレビ)が使われるようになってきたが、これからはUSB Type-C端子でこれまでのUSBとディスプレイ端子を兼用できるようになる。コネクタの種類が一つだけで済むような時代がやってくる。しかも上下を逆さに差しても使える。
DisplayPortビデオ信号は最新のバージョンは1レーンあたり8.1Gbpsと4K、さらに8Kまでカバーできる非常に高速のビデオインターフェースとなっている。この規格では合計4レーン、すなわち最大32.4Gbpsまで許容できる。このDisplayPort 1.4をUSB Type-Cのコネクタで使えるようにしようというモードがオールタネート(alternate)モードだ。そのバージョン1が2014年9月にリリースされ、USB Type-Cインターフェースで使えるようにする規格が設定された。
そして今、VESA(ビデオエレクトロニクス規格協会)は、DisplayPort Altモードに準拠するテストプログラムをUSBインターフェースとともに使えるように開発している。USB Type-C上で走るDisplayPort規格に準拠するテストがこれから行われようとしている。その準拠テスト仕様(CTS:Compliance Test Specification)はVESA会員の中で検討され、2016年中にはリリースされる予定だ。
最近、IntelのSkylakeリファレンスデザインやDell、H-PのタブレットとノートPC、LGとAsusのディスプレイ、StarTechのドックに最初の認定プログラムをパスしたことが発表された。今年の年末までには数十もの製品がDisplayPort AltモードがUSB Type-Cコネクタで使えるように認定されるはずだ。
全文は↓
http://blog.newsandchips.com/2016-06-25-09-42.html
IoTデバイスをLTEにつなげる
来る、という騒ぎをよそにIT(もうITとかICTという言葉では表現できないほど
テクノロジーが進化している)はどんどん進化している。安く早く便利に。
1年後の予測すら、難しい時代。小回りの利く、小企業が有利か?(太原)
【IoTデバイスをLTEにつなぐ 】
IoTデバイスをつなげる環境が整いつつある。スウェーデンのエリクソン(Ericsson)が明らかにしたところによると、モバイル(セルラー)ネットワークの標準化を進めている3GPPにおけるIoTの標準化がいよいよ固まりつつある。低消費電力・低コストIoTデバイスを、ゲートウェイを経ずに直接、LTEモバイルネットワークと接続できるようになると、セルラーネットワークにつながるIoTデバイスがぐっと増やせるようになる。
これまでモバイルネットワークを使って、直接つなぐデバイスにはパソコン/サーバーやスマートフォン以外に、M2Mモジュールとメッシュネットワークのゲートウェイしかなかった。このため、多数のセンサデバイスをつなぐワイヤレスセンサネットワークでは、メッシュネットワークトポロジーを採り、ゲートウェイを経てインターネットとつなぎクラウドへデータを送っていた。Cat-M1とNB-IoTという二つの規格は、従来のLTEよりも広い範囲をカバーできるようになる(図1)。3GPPが進めている、LTEモバイルネットワーク上でつながるIoT向けの標準仕様は、9月ごろまでには決まるようだ。
図1 1セル内で通信できる距離が長くなる 出典:Ericsson
提案されている仕様は主に3種類あるが、世界中で使えそうな規格はCat-M1とNB(Narrow Band)-IoTである。もう一つはEC-GSM-IoTだが、これは拡張GSMネットワークとも言うべき仕様で、日本では前者二つの仕様が必要になろう。
Cat-M1は移動体に使う仕様で、運用帯域幅を1.4MHzに制限し、データレートはピークでも800kbps/1Mbpsと低い(図2)。NB-IoTはさらに帯域幅は狭く最大でも200kHzに抑えている。データレートは21/62kbpsと遅い。NB-IoTは固定した装置などに付ける。その代り、NB-IoTのカバー範囲は携帯電話やスマホなどのLTE端末の7倍以上に渡る。Cat-M1が15dB、NB-IoTは20dBも広い範囲をカバーする。このために、IoT端末の送信出力が弱くても、Cat-M1なら同じデータを周波数ホッピングで帯域内を飛びながら最大16回も送信できる手法を使っている。NB-IoTだと最大2048回まで送信可能だという。
http://blog.newsandchips.com/2016-06-18-21-59.html
ビッグデータ、データの分析から価値を理解するフェーズへ
ビッグデータをどう活用し、どのようにビジネスモデルに 組込むのか、
という議論は、大きな話は聞くが個別具体的な話はあまり聞かなかった。
IoT の時代、データの収集、分類、ソーティングから一歩進めて、デー
タの価値を理解し、サービスとして付加することが重要課題であろう(太原)。
IoT時代はデータ価値の理解が最重要
Bluetooth 5、PaaS、NB-IoT、ハードウエアからのセキュリティ技術、クラウド、人工知能、コンテキストアウェアネス、センサ、センサハブ。一見つながりのない言葉を並べたように見えるが、これらの言葉こそ、IoTシステムを構成する重要なカギを握る。IoT時代のビジネスは、電機メーカーにとってビジネス形態を大きく変えざるを得なくなる。特にソフトウエアと顧客の価値を高めるためのサービスの知識が強く求められる。
大きく変わるのは、これまでの電子回路や半導体回路の知識だけでは、IoTシステムを理解できず、顧客の姿を見ることはできないことだ。同様に、ソフトウエアベンダーも単にプログラム手法の知識だけでは、IoTビジネスを理解できない。ハードからソフト、サービス全体をとらえなければ、ビジネスを勝ち取ることが非常に難しくなる。IoTシステムに参入する経営者は、サプライチェーンからエンドユーザーまで全てのモノづくりチェーンの本質を捉えておく必要がある。
これまで日本産業の中心を占めてきた電機メーカーは、相変わらず苦戦している。ビジネス形態が大きく変わろうとしている時代の変化にどうもついてきていないためではないか、という気がしてきた。これからのIoT時代に象徴されるように、もはやハードウエアだけの時代が終わっているからだ。ソフトウエアとサービスを取り込むことをしなければ、エンドユーザーの顔を知ることができなくなっている時代なのである。
その一つが「組み込みシステム」と呼ばれるコンピュータ内蔵のハードウエアが産業界だけではなく、小売り・商店・農業・公共・教育・企業・病院など、ありとあらゆる社会に入り込んできている。これからはもっと多く入り込む。否が応でもコンピュータを理解せざるをえない。コンピュータは苦手と言っている限り、勝ち組にはなれない。コンピュータはより良いものをより安く作る、より安く利用するためのツールになってしまったからだ。しかも、現代はコンピュータ(そのキモは半導体)が透明になり、使っていることを意識させない。
コンピュータは、パソコンやサーバーだけではない。特に透明で見えなくなったのは、「組み込みシステム」というコンピュータが身の回りに入り込んでいるからだ。毎日使っているスマホやタブレットは言うまでもなく、デジタル製品は99%以上、最新の炊飯器、自動車やバス、電車、掃除機、ロボット、電話、録音機(ICレコーダー)、洗濯機、交通の切符代わりのICカード。枚挙にいとまがない。IoT時代はさらに衣服や流通・商店・工場などに深く深く入り込んでいく。
透明なコンピュータと言ったのは、上に挙げた製品にコンピュータが見えないからだ。しかし、その頭脳部分にはハードウエアとソフトウエアで動くコンピュータが入っている。コンピュータ機能の大きな特長は、ハードウエアを1台作っておけば、ソフトウエアで機能を追加、修正、削減さえもできることだ。つまり作り手から見ると、ハードは一つで済むため、改良していくためのコストが少なくて済むという点だ。コンピュータというハードさえあれば、ソフトを追加や改良すれば機能を増やし改良できる。コンピュータではなく、専用のハードウエアで作ることはもちろんできる。しかもその方が動作速度はずっと速い。しかし、改良するためにはゼロから作り直さなければならない。コストが多くかかる。
英国映画「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」の主人公であるコンピュータの発明者、アラン・チューリングは現在のコンピュータシステムの基礎を考え出した人間だが、彼が映画の中で「僕は一つの暗号専用機ではなく、ほかの暗号も読み解けるマシンを作りたいんだ」と言った言葉がコンピュータそのものを象徴している。なんにでも使えるマシンこそがコンピュータだから。
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http://blog.newsandchips.com/2016-06-18-08-29.html
ガレージ起業からキッチン起業へ?
化しているものが多い。」HP以来、ガレージ起業、「小さく生まれて大き
く育つ」がベンチャーの成功の道と言われている。有名なベンチャー神
話の一つである。
しかし、このキッチン企業は少々事情が違うようである。またIoTは、
先ずはメーカー側の情報収集、次に消費者メリットということらしい。
IoTは早くも神話化の傾向を感じるが、起業家は事実をよく分析する
必要があるようだ。ビジネスチャンスは想定外のところにある(太原)。
ガレージ起業は、AppleやH-P(ヒューレット-パッカード)が最初にスタートした時のオフィスという意味で使われるが、ガレージならぬキッチンで起業、という言葉を使う米国のベンチャーにインタビューした。彼らは、IoT(インターネットにつながる全てのモノ)システム全体をカバーするクラウドPaaS(Platform as a Service)ベンダーのAyla Network(エイラネットワーク)だ。いわゆる白物家電をインターネットにつなぎ、家電メーカーと消費者ともに必要なデータを収集・分析し、次の製品にフィードバックするためにIoTシステムを利用する。
これまで、家電製品にインターネットをつないでどうするの、という意見をずいぶん聞いた。その答えはなく、IoTは民生用ではなく、産業用に使われるもの、という意見が多かった。IIoT(産業用IoT:Industrial IoT)という言葉が米国では当たりまえに使われるようになっている。当然、IoTはIIoTが主体だと思っていた。
しかし、視点を変え、メーカーの視点に立てば、民生用と思われるエアコンや照明器具も産業用の製品になりうる。つまり、エアコンにIoT端末を取り付けた場合、内部のモータの稼働状態、フィルタの目詰まりなど内部の稼働状態をはじめ、オンオフ回数やその比率、その時間分布、外部温度、湿度などの使用周囲情報などをモニター分析すれば、ユーザーがいつどのような状態の時(温度や湿度、時間帯など)に多く使っているのかというデータをメーカーは得ることができる。
このようなデータは、メーカーが次の新製品を開発する時に役立つ。これまでは、家電メーカーは新製品開発に当たり、消費者にヒアリングしたり、あるいはフォーカスグループのように複数の有力な消費者を集めたりしてヒアリング調査、整理、判断に使っていた。つまり、ある程度面倒な調査を行い、消費者ニーズを集めていた。こういった調査には数百万円の費用を見込む必要がある。もちろん、この調査でヒット商品が生まれるという保証はない。せいぜい数十人をピックアップして聞いているだけにすぎないからだ。
しかし、消費者が使っている家電製品を四六時中(24/7:twenty four seven)モニターし、膨大なデータを分析すれば、次の製品開発に生かすことができる。それも一人二人だけのデータではない。数万人、数十万人へのヒアリングしたデータと同じ内容を得られるのである。次世代商品がヒットする確率はずっと高くなる。家電品へのIoT応用はこういったメリットを利用することにある。
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http://blog.newsandchips.com/2016-06-09-20-19.html
標準化は「作る」から「フォロー(従う)」時代へ
日本ビクターが開発したVHS方式がソニーのベータ方式に勝ち、事実上の標準
規格(デファクトスタンダード)となった神話が忘れられないのか、IoT時代
に向けて「日本初の標準化を」と、霞が関などが言い始めている。
標準化は世界中のプレイヤーがみんなで決めることであり、日本だけで決め
ることではない。どうせ、後でひっくり返されることはわかっているから日本
だけで標準化を進めることは、むしろ時間の無駄である。標準化を進めるのな
ら、世界中のプレイヤーが参加できる会議を毎月主導して開く覚悟が求められ
る。その気がないのならやめるべきだ。
やはり日本は、集団指導体制、集団無責任体制だから、決断が遅れるのだ
ろうか。例えば、GEは巨大企業であるが、先代ジャック・ウェルチ、今のジェフ・
イメルトCEOとも独裁である。トップダウンで決断は早い。大手が合議合議して
決断できない間に、ベンチャーのねらい目が大いにある。(太原)
標準化は「作る」から「従う」時代へ
新聞などで「日本発の標準化を作ろう」とか「オールジャパンで標準化を」といった文章を見ると、何と時代錯誤なのだろう、と常々思っていた。現在の標準化は、世界の産業界にいる企業がみんなで作り従うものに変わってきている。時代錯誤と言ったのは、このことにまだ気づいていない業界・部門が多いからだ。
かつてのVTR製品では、日本ビクターが開発したVHS方式がソニーのベータ方式に勝ち、事実上の標準規格(デファクトスタンダード)となった。パソコンでも、インテルのx86アーキテクチャとマイクロソフトのMS-DOSがデファクトスタンダードになった。だから日本でもデファクトスタンダードや標準規格を作ろうと思ったのかもしれない。しかし、残念ながら時代はもう変わっている。もはやデファクトスタンダードは存在しえない時代に入り、標準規格は1国でできるものではなくなっている。このことに速く気が付いてほしい。
無線LAN(Wi-Fi)は、IEEE802.11/a/b/g/n/ac/ad/pなどの規格があるが、誰が主導権を持つといった性格ではない。USBも1.0から3.0、そしてType-Cなどの規格へと発展している。これらをはじめとする様々な規格は、世界中のプレイヤーみんなで決めたものだ。それらは、基本的に入出力を合わせることに集中している。つまり、製品全体ではなく製品の入力と出力のハードウエアとソフトウエア(プロトコル)を揃えることが現在の標準化である。
インテルが世界のトップメーカーになったのは、x86アーキテクチャがIBMに採用されたからだという説はあるが、それだけではない。東京大学の藤本隆宏教授のグループが分析したように、PCIバスというメモリやチップセットと共通の通信バスをハードウエア(配線)とソフトウエアで統一することを提案したことも大きい。CPUとチップセットを作るインテルはそれ等のチップにメモリを買って来れば誰でもパソコンを作れるようになった。台湾のエイス-スやエイサーラボなどの企業は、チップセットを設計し大きく成長した。メモリは日本や韓国から買えばよい。パソコン産業に誰でも参加でき、発展した。
重要なことは、入出力の仕様をオープンにして、みんなが周辺部品や装置を作ることでパソコンを安く作れるようになったことだ。この入出力を開放しながらもインテルはCPUの中身はブラックボックスにしたまま、公開は決してしない。これがオープンイノベーションである。仕様をオープンにするからと言って装置やデバイスの中身の技術を公開することでは決してない。入出力だけをオープン、共通にすることによって、さまざまな企業のさまざまな製品をつなげられるようにすることで産業全体を発展させたのである。
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http://blog.newsandchips.com/2016-05-29-09-30.html
成長し続ける半導体メーカーが日本にもある
2008年のリーマンショック後、日本の電機産業は縮小、節約、リストラで減収but少し
増益となんとか渡り歩いてきた。しかし、その中に、3年連続増収増益で、4年連続も
見えた来た国内半導体メーカーがある。新日本無線の小倉良社長の根底には、アン
トレプレナーシップがあり、常に自社の分析を欠かさない。ベンチャーの成功にも学ぶ
点が大いにある。また、協力企業として台湾を選んだのも成功の秘訣であろう。鴻海
の時は少し不安であったが、どうやら台湾勢の爆買いは、日本に恩恵をもたらしそうで
ある(太原)。
【4年連続増収・増益が見えた国内半導体メーカー 】
リーマンショック後の電機産業は低迷が続き、回復したと宣伝しているところでさえ、減収・わずかな増益という企業が多い。そんな中、3年連続増収・増益で成長路線を行く半導体メーカーがなんと日本にいる。減収・増益とは、売り上げが減りながらも、リストラと経費削減の効果で利益を何とか出しているのにすぎない。つまり全く成長していない企業が多いということだ。
日本の経済がほとんど成長していない中で、成長しているということは、世界と十分に戦っていけているという意味である。その成長している企業とは、新日本無線(NJR)という中堅の半導体メーカーだ。2016年も増収・増益の見通しを崩していない。
5月24日に東京有楽町の国際フォーラムで開催されたUMC ジャパンフォーラムの招待講演(図1)で、新日本無線(NJR)の小倉良社長が2012年に赤字を出したが、その後、増収・増益でやってきた、その秘訣を語った。肝はUMCとのコラボレーションだった。小倉社長は自らを「戦略もなく行き当たりばったりでやってきた。戦略的なUMCを利用させてもらっている」と自嘲するのだが、とんでもない。アナログのファウンドリとしてのUMCをうまく活用し、例えばスマートフォン向けのMEMSマイクを年間2億個も生産、出荷している。
図1 新日本無線 代表取締役社長の小倉良氏
小倉社長のすごいところは、自社の強み、弱み、市場トレンドなどを営業の意見を聞きながら分析し、成長シナリオを描くところだ。いわばSWOT(強さ・弱さ・チャンス・脅威)分析をしっかり行っている。残念ながら日本の大手電機の経営者は本当に自社の強み、弱み、市場トレンドをきちんととらえているだろうか。市場と自社のテクノロジーを理解しているだろうか。
NJRは、リーマンショックの余波がどっと押し寄せた2012年の大赤字までAV機器向け半導体の比率が30%を超えていた。それらを減らし、伸びそうな車載・工業用・通信(スマホ)を増強してきた。Si CMOSは4、5、6インチと「みんなが手放したウェーハサイズ」(小倉社長)であり、このほかにも6インチGaAsラインやSAW(表面弾性波)フィルタ、MEMSなどを手掛けている。スマホ用では、送信と受信を切り替えるためのスイッチとなるGaAs、LTEや3Gなど周波数帯を選択する場合のSAWフィルタ、音声認識率を上げるために周辺騒音を打ち消すMEMSマイクなどを生産している。CMOS回路のアナログ・デジタルをはじめとする8インチ以上の大きなウェーハに対してはファウンドリとしてのUMCに製造を依頼する。
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http://blog.newsandchips.com/2016-05-26-23-43.html
イノベーションは社長室の外で
上ってきたなあ」という考えに浸り、それだけでウットリとしてし
う役員が多い。このような完全な「サラリーマン」ではテクノロジー
系企業の「経営」は無理だろう、と断言するドクターT。
確かにテクノロジー企業では、その企業をどのような方向に導
き、成長させていくかというミッションにも強い意欲がなければ、
企業が弱体化するのは当然だろう。
秒進分歩ならぬ、秒進秒歩のITの世界では、なおさらである(太原)。
「社長室なんか要らない」
社員7000名超を率い、年商1300億円以上の企業のトップ(CEO:最高経営責任者)が一般社員と同じフロアで、同じ広さの机で仕事している。社員からはドクターTの愛称で敬意をもって呼ばれ、社員と同じ食堂でランチをとる。この日本法人は中堅企業という範疇で、働きやすい会社の上位ランキングにも入っている。こんな社長と先月会い、インタビューした。
図1 ナショナルインスツルメンツ社のドクターTこと、James Truchard社長
この会社、ナショナルインスツルメンツ(National Instruments)は、測定器メーカーだが、ただの測定器メーカーではない。測定器をハードウエアだけで作るのではなく、ソフトウエアをうまく使い、しかもハードウエアは数台だけでほとんどすべての測定器を実現するプラットフォームという非常にフレキシビリティの高いアーキテクチャを持つ。米国テキサス州のハイテクの街オースチン市に本社を構える。
この会社は毎年、NIWeekと呼ぶイベントを開催、新しい技術トレンドを毎年アップデートしながら、それを会社の製品やテクノロジーに生かしている。だから不況時を除き、右肩上がりで成長を続けている。同社の製品アーキテクチャはフレキシビリティが高く、アジャイルで、時代の変化に対応でき、研究開発型製品に向く。パソコンが普及し始めた1990年代には、測定器の計測部分をボード1枚のモジュールにし、データを処理し表示する機能にはパソコンを利用する、といったモジュールベースの測定器を世に出した。オシロやスペアナなど用途に応じて、モジュールを取り換えるだけで、パソコンが測定器に早変わりする。
今は、モバイル、IoT、5G、クラウドがトレンドになっている時代。この時代に合わせて、システムが変わるため、測定器のアーキテクチャも更新していく。いち早く誰よりも新しいテクノロジーとそのテスト方法を提供するため、常に新しいトレンドを見つけ出す。こういった作業をNIは常に行っている。そのテクノロジーのトレンドは単なる測定器だけではない。コンピュータ、通信、モバイル、半導体、自動車、医療、一般工業など幅広い分野に及ぶ。しかもそれぞれの分野で最先端のテクノロジーを確認しておかなければ、先端テクノロジーに合った測定器を生み出せない。だから、NIは常に最新トレンドをつかんできた。
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http://blog.newsandchips.com/2016-05-06-17-49.html
5G、IoT、クラウド・・・
いまや、歴史上の話のように聞こえる。モトローラ方式を採用するしない、
の議論もいまや「経営史」の講義の題材である。この三社のうち、かろうじ
てモトローラのみが分社化・買収などを経て携帯電話事業を維持している。
かつて香港の映画を見た時に、 映画の中の携帯電話が全てエリクソン
社製なのを見て驚いたのも昔話。いまや、エリクソンは大通信機器メーカー
として、シェアを伸ばしつつある。日本の大メーカーはピラミッドの中にいた
ためか、先例主義で判断が遅れるのか、後手を踏んでいる。 逆に言うと
「大」がもたついている今、ベンチャーのチャンスである。(太原)
先日、エリクソン・ジャパンでMWC2016の総括話を伺った。その親会社のEricssonはスウェーデンを拠点とする世界最大の通信機器メーカーであり、今では日本のNTTドコモやソフトバンク、KDDIなどの通信業者にもEricssonの製品は入り込んでいる。通信が有線から無線へと変化・拡大してきたことで、海外の通信機器メーカーは世界各地へと飛び出してきている。ノキアも携帯電話部門をマイクロソフトに売却した後は、通信機器メーカーとして世界各地の通信業者に入り込んできた。
残念ながら日本のNECや富士通など通信機器メーカーの海外知名度は小さい。これまで彼らはNTTに納める製品を作ってきた仕事がメインだったため、広いユーザーを求めて世界各地にマーケティングを繰り広げてこなかったためだ。従来のピラミッド構造の産業から早く脱出すべきなのだが、残念ながら日本のエレクトロニクス大企業は、世界レベルからはかなり低い位置にいる。経営ディシジョンの遅さも日本企業に共通する。シャープが好例だ。
さて、通信ネットワーク業者が主体のMWC(Mobile World Congress)2016では、世界のIT産業のトレンドを知ることができる。昨年あたりから気になっている5G、すなわち第5世代のモバイル通信技術はMWCでも最大のトピックスだったようだ。国内ではNTTドコモがMWCで15Gbpsを超えるデータレートの実験をデモするなど世界的な知名度を上げるために必死に取り組んでいる。
エリクソンによると、5Gの姿はこれまでの1G(アナログ)→2G(デジタル)→3G(高速デジタルでCDMA)→4G(さらに高速のOFDM)とやってきた進化とは異なるようだ。これまでは新しい方式が古い方式を置き換えてきたが、5GはLTE(4G)と10年くらいは共存していく。2Gから4Gまでは、ひたすらデータレートの高速化を目指してきたが、5Gは高速化だけではない。低速のIoT技術も共存する。そのための準備段階として、データレートが最高1Gbpsという4G(LTE-Advanced)時代からNB(狭帯域)-IoTなどのIoT向けのデータレートは遅いが消費電力が低い規格を4Gネットワークに乗せる方向だ。
5Gはもともと10Gbpsというとてつもなく速いデータレートを売り物にしてきたが、1ms以下という低レイテンシも規格に取り入れられそうになっている。5GでもNB-IoTに代表されるように遅いレートの通信も同じワイヤレス通信網で取り扱えるようになっている。
その準備として改めてLTEからNB-IoT規格を取り入れることが6月にも決まりそうだ。また、同じLTEを使いながらCat-M1と呼ばれるIoT向けの規格も最近確定した。つまり、IoT用の遅いデータレートのデバイスも同じセルラーネットワーク内で通信させよう、という動きである。規格は上記の二つに絞られそうだ。ともにバッテリ寿命を10年以上としている。データレートは上り/下りともCat-M1が1Mbpsで、NB-IoTは100kbps程度である。IoT向けのセルラー規格は、モデムの低価格化と10年の電池寿命、広い面積のカバー、サイト当たりの100万デバイスの接続、といった特徴を持つ。
もちろん、高速化の動きもある。世界初の商用1GbpsのLTEソリューション(クアルコム製のモデムチップ)をエリクソンが発表した。この延長に5Gがある。
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http://blog.newsandchips.com/2016-05-04-09-37.html
学生ベンチャーによる地方創生
その時、日本では「ベンチャー」「起業家」という講座名の講義を持っていた大学・大
学院はまだ一桁以下であった。アメリカでは600以上と言われていた。
数の上では最近は確認していないが、「実践と座学の融和」が受け入れられる時
代には、なってきたと思う。以下、インデペンデツクラブさんのご好意により、転載(太原)
「学生ベンチャーによる地方創生」
わたしは三月末まで熊本の崇城大学(旧・熊本工業大学)にて起業家教育に携わっていました。今日はその経験から、学生ベンチャーによる地方創生というテーマでお話させていただきます。
2年前に崇城大学に着任し、まず起業家育成プログラムというものを作りました。今回はその活動を振り返りながら、地方ではどのようなことが課題になっているのか、またその打開策というものについてご説明したいと思います。
学生の起業への関心は高い
崇城大学は学生数3,489名、5学部10学科の理工系の総合大学です。この5学部10学科すべてに対して起業家育成プログラムを展開しています。プログラムは「講義科目」「部活動」「学生起業支援」の3つの柱で構成されています。講義科目は1年生向けの科目です。自由選択科目なのですが800人中400人が受講しており、ここでも起業への関心の高さがうかがえます。大学入学の時点で起業に興味のある学生はいますが、地方では起業家教育を行っている大学が少ないこともあり、そのまま就職活動時期を迎えると、起業に興味のあった学生も就職をしてしまう。そういう状況から見ても、大学が起業家教育を行う意味は大きいのではないかと思います。講義の「ベンチャー起業論」では、まずは起業のメリットとデメリットについてディスカッションしてもらいます。メリットとしては「お金持ちになれる」という意見が多いのですが、デメリットとしては「借金」が挙げられることが多いです。イメージが先行してしまっている部分も多く、資金調達には投資という方法があること等も順を追って学んでいきます。年間の講義全体を通して、学生もしくは20代の若者が資金もなく人脈や経験もない中でどのように活躍していくのか、ということについて種明かしをしていくような授業の展開です。部活としての「起業部」設立
地方では起業家も少なくロールモデルが少ない———そんな中いち早く熊本でロールモデルになるような起業家を作るため、まずは東京や海外から起業家を呼び、生の声を聞く機会を設けています。後期授業では学内のビジネスプランコンテストへの応募も実施しています。講義は400人が受講しましたが、実際に起業したいという学生も出てきたため、部活として「起業部」を設立、2014年10月に30名が入部し、メディアにも取り上げられました。サークルは学生主体となりますが、我々のスタイルはあくまで「部活」。教員がしっかりノウハウを伝えられるよう、部活という形態をとりました。起業第1号は南米コロンビアでのカレー屋ビジネス
起業部の中でいち早く事業をスタートしたのはコロンビアで日本のカレーを売るビジネスです。その学生は母がコロンビア人、父が日本人で、年に何回か母のふるさとであるコロンビアに行っていたそうです。毎回色々なお土産を日本から持っていきましたが、中でもカレーは大好評であり、そこに目を付けたビジネスでした。フードトラックを使ったテストマーケティングを行ったあと、ちょうど今現在、資金調達のため日本に一時帰国し、数千万調達しました。いよいよ店舗展開に入ります。支援は引き続きわたしが行っていくこととなっています。また、他の学生も国内の名だたる大学の集まるビジネスプランコンテストの全国大会にも出場しており、部活動として活動を進めることで一定の成果を挙げられたという結果であると思っています。様々な連携を通して熊本は日本の西海岸になる
崇城大学ビジネスプランコンテストも実施しており、ベンチャー界を代表するグローバルに活躍している方々に審査員をしていただきます。また、審査員の方には、審査だけではなく、学生へ事業のアドバイスも積極的にしていただき、普段、熊本ではなかなか出会うことのできない方々から非常にいい刺激を受けています。2015年には起業支援として、サイバーエージェントのクラウドファンディングMakuakeと連携、また、サンフランシスコオフィスを開設し、起業家育成のための海外拠点としました。熊本という都市が順番に博多、大阪、東京と目指していっても、その距離感は簡単に埋まるものではありません。もっと視野を広げてサンフランシスコやシリコンバレーを目指そう、熊本は日本の西海岸になろう、という考えです。
地方の抱える課題へ———熊本県と協同の取り組み
我々の取り組みに対して熊本県にも興味を持っていただき、地方創生予算を本学単独で受注することができました。崇城大学のプランに県が参画してくれた形となり、予算をもって進めることができるようになったことは非常に大きな出来事でした。なぜ熊本県がこのような取り組みに興味を持ってくれたのでしょうか。改めて考えてみたいと思います。熊本県は若者の県外流出率が高く、県の職員の方曰く、全国でワースト2とのこと。熊本から博多、大阪、東京に出て行ってしまうのです。本学卒業生の話を聞いても、就職を機に、博多、大阪、東京に行く学生は多いのですが、実際の胸の内は複雑です。どの学生も郷土愛が深く、熊本や九州で就職したかったというのが本音なのです。しかしいい就職先がないという事情があった。魅力的な県内企業の育成に対しては県も問題意識を持っていたし、それは地方の現実でもあります。それを打破するためには学生ベンチャーによる地方創生というのはひとつのやり方であるということが県との共通認識となりました。課題はロールモデルと資金確保
最後に、このプログラム運営をする上での課題と解決についてお話します。ひとつめの課題は地方にはロールモデルがないこと。解決策としてまずは東京やサンフランシスコのネットワークを活用していますが、将来的には熊本発のロールモデルを作ることが必要です。ふたつめの課題は資金確保です。解決策としては大学当局との厳しい交渉による予算確保、地方創生をはじめとする県との連携、NEDOや地元金融機関、企業による外部からの資金獲得等があげられます。とにかく資金集めに奔走し、運営2年目の2015年は4,000万円確保しました。専門分野の外に未来は広がっている
崇城大学の学生生活において、各々の理系専門分野を極めることはできますが、多くの学生は研究者になるわけではありません。その研究が将来世の中で何の役に立つのかということを意識し、専門分野の外に様々な未来が広がっているということを伝え続けていきたいと思っています。任期満了を持って大学を退職しましたが、このような展開は多くの大学で再現できると確信をもっており、このたびNextE株式会社を設立しました。アカデミックの世界とも連携しつつ、今後事業を展開していきたいと考えています。
【松田修一コメント】
2年間で際立った成果を上げた起業教育及び起業部の活動などの話は、地方創生と大学との関係性について多くの示唆を与えていただきました。出典:―2016年4月4日インデペンデンツクラブ月例会(東京21cクラブ)にて
http://www.independents.jp/article/item001295
