撮影現場でよく口にする言葉があります。「その表情、最高です」
これはテクニックというより、僕の“合図”みたいなもの。

カメラの前って、どうしても身体が固くなったり、笑顔が作りものになったりしますよね。
だからこそ、自然な表情がふっと出た瞬間を、こちらがちゃんと受け取ってあげることが大事だと思っています。
 

意識しているのは、まず“撮る前”の空気づくり。いきなり構図や光の話をするより、今日ここに来た道のこととか、
最近ハマっていることとか、雑談から入ることが多いです。

会話の中でその人のテンポや言葉の癖が見えてくると、こちらの声のかけ方も自然に合わせられる。
すると表情が「撮られている顔」から「いつもの顔」に近づいていきます。
 

次に、“見られている感”を減らすこと。ずっとレンズを向けっぱなしにしないで、一度カメラを下ろして話す時間を挟む。
シャッターを切る音も、必要以上に急がない。間を大切にすると、ふとした瞬間にいい表情が出ます。
決め顔より、少し笑いかけた瞬間や、息を吐いた瞬間が、その人らしさだったりするんですよね。
 

最後は、こちらが本気で喜ぶこと。「いいですね」より、「今の、めちゃくちゃいいです」の方が伝わる。
被写体の方が安心して、さらに表情がほどけていく。写真って結局、人と人の共同作業。
今日も一緒に“最高の瞬間”を探していきます。