Pick up!
母と風と洗濯物
母の世話をするようになってから
お天気と母の体調が良いときに
時々車🚗で5分位の私の家に
母を連れてくるようになった。
母にとって数時間でも
良い気分転換になればとの思いと
朝できなかった洗濯や掃除など
自分の家のことができるので
私にとっても都合が良かった。
母の住む実家は一戸建てだが、
私の自宅は10階建てマンションの5階で
ベランダは日当たりの良い南向きだ。
私が家の雑事をしている間
たいてい母は
ベランダ側に向いているソファ🛋に
ゆったり腰を掛けて
何をするでもなくボーッと
外を眺めていることが多かった。
ある日
ベランダに干してある洗濯物の揺れ具合と
その隙間から見える空を観察しながら
ぽつりぽつりとお天気の実況を始めた。
「今日は少し風があるよ🍃
雲☁がかかって日が陰ったよ」と母。![]()
「そうだねぇ」と私。
そして数分もすると
「あ、晴れてきた🌤 風もやんだだわ」
と母。「あら、そ~お?」と私。
雨が降りそうならともかく、
数分ごとの割とどうでもいい(笑)情報を
何度も繰り返し話しかけてくる母に
少し面倒になりながら適当な返事をしていた。![]()
限られた時間の中でバタバタと
家の中を動き回っている自分とは対象的に
母の今いる世界では
ゆっくりと穏やかに優しい時間が
流れているようで![]()
ちょっとだけ羨ましい気持ちになりながら
ふと思った。
父と共働きで4人の子供を育て、
自分のことなどそっちのけで
毎日忙しく生きてきた母。
若くして夫、そして息子までも亡くし
沢山の悲しみを乗り越えてきた母。
きっとその時は、
こうして洗濯物を眺めて、のんびりできる日が来るなんて思わなかっただろう。
小さくなった母の後ろ姿をみて
いつのまにかそんな事を考えていた。
「さて、お昼ごはん🍚も出来たから
そろそろ食べようか!」というと、
我に返ったように
「はい!」と元気に返事をして
そそくさとテーブルにつく子供のような母に
エプロンを付けてあげながら私は・・・
どうか何気ないこのひとときが
母にとって“幸せ”でありますように
と願っていた。
✯母と風と洗濯物 終わり
