「人間の行動の動機は、愛か恐れの
どちらかに大別できる」という大前提があります。
これを恋愛や夫婦関係に当てはめてみると、
実はとても面白いのです。
古典的なドラマで描かれる、「『ダンナが最近、
私に優しい。何かおかしい』と気づき、
浮気を追及する奥さん」という現象も
「愛か恐怖か」で説明できます。
◎ダンナの心理
浮気した→奥さんにばれるのが怖い→
普段とは違う行動を取る
これに、奥さんは気づいたというワケです。
他にもどんどん応用できます。私の友人に、
彼の家で寝込んでいたら朝方の4時にたたき起こされ
「別れて欲しい」といわれたという人がいます。
無理やり起こされて、話し合いをする間もなく
彼は寝てしまったそうです。
これを「愛か恐怖か」に当てはめてみると、
こんなことが分かりました。
◎彼の心理
別れ話をしたい→でも、普段の彼女に話すと
あれこれ理由を話さないといけない
→面倒くさいのはいやだし、論破されるのが怖い
→寝込みに話そう
「何であんな卑怯なことをした
のかしら」と怒っていた彼女は、「ああ、なるほど。
私と普通に話す度胸が無かったのね」と納得しました。
別な知人は、別れ話を切り出したのは彼からなのに、
メールが普通に来るので「自分のことがまだ好きで、
迷ってくれているのかな」と思っていました。
ところが「愛か恐怖か」で見てみると、
メールの動機は「愛」ではなかったのです。
◎彼の心理
別れたい→でも、彼女とはこれからも会うかも
知れないので、機嫌を損ねるのは困る(恐れ)
→機嫌を損ねないように、メールはしておくか
ちなみに、さりげなく「機嫌を取ってもらわなくて
大丈夫」という主旨の連絡をしたら、
本当にメールは来なくなったそうです。
今度は、男性側の話です。やはり知人で、
「長年一緒に暮らしていた彼女と別れたい、
でも彼女は納得してくれず困っている」という
人がいました。彼は困り果てて、
「女性と別れ話をするのが上手」と評判の
先輩に相談したそうです。
先輩は「そういうときは、心から相手の女性に
優しくするんだよ。だって、今までその人には
本当に世話になったんだろ?もう付き合えない
としても、感謝の気持ちを込めて、
最後にお礼の愛情を注ぐんだよ」と
語ったそうです。数ヵ月後、知人に会うと
「先輩に聞いたとおりにしたら、本当に、
彼女が納得して分かれてくれました。
今はお互い、いい友人同士です」とのことでした。
この場合の彼の行動は「愛」に基づいていました。
彼女を尊重し、敬意を示したので
彼女も彼の気持ちを尊重してくれたのでしょう。
「北風と太陽」という話がありますが、
考えてみればあの寓話も北風が恐怖で、
太陽が愛の象徴ではないでしょうか。
この考え方、恋愛や夫婦関係だけでなく、
人生の様々な場面で役立ちそうです。