あたしは、時々、地下鉄での旅をする。

東京は、地下鉄が充実していて、それだけで、あたしは驚き、満足する。
地下鉄が、あたしの行きたいところにつれてってくれる。
どんな場所でも、あたしが望む遠いところまで。そう、心も体も満たす世界へ・・・

関東では、エスカレーターでは、左側がたちどまり、
右側が歩くというのが決まっていて、
あたしも、いつもは右側を歩くのだが、今日は、なぜか、左側に乗ってしまった。

これでは、ダイエットのためにならないと、あわてて右側に移動しようとしたそのとき、
金髪で背の高いジーパン男とぶつかった。
あたしは、その男が外人だと思い、

「お嬢さん、大丈夫ですか?お嬢さん、お怪我は?お嬢さん、きみの名は?」
と助けてくれるものだと思った。(笑)

あたしは、階段2、3段転げ落ちた。あたたー。着地失敗。
あたしは、まわりの人々に、「すみません」といい、その場にしゃがみこんで、
エスカレーターは、人々を無言のまま乗せていった。立ち止まる人は立ち止まり、
歩く人は、足早に歩く。それが東京の冷たさ・・・
これは、あたしが“だるま”だからだろうか?
助けてくれるはずのその外人男(?)は、スタスタとあたしの存在など気にせずに、
走り去った。
あたしが、“だるま”でなかったら、その外人男は助けてくれたであろうか?
あたしが、“だるま”でなかったら、ぶつかっても、素早く着地に成功してたであろうか?

あたしは、何事もなかったように立ち上がり、その外人男の顔を見てやろうと思って、
痛がる脚に鞭を打ち、走った、走った!

その男の顔を見た。
な、なんと、その男はバリバリのジャパニーズ!
金髪の髪に、黒々しい眉毛、黒縁のメガネ。だんご鼻。赤いタラコ唇。

外人かジャパニーズかはっきりしろっと言いたい。

“だるま”は、転んだら必ず起き上がる。

あたしは、今日もまたダイエットの決意がかたくなったのであった・・・