起き出したオットは、またカップ麺を食べて散歩へ行った。
たっぷり寝て、元気も出ただろう。
そして買い物のために車を出してくれたり、おとなしく過ごした。ここから3日間は仕事をしたり犬の世話もまめにする。機嫌も悪くなかった。と言うより、何事もなかったかのようである。
ワタシが「この段ボール箱、湿気てたわんできてるから、たぶん業者さんが持ち帰れないと思う。だからもう一回、しっかり包み直しておいて」
と頼むと、イヤそうに目をやっていたが。
そして金曜日。ワタシは歯医者へ行く予定だった。出かけるのは10時半頃で良いから、朝はゆっくり寝ていた。しかし、8時半頃に階下で音がする。どうやらまとめた段ボールを故紙回収に出しているようである。
しばらくして台所へ降りると、オットが憮然とした表情で座っていた。
たまたま、ハハが家庭ゴミを出しているときに故紙回収の車が通りがかり、それを呼び止めたらしい。そして「段ボールだけでは儲からないので、新聞はないか」と業者に聞かれたので「たくさんあるけれど納戸の奥なので」と言ったみたいだ。
台所にいたオットは、仕方なく新聞紙の束を出すのを手伝わされたようである。年末なので、雑誌やチラシなども含めてすごく沢山溜まっているが、ハハは重い物が持てないので、その間、見ているだけだったとか。
故紙を何度も持ち運びして肩の傷がまた痛くなった、ハハが余計なことを言っておいて自分は全く手伝わなかったからと、機嫌を悪くしていたらしい。
それを聞いてワタシが
「そんなだったら、どうして業者に「後30分してから来てくれ」言わなかったの?その間にワタシを起こしてくれれば、ワタシが表まで出したのに」
そう言うと
「お前は人を小バカにしているのか」
とキレる。あのー意味、わかんないんですけど。
だからもう一度
「別にバカになんかしてないよ。ハハが勝手に呼び止めた、肩が痛いって後から怒るぐらいなら、30分後に来てくれって言うほうがいいでしょう。相手も商売なんだし、また来てくれるだろうに」
そう言うと、プイッと横を向いてしまった。あーもうイヤだ、こういうの。
よくまぁなんでも文句の理由はあるものだと、あきれ果ててしまった。
それでも夕方になると、風呂を洗って夕食の用意をしかけていた。段ボール箱も、一回り大きなものをかぶせてくくり直してあった。
そして翌日。この日は、テレビが来る予定である。オットは午後から出かける予定になっていたが、早々と家を出てしまう。きっと、ぶっ壊したテレビが気まずいんだろう。
昼過ぎに業者さんが来てテレビは無事に設置してもらえた。例の“元テレビ”は、箱の外観からは内容が解らないが、動かすとジャリッと音がする。
「すいません、かなり壊れてまして。こんなのでも持って帰っていただけるんですか?」
そう聞くと業者さんは「これ、テレビですよね?だったら持って帰りますよ」と、二人がかりでそうっと両脇から抱えてトラックに積んでくださった。申し訳ないけれど、ありがたい。
コーヒーを飲んで一服してもらい、お礼を言って帰っていただいた。
夕方戻ってきたオットは、用意していた食事をテーブルに並べ、ワタシが黙っていたのにテレビを点けてリモコンをワタシの前に置く。久しぶりに見るテレビ、会話のない家庭にはありがたいわー。オットは、あまり面白くなさそうだったが。
そしてぽそっと「昨日はごめん」と言う。
「なんのこと?」
「故紙回収のことだ。お前の言うとおりだ」
と、珍しく謝ってきた。何度も言うけど、謝るぐらいならちょっと考えてから言いなよ。
この日も食事を済ませてほどなく、10時過ぎにはオットは布団に入っていた。
翌日は仕事で家を空け、次の日には出かけるついでに税理士事務所へ書類を持っていってくれる。ワタシが頼んでないのに、ワタシの自転車のブレーキが切れそうだったからと自転車屋へ持っていってくれ、やけにサービスがいい。そして1週間ぐらいは機嫌も良かった。
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