翌朝、ワタシは打ち合わせがあったので朝から出かけた。
そしていったん家へ戻り、すぐに別の仕事で出かける。帰ってきたのは夜の11時すぎだった。
この日、オットは朝から起きていたが、ワタシがいったん戻ったときは「だるい」と言って布団にもぐりこんだ。機嫌は昨日よりはマシである。が、出かける様子もなく、結局は昨日ワタシがまとめた資料は「急ぎの用事」ではなかったようである。
そしてワタシが帰宅したときも、すでに寝ていた。
明くる日。
ワタシは朝から歯医者へ。オットは、早朝起きてまた昼寝したあと、どうやら資料を持っていくところへ連絡を取ったようだ。昼前に出かけていったらしい。
しかし午後1時半ごろ帰ってきた、その表情が冴えない。
「このままではダメだ」
とふさぎこみむ。きっと例の資料を専門家に見てもらったものの、返事がはかばかしくなかったのだろう。
ワタシは急ぎの仕事があったので、「あとで聞くから」と仕事場へ入ったが、ほどなく缶ビールを開ける音が。
そして2時半には自分の部屋でイビキをかいていた。
この日は食事もせず、ずっと寝たまま。ワタシもずっと仕事があり、合間に散歩へ行って自分の食事を簡単に済ませた。
翌朝は、さすがに朝の6時過ぎに目覚めたようだが、機嫌はまた激悪に戻っている。
ワタシはここ数日めいっぱい仕事をしていたので、くたびれてしまって起きたのは9時半。台所へ降りていくと、オットは物も言わずに車で出て行った。
そして夕方戻ってきて、明日の準備を始めるオット。明日はとある催しへ行く日なのだ。けれども表情は険しいまま。一通り済ませて、また缶ビールを開けていた。
その間、ワタシがちょっと買い物に出て戻り、仕事場へ行くと、またワタシのPCが立ち上がっている。
見ると、wordに「昨日、相談しに行ったが、もっと早ければ良かったのにと言われた」という言葉に続き、またこの間と同じようなワタシへの不満と怒りがずらずらと書いてあった。
気が滅入る。
台所に降りて
「ワタシが取り返しのつかないことをしてしまったというんだね」
と言っても応えず。仏頂面でビールをあおっている。ワタシもそれ以上何を言う気にもなれないので、だまって犬の世話をするグッズを手入れしていると(いつもはオットがしている)、
「どうして今、オレの前でわざわざそんなことをするんだ。いつもやらないクセに」
と、イヤミを言う。
「だって明日の用意をしておかないと・・・」
そうワタシが返事をしてもムッとしたまま。そして飲みながら、ワタシに
「明日はオレに代わって出てくれ。オレはこんな状況では、他人と話せない」
と言う。オットが出て行く時間は早い。午前5時ごろには出かけてしまう。しかし実際、催しが始まるのは9時ごろから。発病当時、調子の悪いときには、何回か代わったことがあるけれど、いつもそれぐらいの時間に行っていた。なので、
「じゃあちょっと遅くてもいい?散歩を済ませて、9時ぐらいとか」
そう言ったとたん
「あーわかった、じゃあ来るな」
と、キレる。用意しておいた食事に手をつけず、また酒だけをあおって午後10時には寝てしまった。
ああは言っても、手伝いに行かなきゃいけないんじゃないか。この機嫌の悪さでは、まともに人と話せないのは確かだろう・・・そう思っていたんだけれど、翌日は早朝に起き出し、「来なくていいからな」と厳しい口調でダメ押しをして出て行ったオット。
なんとかその日をやり過ごしたようで、夕方にはやや上向きな加減で戻ってきた。
しかし、ワタシの気は滅入ったままだったわ。
さらに翌朝、また午前6時過ぎに起きたオットであるが、だるいらしく昼寝。そしてメンクリへ行く。この日はメンクリの予約日じゃなかったが、ここしばらくの調子の悪さを自覚して、イライラ止めをもらいに行ったのだろう。黙って出ていったものの、テーブルに薬が置いてあったので想像がついた。
帰宅したオットは、夕食用に作っておいた混ぜご飯2人前を一人で完食し、午後6時前にはまた布団へ。ワタシはこの日、仕事が立てこんでいたからほぼ徹夜。
翌朝、10時過ぎの打ち合わせまでちょっと仮眠を・・・・と、午前7時前に布団へ入るのと入れ違いに起きてきたオット。散歩は行ってくれ、どこかへ出かけたようだ。
午後2時ごろ、ワタシが戻るとオットも帰っていて、台所で缶ビールを飲んでいた。もう3本目のようである。おまけに、ビールでイライラ止めと入眠剤を流しこんだらしい。
目は完全に座っている。
この状態で、とある仕事関係の人の扱いが悪いから、苦情の電話をかけるというオット。どうやら面白くないことがあったらしい。
「今、酔ってるし薬も飲んでるから、ちゃんとしゃべれないんじゃないの?シラフの時にしたら?」
そう言うと
「自分がやったことに対して、謝罪も出来ないような人間が偉そうに言うな。お前に礼儀のことをとやかく言われたかないっ」
と、怒って受話器を投げつけ、2階へ上がるオット。結局はそこへ来るのか。しかし、「謝罪」って罪を許し請うことだよ。そんなにワタシは、凶悪な罪を犯したというのか。
オットのイビキを聞きながら仕事場へ行くと、またワタシの机に書き殴ったメモが置いてあった。