映画『オッペンハイマー』は、原爆を作った男の成功物語ではなく、才能と責任の狭間で引き裂かれた人間の物語でした。トリニティ実験の成功は頂点ではなく“終わりの始まり”。広島・長崎を直接描かないまま、彼の良心だけが崩れていく描写が胸に刺さります。最後のアインシュタインの言葉が示すのは、核だけでなく人間の選択そのものが連鎖反応していく怖さ。観終わっても問いだけが残る、重く静かな衝撃でした。