イコラブのCD売上はコロナ禍の下落を除けば右肩上がりで増えています。

これはビジネスモデルで考えればイコラブの認知度が上がってファンが増えてCD売上が増えているという流れです。ノイミーもイコラブと同じビジネスモデルです。直近の「アンチコンフィチュール」では売上が下がりましたが基本的にはCD売上は右肩上がりでした。

以上で話は終了なのですがイコラブやノイミーだけを考えればCD売上が右肩上がりに増えていくのは自然な流れなのに他のアイドルグループのCD売上を見るとそうなっていないのです。他のアイドルグループの話なので詳しくないのですがCD売上に関する仮説を立ててその件について検討してみます。

1 コロナ禍でオンラインで売上が落ちた話

コロナ禍でCD売上が落ちた話はどのアイドルグループでもだいたい当てはまるのですが、お話会がオンラインになったので売上が落ちた話はトップグループでは乃木坂46だけが該当します。他のグループはコロナ禍以外の理由でCD売上の変化がありました。

櫻坂の場合は欅坂の事実上の活動休止からの改名による再スタートなのでCD売上が欅坂に届かないということは起こりうることでしょう。メンバーの多くが共通していても一連の騒動でファン層の変化はあったと思います。

日向坂の場合は最近のCD売上は1番初週売上が多い4作目の「ソンナコトナイヨ」に及びませんが近い水準まで戻しています。コロナ禍前のCD売上と同じ程度の売上といえます。売上が同じならオンラインミーグリ（坂道グループはお話会はミーグリと呼んでいます）は経費が安いので利益率が高くなります。つまり日向坂のCD売上はコロナ禍前より高い利益を出しているはずです。

AKBの場合はAKB48名義でCDを出していますがコロナ禍前はAKBグループによるCDリリースでコロナ禍からAKB48単独のリリースに変わっています。女性アイドルグループのCD売上は握手会の人数によるのでAKB48単独ではCD売上が落ちるのは当然です。コロナ明けでもAKB48の単独リリースは続いています。

SKE、NMB、STUについては詳しくないので分かりませんがコロナ禍直前のCD売上を超えるCD売上のシングルもあるのでコロナ禍による売上減少は限定的なのかもしれません。

なぜ乃木坂がコロナ禍以降CD売上の水準が下がったままなのかは分かりません。

2 楽曲による変動

アーティストであれば楽曲の人気によりCD売上が変動することはあるかもしれませんが坂道グループ、AKBグループは全て秋元さんの選曲作詞なのである程度楽曲の水準は平均化していると考えられます。従って楽曲による変動も限定的と思いますが、もちろん何がヒットするかは分かりません。しかし最近特にヒットした楽曲はないように思われます。

イコラブとノイミーの場合は指原Pの選曲作詞ですが指原Pの意向で様々なタイプの楽曲がリリースされています。楽曲によりMVの再生回数に違いがある場合もCD売上は右肩上がりです。これはイコラブやノイミーのファンが様々なタイプの楽曲があることを受け入れているのでCD売上への影響が限定的なためでしょう。

3 選抜メンバーによる変動

CDが実質お話会の権利なので選抜メンバーやセンターで変動することは理解できますが売上拡大の成長メカニズムがあればその変動をカバーできることがあります。

乃木坂は最初の数年は右肩上がりにCD売上を増やしていました。その間にセンター交代が何人もありましたがその変動分をカバーしてCD売上を増やして来ました。

選抜メンバーやセンターで変動することはそれをカバーする成長メカニズムがないからと思われます。

イコラブは全員参加なので選抜制度はありません。当初センターは髙松瞳さんでしたが1年の休業と復帰後の表題曲のセンター辞退でセンターは変わっていますがCD売上は右肩上がりです。

4 成長限界説

成長限界説はトップアイドルグループは充分に周知されて成長限界に達したがイコラブは周知が充分でなく成長途中なので右肩上がりの売上になるという仮説です。

イノベーター理論の図のアーリーマジョリティの初期がイコラブで後期が坂道グループというイメージです。

イコラブやノイミーはアーリーマジョリティである一般層へのアピールにより売上を伸ばしているということです。

イコラブよりCD売上が少ないアイドルグループでも右肩上がりの成長パターンにならないことがよくあります。これは以前記事にしましたがキャズムの溝を越えられないためと思われます。

キャズム理論ではアーリーアダプターとアーリーマジョリティの間に溝が発生してその溝を越えられない場合があるとしています。アーリーマジョリティに移行できないことでその売上はアーリーアダプターの売上に限定されます。溝が発生する原因はアーリーアダプターの求めるものとアーリーマジョリティの求めるものの違いに対応できないためといわれています。アーリーアダプターは「新しいもの」の価値を高く評価しますがアーリーマジョリティは「安心できるもの」を求めると言われています。

これをアイドル業界に当てはめるとアイドルファンには周知されているが一般層への展開が上手く行かない場合にアーリーアダプターであるアイドルファン市場の規模に制限されて売上が横ばいになるということです。

イコラブはキャズムの溝は越えられたが一般層への展開に時間が掛かっているので右肩上がりの成長を継続できているのでないかという仮説です。

5 コアファンとライトファン

坂道グループやAKBのファンはCDを複数枚購入するようなコアなファンとCDを購入する一般層のライトなファンで構成されているとします。そのファンを増やす仕組み（成長メカニズム）があるかどうかという話です。

AKBや乃木坂は歴史が長いのでコアなファンの結束は固いと思いますがその分コアなファンを増やす成長メカニズムを構成するのは難しいと思われます。従って成長メカニズムは一般層を対象にすることになりますが坂道グループやAKBが一般層のファンを増やす活動をしているのかということです。坂道グループのメンバーは番組出演をして存在をアピールしていますがそれがCD売上に繋がるのかということです。それでCD購入する方はすでにライトなファンとしてCD購入しているなら既存のファンとなります。

一般層へのアピールはCMや人気のドラマやアニメとのタイアップが有効ですがその分野は有名アーティストが歌われているのでアーティストの方との競合となります。

一般層でのファン拡大が上手く行った例は欅坂だと思います。「サイレントマジョリティー」からの欅坂人気はトレンドだったと思います。もちろん平手さんのカリスマ的人気はありましたが欅坂自体がブームだったのでしょう。ただトレンドは移ろうものなので櫻坂には継続しなかったのかもしれません。

オーディション番組で人気が出たNiziUも一般層へのアピールで成功した例でしょう。

6 無料コンテンツのファン

イコラブの場合はコアなファンはコンサートに来てくれるファンのことでCD購入する方はライトなファンとなります。ファンを増やす成長メカニズムは無料コンテンツを充実させて無料のファンを増やしてその一部がファンとなるという仕組みです。

全曲のMV公開やメンバー発信のSNSの充実などが無料コンテンツとなります。運営提供ではありませんがカメコさんの写真も無料コンテンツと言えるでしょう。ファンはお金を出さなくてもイコラブのファン活動を楽しむことができます。例えばシングルは年2、3作リリースされてその時に収録曲は全てMVがYoutubeで無料公開されます。コンサートがあればカメコさんの写真がアップされてその雰囲気が分かります。さらにShowroomの配信を知っていればもしかしたらコンサート直後のメンバーの配信があるかもしれません。それらのイベントがない時でもTwitterやInstagramでなんらかのメンバー発信があります。

このように無料でもイコラブは楽しめますがそのうちオンラインお話会をしたいのでCDを購入するライトファンやMVでなくコンサートで実際にイコラブのパフォーマンスを見たいというコアファンが生まれてくる仕組みです。

イコラブのようにファンが増えてCD売上も増えるというシンプルな展開にならないのはグループごとの様々な要因があると思いますが、仮説は成長メカニズムがなく成長限界に近いので選抜メンバーやセンターなどの人的要因で売上が変動するというものです。

この仮説通りならイコラブも無料コンテンツでファンを増やすという成長メカニズムがあっても成長限界が来れば右肩上がりが終了することになります。ノイミーのCD売上が落ちたのでこの後のシングルでも売上が落ちるようならそこがノイミーの成長限界になるかもしれません。同様にイコラブもCD売上が横ばいや下落する時が来ればそこが成長限界なのでしょう。

右肩上がり 語り

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