弁護士ドットコムが2024年3月期 第2四半期(Q2)決算を発表しました。
中身を見る前に、まずは株価を見てみましょう。
1) 株価
月足は以下の通り;
2020年10月に最高値 15,880円を記録。
それ以後は長い下降トレンドに入ったが2023年3月に底打ち。
以後は反転上昇し8月には 5,000円台に戻したが、
9月に天井を打って反転、10月は大きく下落。
日足は以下の通り;
7月26日の2024/3期Q1決算発表を受けて急上昇し
8月7日には約1年半ぶりに 5,000円台に到達。
その後は一旦下げたが再度上昇し9月6日に
直近高値の 5,800円を付けた。
しかしそこからは米長期金利上昇に伴う世界的な
グロース株売りの流れに押されて下落、
本日10月25日の終値は直近高値の33%安の 3,870円で
今回の決算発表を迎えました。
それでは決算内容を見てみましょう。
2) 2024/3期 Q2決算
四半期別で見ると、7月に発表されたQ1売上は
その直前の2023/3期Q4より3%減少し若干の不安を残していた。
しかし、今回発表のQ2売上は直前四半期もその前の四半期も
上回り増加トレンドに戻した。
b) 安全性: 良好
流動比率は 186%で、一般的に「余裕あり」と言われる200%には
届いていないが「厳しい」と言われる100%は大きく上回っており、
まあ心配はなさそう。
Q1末の265%から大きく落ちているが、この主要因は
9億5千万円の短期借入(内、2億円は投資有価証券の購入に
使われ、残りは現預金の増加に反映)の模様。
これは、Q2を締めた後の10月2日に発表されたLIC社の買収の
為の資金だと推察される。
成長の為の先行投資にてやむを得ないが、この分は投資に
使用されるものなので後々は長期借入金に切り替えていって
欲しいところ(そうすれば財務の安全性が増す)。
営業キャッシュフローは前年度までの過去5年はプラスで
この上半期も十分なプラス。
売掛金回収期間は1.7ヵ月で常識的な範囲。在庫はほぼゼロ。
全く問題ない。
c) 収益性: まあまあ。悪化傾向が止まったか?
売上総利益率は82%と非常に高いレベル。
但し、物販ではない当社の業態では高くて当たり前とも言える。
営業利益率は11%とまあまあ。
しかし、前々年度の17%、前年度の13%より悪化している。
但し、四半期毎では当年度のQ1は10.3%、Q2は11.9%で
前年度のQ1の7.0%、Q2の11.2%より各々改善しており、
悪化傾向が止まったように見える。
d) 成長性: 良好
クラウドサインを開始した 2019/3期から2023/3期までの
4年間の年平均成長率は29%、そして 2024/3期も前年比
23%増と高い成長率を維持予定。
当社の重要戦略である「リーガルブレインの構築」も、
この度のLIC社(弁護士が利用している判例検索サービスでは
トップシェアを誇る「判例秘書」を運営)の買収により
重要ピースが埋まった格好。
今後も成長が期待される。
総括:
① 安全性と成長性は良好。
② 収益性は過去より悪化していると言っても
営業利益11%という数字は決して悪い数字ではなく
(特別良い数字でもないが)、四半期別では前年同期比で
改善している。
③ 例年、売上/利益共に上期より下期が大きく、
当年度も同様であれば通期も好決算が期待される。
以上です。
尚、この財務分析・評価は筆者個人の考え方に基づいて行ったもので、
別の見方をされる方もおられるかもしれません。
また、数字やグラフも含め、内容には筆者の書き間違いや
勘違いが含まれているかもしれません。
いずれにせよ、この記事は投資を推奨するものではありません。
数字はご自分で検証の上、投資は自己責任でお願い致します。
以上です。