既に過去の話になりつつあるMr.遠隔操作こと片山祐輔被告(以下ゆうちゃん)。
 あまりにも急展開の結末に、正直唖然としたのだな。これで終わりなの?という感じで。

 まあ、まだこれから裁判で
「俺が真犯人だと言ったな。あれは嘘だ」
と言い出したり、公判中に「真犯人」からメールが来たりするという展開がありうるかもしんないけど、基本的にはこれで終了と思っていいだろう。


 そういや、ゆうちゃんに関して以前日記に書いたなあ、と思い出して調べてみたら、ああ、1年以上前でやんの。

http://ameblo.jp/tad-noborder/entry-11475378654.html

 基本的にこのころ考えてたことと今の僕の立ち位置は全く変わってない。
 偶然の一致という事はとても考えづらく、「真犯人」がゆうちゃんをはめようとしたのだとすると、ネット知識云々ではなく、実際にゆうちゃんの後をつけて犯人に仕立て上げるというすごい行動力を持った人間という事になり、にわかに考えづらい、と、ただそれだけ。

 とりま、状況証拠だけで否認のまま有罪判決、という後味の悪い終わり方はしなかったからまあよしとしようか。



まあそんなこんなで事件そのものにはもう興味を無くしているのだが、気になるのはゆうちゃんの心理状況を分析しようとする専門家やコメンテーターがわさわさでてくるんだろうなあ、という事。
先日はテレビ局が独占インタビューとかしてたし。
きっと「エリートの父親に対するコンプレックス云々」とエディプスがらみに仕立てられたりするんだろうけど。

もう、無駄だからやめようよ。

「今の」ゆうちゃんにいくら聞いても、「事件の時」どう考えていたか、なんて、ゆうちゃん自身がもうわからないと思うよ。それは「今の」ゆうちゃんの考えでしかなく。
ただ、もともとおかしな奴が不満だとか面白半分だとかいろんな絡みで遠隔操作やってみたら成功して、思った以上の成果出して舞い上がって・・・と、その時その時でぶれていると思うのだ。
スマホが見つかってゲームオーバー、というラストも、今の報道では「もうだめだと絶望して」白状したというくくりになってるけど、ひょっとしたらゆうちゃんの中では
「ふっ、刑事さん、負けたよ」
と、頭脳戦で負けた美形の悪役みたいに自分をイメージして浸っていたかもしんないなあ、とか。だからあっさり認めたんじゃないかと。




警察もよくやってくれたと思うよ。
常軌を逸した拘留期限延長とか問題もあるけど、今回の事件って、実は極めて重要なのだ。
前述の通り、状況から見るとゆうちゃんが犯人でしかありえないけど、絶対的証拠はない。
しかも本人は全面否認している。
こうなると、尋問を繰り返して矛盾を指摘する、とか、ついしゃべった情報を元に客観的証拠をつかむとか、そういう手しかない。
だからこうするしかなかったんだろうなあ、と。
過去の冤罪事件でつぶれた警察のメンツの為、というファクターも大きいだろうけど、今後もネットがらみの事件では絶対的な証拠が出ないケースは十分考えられ、
「自供さえしなければ捕まらない」
などという「実績」を残すわけにはいかないのである。



一方佐藤弁護士を批判する声も見かけるけど、佐藤弁護士はあれでいい、と思うのだ。
(個人的には大嫌いだけど、佐藤弁護士)。
前述のように「自供」に頼らざるを得ない部分が残るこの手の事件だけど、そこで警察が自分を過信した結果が過去の4冤罪なのである。今後もそういうのは出てくる。
だから、とにかく容疑者側に立って弁護する、という立場の弁護士は必要なのである。



んで、だ。「ゆうちゃん支援団」みたいなのを結成していた連中の事である。
前にも書いた通り、ゆうちゃんが「冤罪」と確信する要素はどこにもなかった。にも関わらず、冤罪と決めつけ応援していた。
そのうちの一人が、ゆうちゃん自白後、


「彼が犯人だったとしても、警察の横暴は容認できるものではない」


などという事をつぶやいていた。
彼のプロフィールを見てみると、反TPP。反9条改定。反原発。etcetc。ははん、なるほど。

つまり、彼にとってゆうちゃんが本当に無実かどうかなどという事はどうでもいいのだ。
ただ、自分の「反体勢」というイデオロギーを主張する「道具」としてゆうちゃんを応援しただけなのだ。
ゆうちゃんが真犯人だった場合の、強迫被害者の事や、冤罪被害者の事や、なによりゆうちゃん自身の事なんて考えたこともないだろう。
こういう連中こそ「ゲス」なのである。




ところで、一つどうしても引っかかっていることが。

なにって?ほら、あの自殺未遂の件。

公園で首をくくって失敗したとか、高尾山で死に場所を探したとか、線路わきで、とか。
自白直後、ご丁寧に高尾山までライブカメラ出して「ここが片山容疑者がいた高尾山です」とレポートまでしていた局もあったけど、最初に自殺未遂という報道を聞いたとき、
「うっそでーい」
と思ったのだ。

というのも土中スマホの件をマスコミにリークした時点で、確実にゆうちゃんの所在を警察は把握していたと思われるのだね。だってリーク情報がきっかけでゆうちゃんが逃亡したり自殺したりしたら警察の汚点だからね。
とはいっても令状も保釈停止処分もでないうちに身柄拘束するわけにはいかないからずっと監視していた、と思ったのだ。それでもさすがに自殺未遂までしかけたら止めるだろうし。

その後自殺未遂に関してあまり触れられていないからどうなったのかなあ、とググってみたら、
「片山容疑者が自殺未遂は嘘と語った」
という「ニュース」の2ちゃんねるまとめサイトがずらりと並んだのだが、どうもこれは「2ちゃん発のデマ」っぽい。

警察が自殺未遂を肯定も否定もしてないっぽいのは、弁護側と「これは触れないようにしましょう」と協定したのか(警察としても保釈後ずっと監視し続けていた、という事を積極的には認めたくないはず)、はたまた弁護側が情状酌量の材料として「自殺未遂するほど反省している」とか「精神的に不安定で云々」みたいな事を切り出したら、
「後をつけていたが自殺未遂などなかった。虚偽の申告で同情を買おうとするなど、反省の色は認められない」という反論材料にしようとしているのかはわからない。

このあたりは阿蘇山大噴火氏に期待したいところだなあ。