50年前の思い出とあやふやな記憶。
過去の思い出がごちゃ混ぜになって克明に思い出せない。
「明日〇〇川の花火大会あるけど行かない?」
思い切って半分震える声でミユキを誘ってみた。
そしたら
「えーっ、でも人多いしなあ。部活もあるし無理かも」
ミユキはソフトボール部のキャプテンやってて結構まじめ。
「部活終わってからでも間に合うでしょ。6時集合ならどう?」
「チエミとサトミも誘って一緒に行こうよ」
「そっちは誰が来るの?」
「一応コージとゴトウ呼んだけど」
「うーん・・・」
やっぱりダメか、断る理由を探してる。
「じゃあ、チエミに聞いてみる。また明日ね」
ふぅ…まだ望みあるかも。
「わかった。じゃあまた明日」
まだケータイもスマホもない時代。
受話器を置いた手のひらは汗でじんわり。
――結局ミユキは来てくれた。ミユキとチエミ2人。
こちらはボク一人。
コージとコトウには「よろしく頼む」って作戦を伝えてあった。
あわよくばミユキ1人で来てくれたら、、、
なんて、淡い期待もあったけど。
3人で集合して花火会場へ。
歩いて向かう道はぎこちない時間。
ミユキはチエミとばかり喋ってこっちを全然見ない、疎外感90%。
わざと無視してんのか?
それでも「最近部活どう?」なんて話を振ってみたけど、
3人の会話はまったく盛り上がらず。
とぼとぼ歩いて会場近くに着いた頃。
「ドーン!!」
最初の花火が打ち上がった。
身体の芯に響く花火の音。
花火の光が頭上で広がって迫力あるなあ。
今日はもういいや、純粋に花火見て楽しもう。
花火が上がるたびに3人で歓声をあげて、まあ楽しい雰囲気。
屋台のお好み焼きのいい匂い。
のどが渇いて「ジュースでも飲もうよ」
屋台のおじさんに
「ベッピンさんに囲まれていいねえ」
なんて冷やかされながらジュース買って並んで座った。
ジュース飲みながら花火鑑賞。
「あー、チエミじゃん!なにしてんの?」
現れたのはチエミのバスケ部の同級生たち。
チエミはその中の1人と話してて、
「ちょっと向こうに顔出してくるね」
言い残して行ってしまった。
「・・・」
「あとでまた戻っておいでよ~」って声かけるミユキ。
2人きりになってしまった。どうしよう。
もともと望んでいた状況になったんだけど。。。
突然すぎる。

