①今年の10月1日から、ステルスマーケティング(広告であるにもかかわらず広告であることを隠す行為)についての法規制が開始した、その経緯について。
一般消費者が商品やサービスの選択を行う際に、ネット上の商品レビューやSNSでのクチコミを重視する傾向にあるなか、企業広告よりも自分の知らない他人によるレビューや、人気ブロガーや万単位のフォロワーを有するSNS上のインフルエンサーの意見を重視する傾向にあります。そのため企業関係者がその立場を伏せて商品レビューで高評価を記載する。あるいは企業がインフルエンサーに対し、自社の商品やサービスに高評価を与える記事の投稿を依頼し、インフルエンサーが企業からの依頼であることを明示せずに投稿した場合、これらは一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあります。すでにEUや米国では法規制が進んでいることからも、消費者庁は令和4年末までに有識者による検討会を重ね、年明けには運用基準案を公開してパブリックコメントを募り、令和5年の3月28日に景品表示法第5条第3号の指定となる「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難な表示」を告示し、その運用基準を公表しました。
②ステマ規制による景品表示法違反とならないためにも、具体的な対策とは?
消費者庁が公表した上記の運用基準が参考になるのはもちろん、先述の消費者庁の検討会に有識者として出席している業界団体のWOM(Word of Mouth =クチコミ)マーケティング協会が、今年の6月下旬にこの運用基準に基づいた「クチコミマーケティングに関するガイドライン」の改定を発表しています。その中では「関係性の明示」と「偽装行為の禁止」を二本柱に、一般消費者にとって、表示内容全体から、事業者の表示であることが明瞭にとなっていることをポイントとしています。「関係性の明示」とは広告主体(企業名や略称、著名なブランド名称)の明示と関係内容(謝礼をもらっている、商品提供を受けている、PR案件としての投稿、商品モニターに協力中など)の明示です。また関係タグにあっては、「プロモーション」「PR」「宣伝」「広告」の4つを具体的な表記と限定し、他の多数のタグに埋もれてしまうような場合は明瞭な表示とはなりません。
他の注意点としては、この新しい規制はSNSといったネット上の表示のみならず、雑誌媒体や編集記事、テレビ番組といったすべてのメディアでの表示が対象となることです。また特にネット上のステマ広告については、それが規制開始前の掲載であっても本年10月1日以降も閲覧できる状況にあれば、措置命令の対象となりうることがあげられます。
③アフェリエイトの広告の発注や、アフェリエーターとして受注する場合の注意点は?
アフェリエーターに発注している場合は、発注先のサイトでの紹介方法や表現のいかんによって、景品表示法の行政処分を受けるのは発注者である広告主です。そのためアフェリエーターと広告主をつなぐASP(アフェリエイト・サービス・プロパイダー)や広告代理店を介して、出稿に際しての景表法違反とならないための注意事項の周知徹底(不適法事案となり措置命令が出た場合の賠償を定める規約など)がポイントになります。反対にアフェリエーターとして受注しているのであれば、広告主からの賠償請求を受けないよう、先の注意事項や規約の精査も重要です。