世界一幸せな老夫婦から学んだ、パートナーとの幸せな生き方

世界一幸せな老夫婦から学んだ、パートナーとの幸せな生き方

初めまして、橘 大地(たちばな だいち)です。
このブログでは、わたしが19歳のときに出会った、幸せな老夫婦から学んだ教えを紹介していきたいと思います。
是非楽しみながら読んで頂けると幸いです。

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そして次の日曜日ーーーーーーーーーーーー


朝ごはんを食べ終え、出発した僕は教えてもらった山田さん家の地図を片手に、山田さん家を目指した。

(たしか、この辺のはずだけど。ん?まさか、これか。)

そこには「山田」と書かれた標識の家があった。
もちろん、山田さん家だから当たり前なのだが、僕が驚いたのはそこじゃなかった。


単純に家がめちゃくちゃデカかったのだ。僕が今まで見た家でも一番といえるほど。
3階建のオシャレなレンガ造りの家だった。

僕は少しびびりながらもチャイムを押した。


葵:「はーい」

大地:「あ、○○ジムの橘です。」

葵:「こんにちは、ちょっと待って下さいね。」


僕は広々とした庭を通り、広々とした玄関から、20帖以上はあるであろうリビングに通された。

悠太郎:「ようこそ、我が家へ。今日はゆっくりして行って下さいね。」


悠太郎さんがいつもの暖かい笑顔で出迎えてくれた。



葵:「はい、コーヒーをどうぞ。」

大地:「ありがとうございます、いただきます。いやぁ、それにしてもこんなに大きな家を見たのは初めてです。お2人で住まれてるんですか?」


悠太郎:「もう息子たちはみんな出て行ったからね。たまに孫たちが泊まりに来る以外は2人で過ごしてるよ。」


僕は悠太郎さんがビジネスを引退してるのは聞いていたが、まさかこんな大豪邸に住んでいるとは思わなかった。悠太郎さんの仕事にも興味があったが、今日はもっと大事なことを教えてもらわなければいけない。


大地:「さっそくですが悠太郎さん、葵さん、僕にこの間のお話の続きを聞かせて下さい。今日が待ち遠しくてしょうがなかったです。」


悠太郎:「はっはっはっは。僕たちも今日大地コーチと話せるのを楽しみにしていたよ。年をとると、楽しみがどんどん減っていくからね。若い人と話すだけでも元気をもらえるんだ。」


葵:「大地コーチ、今日はゆっくりしていっていいからね。焦らないで、ゆっくりランチでも食べながら話しましょうよ。」


そう言って葵さんが準備してくれたランチはどれもとても美味しかった。
知り合いの有機農家から定期的に新鮮な野菜やお米が送られてくるらしい。
インストラクターの僕から見てもとてもバランスの良いメニューだ。


大地:「とても美味しいです!悠太郎さんは毎日こんな美味しいご飯が食べられて幸せですね。」


悠太郎:「葵の料理は世界一だと思ってるからね。本当に葵には感謝してるよ。」


葵:「そう言ってくれて嬉しいわ。大地コーチもたくさん食べてね。」


2人は今日もとても仲が良さそうだった。
美味しいご飯を食べながら2人の出会いのエピソードを聞いてみた。


2人はなんと戦後のアメリカで出会ったという。
2人とも両親の仕事の関係でアメリカの高校に通ってたそうだ。アメリカの大学卒業後、葵さんはすぐ日本に帰国し、悠太郎さんは1年向こうで働いた後に日本に帰国し、その2年後に結婚したらしい。

日本人に対して差別なんかは少なかったそうだが、2人とも相当な苦労をしたであろうことが感じられた。


お腹もいっぱいになったところで、早速悠太郎さんに質問をしてみた。

大地:「この前言った通り、僕には同い年の好きな子がいます。しかし、その子に告白することができないでいるんです。どうしたらいいんでしょうか。」

悠太郎:「大地コーチは、なんでその子に告白できないんだい?」


大地:「自分でもこれだと言う原因は、はっきりわかっていないんです。ただ付き合うことに対する怖れがあることは確かです。僕は今まで付き合っても半年以上続いたことがなくて。今の人ともそうなりそうで怖いんだと思います。」


悠太郎:「なるほど。それは問題が深いかもしれないね。この間も言った通り、恋愛や結婚をするときに学ぶことが必要だと私は本気で思っている。君も何かを始めるときは、それが重要なことであればあるほど、誰かに学ぶはずだ。恋をし、告白して付き合い、愛を育み、結婚をして家庭を築いていく作業は、何の訓練もせず飛行機の運転をして空を飛ぶようなものだよ。ほとんどの人がかなり高い確率で墜落するだろう。」


大地:「たしかに考えただけでゾッとしますね。」


悠太郎:「大地コーチの悩みの根本的原因は自分のこれまでの経験や両親から結婚に対してネガティブなイメージを引きずっている可能性がある。まずはそれを一つずつ解決して行く必要があるかもしれないね。」


そういって僕は悠太郎さんから紙とペンをもらい、恋愛に関してのトラウマや、怖いと感じることに関してなんでも好きに書くように言われた。

そこには、両親がいつもケンカをしていたこと、父が浮気をしていたこと、中学のときに好きな子からフられて傷ついたこと、付き合っても長続きしないことなどを書いたのだった。

レッスン1後編に続く
あのデートから3ヶ月が過ぎた。


僕はあれから草壁と5回ほどご飯に行ったが、まだ気持ちは伝えられないままだった。

草壁も僕のことを気になってるらしいという情報はあきちゃんを通して圭祐から聞いた。
めちゃくちゃ嬉しかったが、それでも一歩が踏み出せないままだった。


バイトの方は順調だった。

アルバイトでは異例らしいが3ヶ月でパーソナルトレーニングの試験にも合格し、お客様にマンツーマンでトレーニングできるようにもなった。

僕の基本的な仕事内容は、お客様に機械の使い方やトレーニングの仕方を指導するというものだった。

もちろんたわいもない雑談なんかもしょっちゅうしている。
そのせいか、僕はおじいちゃんやおばあちゃんから人気があった。


僕のジムは会員制なので、インストラクター達の指導力はお客様が継続していけるか退会していくかの要だった。


ある日、僕はいつものように、新規の会員のオリエンテーションを担当することになった。

オリエンテーションでは施設内の説明や簡単なマシーンの使い方、体力測定などを行った。

その日は山田さんという夫婦2人での参加だった。
年齢は2人とも63歳。

友達同士や親子での参加は多かったが、夫婦2人で参加というのは僕のオリエンテーションでは初めてだった。


夫:山田悠太郎さん
妻:山田葵さん

大地:「初めまして、本日担当させていただくインストラクターの橘大地と申します。よろしくお願いします。」

悠太郎:「山田悠太郎と申します。よろしくお願いします。こちら妻の葵です。」

葵:「よろしくお願いします。」

2人ともとても感じのいい夫婦だった。夫の悠太郎さんは見るからに紳士的で、妻の葵さんにドアを開けてあげたり、飲み物を注いであげたりしている。

妻の葵さんはそれを当たり前に感じず、必ずありがとうの一言を言ったり、笑顔で悠太郎さんの話を聞いたりしていた。


2人はそれからいつも一緒にジムに来ていた。
僕のことをコーチと呼び、僕の指導も真剣に聞き、すぐに機械の使い方を覚えた。


いつ見ても2人は仲良さそうで、こちらまで暖かい気持ちになった。

ある日僕は質問してみた。

大地:「前から気になってたんですが、なんで悠太郎さんと葵さんは、そんなに仲が良いんですか?何か夫婦仲の秘訣でもあるんですか?」

葵:「そうね。でも、私たちも付き合った当初はケンカしてばかりだったのよ。ねぇ悠太郎さん。」

悠太郎:「そうだよ。多分1日1回はケンカしてたね。でも一つだけ他のカップルと違ったことは、恋愛について学ぶことをやめなかったことかな。」

大地:「恋愛について学ぶことをやめなかった?それはどういう意味ですか?」


悠太郎:「恋愛の仕方なんて学校や職場で教えてくれないだろう?ましてや、自分の親に聞くなんて恥ずかしくてできないからね。僕と葵はより良い関係を作りたかったから、本やセミナーで学び、そして実践してお互いの関係を築いてきたんだ。」


大地:「恋愛について学ぶ。。。そんなこと考えたこともありませんでした。基本的に恋愛は誰も教えてくれないもの、自分で経験して身につけるものだと思っていました。」


葵:「考えたこともないのはしょうがないわ。多くの人は友達や親の恋愛観をそのまま自分で使っているもの。例えば、親が離婚した子供というのはかなりの確率で離婚しやすかったりするものね。」


大地:「なるほど。確かに親戚にも親が離婚してその子供も結婚し、離婚している人がいます。それも恋愛について学べば解決するんですか?」


悠太郎:「かなり離婚するカップルは少なくなると思うよ。ゼロにはならないと思うけどね。大地コーチにもパートナーがいるのかい?」


大地:「いや、付き合うとかはまだなんですが、僕にも好きな人がいます。でも後一歩が踏み出せなくて。僕も恋愛について学べば、お二人みたいにずっと仲の良い関係を築けていけるのでしょうか?」


悠太郎:「もちろんだよ。そうだ、今度大地コーチを私たちの家に招待しよう。ここじゃ話しづらいだろうから、そこで色々話を聞かせてもらおう。どうだい葵?」


葵:「わたしは大地コーチが良いなら大賛成だわ。」


大地:「ご迷惑じゃなければ、是非お願いします!本当に悩んでるので、色々相談させてください。」


そして次の日曜日、まさかの展開だが、僕は山田さん夫婦の家に行くことになったのであった。




第5章に続く
あの日から僕は、草壁のことしか考えられなくなっていた。

自分の中でこんなにも草壁への想いが溢れてくるとは思ってもなかった。


圭祐:「大地、あれから草壁とは連絡とってんのか?」
圭祐はあみちゃんとかなり良い感じらしく、最近上機嫌だ。

大地:「まぁな。向こうも忙しいみたいだから、そんなに頻繁にはしてないけど。」

圭祐:「俺の愛するあみちゃん情報じゃ、草壁もあんとき満更じゃなかったみたいだぜ。お前からの連絡待ってんじゃねーのか。」

実際はあの日以来、まだ一度も連絡できてないままだった。
ジムのバイトが忙しく覚えることがありすぎて、休みの日もほとんど勉強ばかりしていた。


圭祐はもしかするとあみちゃんからそれを聞いた上でこんなことを言ってきたのかもしれない。


(よし、ご飯に誘ってみるか!)


僕は決心をして、今週の金曜日草壁をご飯に誘うことに決めた。

草壁の電話番号を10分ほど眺めて、ついに発信を押した
プルル、プルル、プルル、

草壁:「はい。」

大地:「あ、もしもし橘だけど。元気?」

草壁:「久しぶり!元気だよ。どうかした??」

大地:「あのさ、今週の金曜日なんだけど、良かったらご飯でもどうかなと思って。」

草壁:「あ、いいね!金曜はちょうど空いてたんだ。」

大地:「それじゃ、金曜の20時に。。。」


こうして念願の2人でのディナーが決まった。
草壁と2人でご飯なんてちよっと前の僕からしたら、夢のようだ。


金曜ーーーーーーーーーーーーーー


大学が終わり、急いで帰宅した僕は準備をすませ、待ち合わせの駅に向かった。

駅の時計はまだ19時半だった。
ちょっと早く来すぎたと思ったが、こうやって草壁を待つ時間もなんとなく幸せだなと思った。


しばらくすると、

草壁:「ごめん、お待たせ!」
草壁が走りながらこっちに向かってきた。

今日はこの前と雰囲気が違い、赤のワンピースに、黒のヒールという上品な感じだった。

大地:「今来たとこだよ!今日もキレイだね。なんかこの前と雰囲気違うし。」
僕は圭祐から必ず会ったら、女性の服装を褒めろとアドバイスをもらっていた。


第1ミッションクリアだ。


草壁:「ありがとう!似合ってるかな?これこの前買ったばっかりで今日初めて着たんだよね。」

大地:「めちゃくちゃ似合ってるよ!うん、俺は好きだよ。」

草壁:「なら良かった。どこにご飯行く?」

大地:「そうだな、和食かイタリアンだったらどっちがいい?」

草壁:「イタリアンかな。」

大地:「それなら、パスタが美味しい店があるから、そこに行こうか!」

草壁:「うわぁ、パスタ楽しみ!」


僕は圭祐に会ったらハグしてやろうと思った。
どこに食べに行くか悩んでる僕に圭祐はアドバイスしてくれた。


圭祐:「何食べたいか草壁に決めさせたい気持ちはわかるけど、何食べたい?って聞くのはNGだぜ。ほとんどの女子はなんでもいいしか答えてくれないから。」

大地:「じゃなんて聞いたらいいんだよ?」

圭祐:「あらかじめ選択肢を2つに絞って聞いてやるんだよ。例えば、焼肉かオムライスだったらどっちがいい?って聞かれたら答えやすいだろ?」


僕はなるほどと思った。
今までも彼女と何を食べに行くかでなかなか決まらず、ケンカしたこともあった。

こうして僕は第2ミッションもスムーズにクリアできた。


その後お店に着いて、僕たちはとても楽しい時間を過ごした。



店を出た僕たちは近くの公園に行くことにした。
2人の空間もなんとなく違和感がなくなり、居心地が良くなっていた。

地元のやつらの現在の情報や酔った勢いで、お互いの好きなタイプなど、会話は尽きなかった。

そして時間はあっという間に過ぎ、12時を回ろうとしていた。

草壁:「もうこんな時間か。もう帰らなくちゃ。」

大地:「そうだな。じゃ送るよ。」

そう言って僕は草壁を彼女の家の前まで送り届けた。


次の日ーーーーーーーーーーーーーーー



圭祐:「大地、昨日はどうだった?」
圭祐が朝一で僕に絡んできた。

大地:「お前のおかげで、完璧だったよ!」

圭祐:「何か進展はあったのか?手繋いだり、キスとかは?」

大地:「ないない!普通にご飯食べて、公園で話したぐらいだよ」

圭祐はそれを聞いてあまり面白そうじゃなかった。

圭祐:「草壁のこと好きなんだろ?早くしないとどっかの誰かに取られちゃうぜ。」

大地:「怖いこと言うなよ。まぁちゃんと考えとくよ。」

確かに、今現在彼氏もいないと言っていたが、いつできるかわからない。
飲み会に行って、僕より魅力的なイケメンなんか現れたらアウトだ。

そう思うと急に不安な気持ちになってきた。

しかし、なかなか僕が一歩を踏み出せないのにも理由があった。
前にも書いたが、僕はこれまでに最長でも半年間しか女性と付き合った経験がなかったからだ。


草壁ともし付き合うことになったら二度と別れたくない。
大好きな草壁と結婚したい。そして幸せになりたい。

僕は本気でそう思っていた。
そのためには僕がなぜ恋愛が続かないのか原因と向き合う必要があった。

でも僕はその作業から逃げていた。
そこで僕は2つ目の運命的な出会いを果たすのだった。


第4章へ続く
お店の中を店員さんに席まで案内されながら、僕は考えていた。

(こういうとき最初になんて言えばいいんだっけ?)

コンパには慣れてたがこの時は頭が真っ白になっていた。

「おー、大地、こっちこっち!」
圭祐の大きな声が聞こえた。

もう若干酔いかけてる感じがわかった。
(余計なこと言ってないといいけど。。。)

そして遂に、僕の初恋の相手、草壁みどりと中学以来の再会を果たした。

中学の時もかなり可愛かったが、薄い化粧と大人な雰囲気が加わり、さらに美しくなった草壁がそこにはいた。


大地:「こ、こんばんは!久しぶり!遅くなってごめん。俺のこと覚えてる?」
ややテンパってるのが自分でもわかる。

草壁:「久しぶり!(天使のような笑顔)覚えてるよ。とりあえず、座ってよ。」
(草壁の声だ!間違いない、夢じゃないぞ!)


大地:「あ、そだね。あ、どうも初めまして。大地と言います。」
そう言って冷静を装い、今回草壁を連れてきてくれたあきちゃんにあいさつした。


ちなみにあきちゃんは圭祐が3ヶ月前から狙っている草壁と同じ女子大生だ。
いつものコンパなら絶対にこんなかしこまった感じでは言わないのだが、今日はしょうがない。

あきちゃん:「初めまして、あきです。まさかみどりと圭祐君達がつながってると思わなかったぁ。本当偶然だね。」

圭祐:「俺もついてびっくりしたよ!世の中狭いからなぁ。ま、とりあえず今日は楽しもうぜ!大地も来たし、乾杯し直しますか。」

僕はビールを頼み、4人で仕切り直しの乾杯をした。
今日は酔わないと絶対何も話せないと思い、最初の1杯を一気飲みした。

草壁:「橘くん、お酒強いんだね。いつもビール?」
大地:「いや、そんなに強くないよ。最近ビールが多いかな。草壁は?」
草壁:「あたしは弱いから、カクテルとかかな。」

僕は草壁とこうやって普通に会話していることが何とも言えない不思議な感覚だった。
今日はこんな風にいろんな会話ができるであろうことが嬉しくてたまらなかった。

それからは、お酒の力も借りて、これでもかというぐらい話し合った。
久しぶりに会ったとはいえ、僕は草壁の性格すらほとんど知らないのだ。
草壁の好きな食べ物や好きなアーティスト、趣味とか特技とか草壁の全てに興味があった。



圭祐:「いや~今日はだいぶ飲んだね。そろそろ飲み放題の時間も終わるし、出ますか。」
あきちゃん:「そうだね。」
圭祐のその一言で、もう21時を過ぎていることに気づいた。

(お店に着いたのが19時15分ぐらいだったから。。。うわっ、もう2時間もたったのか!)

圭祐:「おい大地。おまえ草壁と良い感じだったな。俺あきちゃん送るから、そっち頼んだぞ。」
大地:「ちょ、待て圭祐。」
圭祐が小声で僕にそう言うとすぐに、

圭祐:「2人とも明日早いって言ってたよね!じゃ、俺あきちゃん家方面にこの後用事あるから、あきちゃん途中まで送るよ!大地と草壁は。。。地元同じだし、一緒に帰れるか。」

大地:「じゃ、草壁帰ろっか。」
草壁:「う、うん」

圭祐に言われるがまま僕たちは二手に別れ、駅まで歩いた。
居酒屋の中とは打って変わって気まずい空気が流れた。


しばらく沈黙が続いた後、先に話し始めたのは草壁の方だった。
草壁:「そういえばわたしたち、中学のとき付き合ってたよね。」
いきなりのストレートパンチに僕はたじろいだ。

大地:「え、あ、そ、そうだったな。あの時はごめん。」

草壁:「なんであやまるの? あのさ、一度だけ一緒に帰ったの覚えてる?」

大地:「もちろん、覚えてるよ!緊張してたから、話した内容とかは覚えてないけど。」

草壁:「わたしもほとんど覚えてないけど、一つだけ橘君が言ってくれたこと覚えてるよ。」

大地:「俺が言ったこと?え、何?」

草壁:「内緒!てか橘君恥ずかしくなるから聞かない方が良いと思うよ。」

大地:「めちゃくちゃ気になる!緊張して変なこと言っちゃったんだろな~最悪だ。」

草壁:「でもあの一言言われて嬉しかったなぁ。」
そう言って微笑んだ草壁はやっぱり、とても可愛かった。

たわいもない会話だけど、僕にとってとても幸せな時間はすぐに終わりを迎えた。
いつのまにか僕たちは駅まで歩いてきていた。

大地:「今日はありがとね。久しぶりに会えて良かった。」

草壁:「わたしのほうこそ、橘くんのこといろいろ知れて良かったよ。」

大地:「今度、良かったらまたご飯でも行こうよ。」

草壁:「わたしもそれ言おうと思ってた。是非お願いします。」


たしかこんな会話をした後、僕たちは駅で別れた。
今日、僕は確信したことがあった。

僕は草壁みどりが大好きだ!



第3章へ続く
あれは遠い昔、

僕がまだ19歳になったばかりの大学2年生の5月ごろだった。。。


大学生活にもだいぶ慣れ、友達もかなりできた。


しかし、

もともと成績優秀ではなかった僕は、だんだん授業についていけなくなり、
学校が面白くなくなってきていた。

典型的な5月病かもしれない。


唯一の楽しみと言えば、飲み会と称してのコンパぐらいだった。



(このままじゃだめだ。)


そう思った僕は今の自分を少しでも変えようとアルバイトをすることに決めた。



これを機に僕の人生を変えるであろう、運命の出会いが2つも訪れるとはこのときはまだ微塵も感じていなかったのだが。


「よーし、アルバイトで彼女と旅行代ゲットするぞ!」


そう意気込み、アルバイトをすると決めたのはいいが、
どんなアルバイトがしたいかは全然決まってなかった。

今までしたことのあるアルバイトと言えば、
中華料理屋の皿洗いくらいだった。


タウンワークを見ているとジムのインストラクターのアルバイト募集の記事が目に止まった。
(インストラクターか。。なんかかっこいいな。)

ジムのインストラクターなんて僕にできるとは思えなかったが、未経験でも研修制度がしっかりあると書いていたのでそんなに不安はなかった。
それよれもインストラクターと言う響きになんともいえないかっこよさを感じていた。


予想外にも3次面接まであったが、見事に合格し、僕は念願のインストラクターになった。


圭祐:「おめでとう大地!お前のバイト合格祝いに、今日の夜はかわいい女子とコンパ組んでるからさ!楽しみにしとけよ!」


そう言って、くれたのは中学から大学まで一緒の圭祐だった。



須藤圭祐は僕の親友でもあり、ライバルでもある。


運動や勉強も圭祐がいたからきつくても頑張れた。


好きになる女の子は違ったけど、

バレンタインデーのチョコの数や付き合った人数、
経験人数なんかでも競い合っていた。

ちなみに僕のこれまでに付き合った人数は11人で、圭祐は6人だった。


数では僕の圧勝なのだが、一人一人の付き合った期間が違う。
僕はこれまでに最長でも半年間しか女の子と付き合ったことがなかった。


この子とは長く続きそうだと思っても、そういう子に限って1ヶ月ぐらいで別れてしまう。


しかも11人中一人を除いては、
全部僕から別れを切り出していた。

付き合えなかったというより、付き合わなかったという表現の方が正しいのかもしれない。


原因は僕にあることはわかっていた。
でもその原因を見ないふりして蓋をしてきた。
そう、あの人に会うまでは。。。




圭祐は男兄弟しかいないのに、
女兄弟がいる僕よりも女性の扱いがうまい。


最長で2年間同じ彼女と付き合っていたこともあったが、
この時の僕からみたら信じられなかった。

本人曰く、自分はマメだかららしい。



「大地、今日絶対遅れんなよ!19時にいつもの居酒屋だからな!」

「わかってるって!」

そう言って圭祐と別れ、僕は一旦家に帰った。



(3時間後。。。)


コンパの会場の居酒屋まで猛ダッシュする僕。

(やばいやばいやばい!)

腕時計の針は19時15分を過ぎていた。


電車に一本乗り遅れ、完全に遅刻してしまった。

圭祐に電話してもこういうときに限って出ない。



店につき、急いで店員さんに名前を告げると、

「少々お待ちください」と言われ待たされる。


(あちゃー、こりゃ完全に怒られるな。)


そう思った瞬間、中から店員さんではなく、笑顔のけいすけが出てきた。


(あれ、なんで笑顔なんだ?)

「ごめんけいすけ!」

「いいよいいよ、それより今日のコンパなんだけどさ、なんと、草壁が来てるぜ。」

「くさかべ?く、く、く、草壁ってあの草壁!?」

「そうだよ、大地が中1の時に初めて付き合ったあの草壁だよ♡
いやー、あの子の友達がまさか草壁だとはなぁ。」

「マ、マジなのか!ちょっと先に中入ってて!俺すぐ行くから。。。」

「なんでだよ!一緒に行くぜ!ほら、早く!」

「ホントーにすぐ行くから!頼むから先に行っててくれ!頼むから!」

「わかったよ、一人じゃもたないからすぐこいよ!」

そう言ってけいすけは先に中へ入って行った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

僕の初恋の相手でもあり初彼女でもある、草壁みどり。


僕は中学1年の時彼女を初めて見て、
身体に電撃が走ったのを今でもはっきりと覚えている。


直感でこの人は僕の運命の人だと感じた。


僕はこのとき、付き合いたいを通り越して、
草壁と結婚したいと思ったぐらいだ。



違うクラスの草壁になんとかお近づきになりたいと思い、
気づいたらその晩人生初のラブレターを書いていた。


でも書いたラブレターも直接渡す勇気のなかった僕は、
なんとか女友達に頼み込んで渡してもらい、なんと、その日のうちに草壁から手紙で返事がきた。

恐る恐る中を見ると、


お願いします。


ときれいな字で一言書かれてあった。


(え?お願いします?)
混乱してどういうことかわからなかった僕は、女友達に確認した。

「みどりも大地のこと気になってたらしいよ。」

「まじで!?じゃ、お願いしますって僕と付き合うってことか。。。」


この時は天にも昇る気分だった。
喜びのあまり、この日は何ものどを通らなかった。


しかし、当時は付き合っても何をしたら良いのかわかってなかった。
当然と言えば当然だが、付き合うということに対しての経験と知識がほぼゼロだった。


草壁に朝廊下ですれ違い様に、

「おはよう!」

と言われても、びっくりしすぎて
何も言い返せなかったぐらいだ。


あいさつもまともにできなかったが、
唯一の思い出は家の途中まで一緒に帰ったこと。

そのときも緊張しすぎて何を話したか全く覚えてない。


そして極めつけは、
クリスマスの25日に2人で遊びに行く約束をしていたのに、
前日になって緊張のあまりドタキャンし、男友達とゲームをして過ごしてしまった。。。


少し長くなったが、僕がどれだけ草壁のことが好きで、
僕がどれだけ奥手だったかわかっていただけたであろうか。笑



それからほとんど何もせず、付き合って3ヶ月たったある日、
告白の手紙を渡してくれた女友達から、

「これ、みどりから」

と言われて別れの手紙を渡されたのである。


その日の夜は人生で一番泣いたのを覚えている。
悲しみのあまり、この日は何ものどを通らなかった。


今思い出しても後悔ばかり思い出される。


付き合ったというのは形だけで、
2人の思い出もほとんどなければ、、

お互いの性格などもほとんどわからないまま別れることになったのだ。
僕に勇気がないせいで。。。



あの日以来、心の奥のそのまた奥の方まで草壁みどりへの想いは封印した。


しかし、その草壁みどりが今この中にいる。


いろんな想いが頭の中を駆け巡ったが、僕は大きく深呼吸をして中に入っていった。




第2章へつづく