９月24日（日）、上野の東京文化会館小ホールで、メノッティ作曲＆台本の『‘Help! Help! グロボリンクスだ！〜エイリアン襲来‼︎〜』（全１幕）を鑑賞した。2017年にも一度演奏しているので、今回は２回目の公演となる。

ちょうど、同日同時刻に、大ホールでローマ歌劇場の『トスカ』の公演があった。広間は大賑わいで、いつもより着飾ったセレブな観客が多かった。

一方、隣の小ホールの方は、小学生の観客が結構いたりしてずっとアットホームでくつろいだ雰囲気。

オペラBOXと銘打ったこのシリーズ。上野中央通り商店会が主催の音楽イベントである。今年で20年目だとか。立派なパンフレットも頂いた。過去の公演においても、子供でも楽しめるような面白い演目が並んでいる。

『バスティアンとバスティエンヌ』（モーツァルト作曲）

『奥様女中』（ペルゴレージ）

『ヘンゼルとグレーテル』（フンパーディンク）

『泣いた赤おに』（松井和彦）

『アマールと夜の訪問者』（メノッティ）

『子供と魔法』（ラヴェル）

本日の演目『グロボリンクスだ‼︎』も、オペラというよりむしろミュージカルの趣。タイトルからして、ユーモラスだし、エイリアンに扮した子供たちのダンスがあったり、登場人物のおふざけがあったり、客席と一体になって拍手をしたり。観客席の子供たちからも笑い声が上がったりしていた。

メノッティは初めて聴いた。現代音楽は堅苦しいと思っていたが、そんなことは全くなかった。オペラのアリアはほとんどなく、むしろ、セリフの部分が多かった。

惜しむらくは、セリフが聞き取り辛かったこと。できれば、字幕を付けてほしかった。半分くらいは何を言っているのかよく分からなかったので。

今回、一番印象に残ったのは、音楽の先生を演じた佐藤美枝子。

過去に二度聴いたことがあり、ちょっとお堅い真面目なイメージがあったのだが、今回の公演を聴いて、その先入観は完全に吹っ飛んだ。かなりのベテランのはずなのに、コミカルな演技に全力投球。役を心から楽しんでいて好感を持った。

演奏は、ピアノとチェロだけという簡素なもの。

指揮者は柴田真郁。

柴田の指揮は過去２回聴いているけど、私は、今まで、柴田真耶（Maya)だとばっかり思っていた。ブログにも”柴田真耶”と書いてきた。でも、本当は、柴田真郁（Ma-iku）だった！　すみません🙇🙇

舞台は至って簡素。

この舞台の差がそのままローマ歌劇場『トスカ』とのチケット代との差になっているように思う。

『トスカ』：S席、59000円

『グロボリンクスだ！』：3850円

セレブ向けのオペラだけじゃなくて、こうした子供も一緒に楽しめるオペラの公演をこれからも期待したい。

指揮：柴田真郁

演出：岩田達宗

エミリー：種谷典子

音楽の先生：佐藤美枝子

校長先生：折江忠道

バスの運転手：岡昭宏

＜（私の理解した限りの）あらすじ＞

グロボリンクスと呼ばれる異星人が来襲する。彼らは、電子音を発し、グロボリンクスに触れられた人間はグロボリンクスに変化してしまう。グロボリンクスの弱点は何か？　それは人が奏でる「音楽」。人類を救うため立ち上がったのが、音楽の先生。彼女は、校長先生、数学の先生、国語の先生たちを説得し、連絡を絶ったバス遠足に出かけた子供たちと引率の先生たちを救うべく出発する。

『Help! Help! グロボリンスクだ！ 〜エイリアン襲来‼︎〜』【2023.9.24】

『Help! Help!　グロボリンスクだ！　〜エイリアン襲来‼︎〜』【2023.9.24】