絵画と音楽、各々のフィールドで日本を代表し、

世界でも高い評価を受ける真性のアーティスト二人、

天野喜孝とHYDE。



天使と悪魔が背半し、

混迷を極めた世界を描く作品群のモチーフをHYDEに求めた天野喜孝、

かねてより天野喜孝の作品性を敬愛し、

その思いに即座に呼応したHYDE。



天野喜孝がHYDEにインスパイアされ、

近未来の日本を舞台に混沌からの脱却と新世界の構築に挑むアート展。

巨星たちの邂逅、そして共鳴の先には・・ ・・・。



昨日は高松に、ファイナルファンタジーのイラストなどでお馴染みの天野喜孝さんが、L'Arc~en~CielやVAMPSのボーカリストとして活動してるHYDEさんをモデルにした幻想画の個展を見に行った。

中学生の頃はFFをやってたし(Ⅳが特に好き)、高校、専門学校の頃はラルクにハマっててコピーバンドで歌ってたから、この個展とコラボの事を知った時はその組み合わせに驚いたと同時に、この2人なら不思議ではないとも思った。
もちろん見に行きたいとは思ったけど、松山やなくて高松やったから行くかどうか最初は少し迷ったけど、行こうと決めてからはそれに突進していくような思いになった。

HYDEさんの存在感や雰囲気、世界観を、天野さんの創造性とインスピレーションによって形にした至高のクリエイティブでありアートであった。
実際にHYDEさんの音楽を聞いたりライブを見たり(主にVAMPS)直接会って話をしたりした上で、天野さんがHYDEさんに対して抱いたり感じ取ったりしたイメージから、天使と悪魔をモチーフにし、HYDEさんが基本となるストーリーや世界観を考えた作品群。
ラルクでも白と黒のコントラストや二面性に通ずる作風や感性が出てるから、HYDEさんから感じた天使と悪魔をモチーフにしたのもHYDEさんらしいなとも思った。

でも、作品群のコンセプトとなるストーリー上での天使と悪魔は、一般的にイメージを抱きがちな天使=善、悪魔=悪ではなかった。

ストーリーは、23世紀のTOKYOが舞台で、そこは豊かな文明や利便性、自由があるけど、人々は“自由すぎる自由”を持て余し、秩序は崩れ、肉体的にも精神的にも暴力がはびこる混沌とした世界。
ある日一人の男が死に、死後の世界で審判にかけられたのちに再び生まれ変わる。
一人としてではなく、天使と悪魔それぞれの相反する存在に。
天使は堅苦しいまでの秩序により、混沌から脱却し安寧をもたらし、人々はそれらにとりあえず安息を覚えたり従ったり。
悪魔はカリスマ性の持ち主で、天使の築いた秩序への違和感と反逆心を抱き、天使のとりあえずの秩序や安寧に対して同じ思いを抱いてた人々に支持される。
どちらが善なのか?・・・そして再び混沌へ・・・といったのが大まかなストーリー。

天使=秩序や安寧、悪魔=カリスマ性や反逆心という解釈は意外でもあったけど、それ以上に違和感どころか納得や共感を覚えた。
自分の中のそれについても考えたりもした。

ノンフィクションストーリーなのに、現実や現代社会の縮図になっているあたりに、ファンタジー作家の上橋菜穂子さんに通じる物も感じた。
ちなみに「精霊の守り人」のアニメ版のオープニングがラルクの「SHINE」だった。


ストーリーを描いた作品群は、絵そのものの素晴らしさだけでなく、画具や画材にもこだわりが出ていた。
もちろん原画が展示されていたけど、版画紙や絵の具だけでなく、上質紙や段ボール、和紙、墨、金箔、アルミ、アクリル板なども使われていた。マジックやポスターカラーマーカーで描かれたラフスケッチも展示されてたけど、それさえもアートとして存在し成立ていた。

絵だけでなく、HYDEさんをモチーフにした等身大サイズの人形による立体アートも展示されていて、それに着せられていた衣装はHYDEさんのスタイリストによる物だった。
薔薇をしき詰めた棺桶を見ると「花葬」のPVを思い出したのは、きっと僕だけではないはず。

作品そのものの中での演出。
作品そのものによる演出。
作品そのものを取り囲む物による演出。
表舞台に立つ人も裏方に回る人も、実演する人も創作する人も、主役も脇役も、プロフェッショナルもアマチュアも、優れたクリエイターやアーティストは演出力も優れているという事も肌で感じられた。


長々と書いたけど、それでもこの至高のクリエイティブとアートの素晴らしさは半分どころか10分の1も語れてないし伝えられない。
そもそもこんなに長く書いてしまった事自体がナンセンス。
百分は一見にしかず。
これは実際に足を運んで、そのアート、世界観に引き込まれるのが一番。
実際、あまりにも引き込まれて、同じところを何度も行き来してたし(ストーリーの世界観をより理解するため)、出口を出るのが本当に惜しかった。

今回見た作品群のストーリーにおける、自分の中だけでなく周りの天使と悪魔。
何だか自分が生きていく上でのテーマにもなりそうです。