今日の昼過ぎ、松山でもついに初雪が降った。


同じ冬の日でも、お日さんが出ているのといないのとでは違う。

今日は朝から曇りで風も冷たかった。

白い空のどこを探してもぬくもりなんて無かった。


コンビニに車を停めてお昼ご飯を食べてた時、ほんの少しの間に日が照ったのはありがたかった。

冷たい風が吹いていても、真冬の陽射しはたとえ少しの間でも暖かく優しく包んでくれる。

遠いあの日々の事を思い出さずにはいられないほどに暖かく優しかった・・・。


再び車を走らせる頃には青空はかけらさえも残さず、太陽も白く冷たい空でぼんやりと霞んでいた。

そして、降っているのか降っていないのか分らない静かな雨が降り出した。

音は無かったけど、風に吹かれ時々激しく降っているかのようにも見えた。


風がさらに冷たくなっていく。

遠くの方の空を見ると、濃いめのブルーグレーの色をしている。

「この季節、雲がああいう色をしてると・・・」と思っていたら、フロントグラスに落ちた一粒の雨が他の雨粒と何だか一瞬色が違っているように見えた。

ほんの一瞬だけどそんな風に見えた。


すると降り続けてる小さく静かな雨がその一粒と同じ色になっていった。

見間違いじゃなかった。

この街にもこの冬の初雪が降った。

黒いワイパーに落ちた雪はその白さが一層際立って見える。

でも、すぐに解けて消えていった。

まるで一瞬の出来事のように、小さくて儚かった。

その小さく儚い一瞬の出来事が絶え間なく降り続いていた。


この街にいるどれだけの人がこの雪に気付いているのだろうかと思った。

どれだけの人が小さく儚い一瞬にささやかな感動を覚えているのだろうかと思った。


10分くらいだったのかな?

いや、もっと長かったのかな?

それとも、もっと短かったのかな?

一体どれだけの時間だったのかな?


この街でこの冬初めての小さく儚い一瞬の出来事が続いた短い時間だった・・・