「松山のGLAYになりたい・・・」


18才の時にそういう想いを抱き、どこのメーカーなのかも分からないベース(黒のモッキンバード)をとりあえず友達に3流メーカーのミニアンプも付きで15,000円でで売ってもらった。

今にして思うと高い気もするが、とにかくリスナーとしてではなくプレイヤーとしてロックに足を踏み入れたかった俺にとっては高くは思わなかった。

ちなみに、このベースを買う前から、まずはこのベースで練習してから、バイト代が貯まったら黒夢の人時モデルを2本目に買おうを思っていた。

結局2本目に買ったのはラルクのtetsuモデルやったけど・・・。


俺がベースを始めた頃、親父が俺に「バンドやるんはええけど、お前譜面読めるんか?」と言われた。

親父も実は若い頃にギターでGS系のコピーバンドをやっていたのだが、俺の音楽の成績がせいぜい2か3やった事も、譜面もろくに読めない事も知っていた。


そんな俺でも4拍子と3拍子と音符の長さは、ベースを買うよりも前に買っていたGLAYのアルバム「BEAT out!」のスコアを実際の音源を聞きながら、音と譜面を照らし合わせて見て、音符の長さや繰り返し記号などを何となく感覚で勉強していった。

それに五線譜が読めなくてもTAB譜があるけん、曲の流れが分かってて音符の長さや繰り返し記号の最低限の感覚が分かれば、コーダやダルセーニョで譜面上の行き先がどこなのか分からなくなっても、ベースは弾けると思っていた。

コード進行やのスケールやのは全く理解していなかった。

スケールは唯一メジャースケールをかろうじて覚えたくらい(笑)。


最初のうちは、そんな感じで自分の好きなバンドの好きな曲(ビジュアル系ばかり)をTABを見てコピーしていた。

五線譜はあってないような物やったけど、表記されてる音符の長さは同じやけん、4分や8分以外の音符でその感覚がまだ分からない時は、実際の音を聞きながら感覚を掴んでいった。

付点8分の感覚はラルクの「Voice」、2拍3連の感覚はGLAYの「月に祈る」で身に付けた。


19の時にボーカルに転向してからも、好きなバンドの好きなアルバムのスコアをチェックしたり買ったりしていた。

ベースでスコアを読んでたおかげで、譜面がロクに読めなかったのが嘘みたいに、実際の音を聞いたり音を出したりするだけでなく、その譜面を見るのが好きになっていた。

ボーカルとベースだけでなく他のパートも。

どのパートをやるにしても、周りの音もちゃんと意識しないといけないし、そういう意識も音楽をベースから始めたお陰で持つようになっていた。

今年に入ってからも、UNICORNとチェッカーズのスコアを買ったし、去年はジャンヌとジュディマリのスコアを買った。


ボーカルに転向してからは、歌にはTAB譜が無いけん、五線譜もちゃんと読めるようになろうと意識した。

そうする事で、メロディや音程の取り方、トップノートがどの音なのかチェックできるようになった。

でも、22の時にやってたバンドでベースをやってた時は、ついつい昔の癖でTAB譜に頼ってしまってた。

少し遡って、20才の時にギターを買った時も、TAB譜に頼ってた。

弦楽器を弾く上でスコアを見ることに関しては、わたくしはどうやら万年TAB譜人間のようでございます(笑)。


音楽を始めてからの最初の3年間は、曲作りに関しては俺は作詞専門で、作曲は他のメンバーにまかせようと思っていた。

ギターを始めて半年近くになった頃、何げなくFのコードを鳴らしたらLUCAのインディーズ時代の名曲「GLARE」(当然スコア化も歌本かもされていない)のサビの1小節目の音と合ったので、そのままその時の自分が知ってるコードを色々弾きながらコードを拾って行った。

この時初めて、作曲もやれるようになろうと思ったのだが、当時は自分でそれを譜面にしようとまでは思ってなかったような気がする。


そんな感じで詞に使いたい言葉を作詞ノートに書き溜めていく一方、使いたいコード進行のネタも考えていった。

24歳の時にあるオリジナル曲を作るために、メロディを忘れてはいけないから、それをちゃんと五線譜に書いた。

そうする事で、前述した通り音程の取り方もチェックしやすいし、そのメロディがそのコードにおけるスケールに合っているかもチェックできた(それでメジャーで考えてたコードをドミナント7thに変えた所もあった)。

そうして作った曲が俺のオリジナル曲第1号で、一時期は俺のソロのライブの定番曲でもあった「AWAKE」です。

こうやって俺が歌メロを五線譜に書いて作った曲は、この「AWAKE」も含めて3曲だけ。

あとの曲は、譜面に書かずに作るようになり、CRYSTAL EDGEで作った曲もコード譜やリズム譜(クリスの練習の必需品)は書いても五線譜を書いて作った曲はいまだに無い。

でも、それもたった3曲でも五線譜に書いて曲を作った経験のお陰なのかもしれない。

既存の曲の譜面を見るのではなく、何のマニュアルも無い自分だけの曲を自分で譜面にする事によって、音符の長さの感覚を今まで以上に勉強できた。


青木ドラム道場の館長としてもお馴染の青木智和さんのブログに、ドラム譜は書けるようになった方がいいという事を書いていた。

書けなくていいだろう的な発言の人は問題ありという事も書いていた。

そして、書けた方が新しい音楽の世界が見えてくるとも書いていた。


俺は曲を作る時に五線譜に書かないし、ベースのアレンジもコード譜やそれに要所でリズム譜を書いても五線譜にもTAB譜にも書いた事がない。

でも、「譜面なんか書けなくても良い」とまでは思っていない。

書かないのにそんな事を言っても説得力には欠けるかもしれないが、譜面は読み書きできた方が良いとは思ってる。


かっこ良く言えば、俺は譜面が書けないのではなく書かないだけである。

ただ、書けても一般的に言われる譜面の書ける人よりも時間がかなりかかる(笑)。

書く事をめんどくさがっているというのが実情やけど(いかんやん!)、結果的には譜面無しでも演奏はしている。

ただ、それをちゃんと譜面に書けるかどうか、あるいは音符の長さだけでも理解して五線譜やTAB譜にはしないにしても、最低限の譜割を理解し、それをいざ書こうと思えばたとえリズム譜でも音符で書けるかどうか・・・。

あれ?だんだん自分の都合のいいようにハードルを下げてるなぁ(笑)。


最近は、実際に譜面に書かないにしても、テレビやラジオ、お店のBGMなどで流れる音楽のベースを聞いて、それがどういう譜割なのかを頭の中でリズム譜にする事を意識している。

例え基本譜面を書かない方であっても、譜面の読み書きは今以上に強くなりたい。


久しぶりに自分の好きなバンドの曲をバンドスコアを見ながらでもコピーしてみようかな。

昔みたいにスコアに頼りっぱなしになるだけではなく、耳コピも織り交ぜたり、自分でアレンジしたり、コード進行やスケールもちゃんと意識して、自分でコード譜やリズム譜にしたりして。


自分も気に入ってる曲でもあり、かっこ良い曲でもあって、自分のレベルアップにもつながって(簡単な曲ばかりをやろうとしても成長は望めない)、クリスをやる上でもベースだけでなく全体のアレンジの参考にもなって、基本のリズムパターンもキメもかっこ良い曲・・・。

よし!この曲にしよう!!


Janne Da Arc「RED ZONE」

http://www.youtube.com/watch?v=zJhIKoqKwh4&feature=related