外は雨。

 

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中途半端な古さのこのアパートの特典は、駅前だということで、日本にいた頃からテレビのない生活だったのだけれど、なんだかテレビ付きの部屋に越して来たように話題が尽きない。


深夜二時から始まった道路工事も、駅前の広場での奇声も、傘の海も、これから雨が降るんだなという事を教えてくれる。

 

お気に入りの白いリネンの半袖を着てこのブログを書き始めたつもりだったのに、クリーニングに出したばかりだというのにギュウギュウのスーツケースに虐げられた皺だらけのトレンチコートを着る機会もあまりないまま、冬は駆け足でやって来た。

 

この数ヶ月はそのくらいあっという間で、その間にSiriのように定型文がインプットされるほど聞かれたウィーンでの暮らしや不便さについて、例えばここでの暮らしに何か文句をと言われれば、ビジネスホテルに負けない小ささの冷蔵庫だとか、隣の部屋の住人が週末になるとドスドスと同じ曲を深夜まで永遠に続くように流すものだから、若干寝不足気味だということくらいしか思い出せない(現在進行形で改善の兆しは見えないけれど)

いや、不便な事や嫌な思いをした事だって、今日の雨粒の数よりも本当はもっと沢山あるのだろうけど、それはここにいるからではなく、日本にいたって変わらなくて、だからそれは私の中でカウントされてないのだ。


それでも、時々無性に日本が恋しくなる日もあるけれど。