- 極楽カンパニー/幻冬舎
- ¥1,575
- Amazon.co.jp
1998年の発行と結構古い本だが、友人に薦められて読んでみた。
ここ最近のお気に入りの作家さんなので、期待して読んだのだが・・・
やっぱり期待を裏切らない抜群の出来だった!
話は、定年退職を向かえ、日々を謳歌しようと楽しみにしていたものの、実際に仕事のない生活に、何か充実感を味わえないで、悶々と暮らす、おっさんたちの物語なのだが、1つの出会いをきっかけに、面白おかしい話に展開していく。
かつて日本の企業戦士と呼ばれ、この国を牽引してきた、おっさんたちにとって、やはり仕事は何よりの趣味であり、楽しみであったんだと、思い知らされるストーリーになっている。
現在、長く続いた不況の世の中では、頑張っても頑張っても成果が上がらず、逆にどんどん悪化していくような、つまらない体験をさせられている今の企業戦士たちに、仕事を楽しむような余裕があるだろうか?
身を粉にして、リストラの穴を埋めるべく、サービス残業をしても、明日はわが身と将来に期待を持てないような時代だ。
そんな時代とは違い、いろいろなことがあったにせよGDPが右肩上がりに成長していたのだから、最終的にはバブルへ向かって楽しい思いも出来た。
毎年、少ないながらも給料も右肩上がりの終身雇用制度が生きていたのだ。
そんな会社という枠組みに心地よさを感じずにはいられないのだろう。
おっさんたちが集まって設立した『株式会社ごっこ』はそんなおっさんたちの夢を再現してくれるすばらしい組織になっていくのだが・・・・
ここからはクライマックスになるので書けないが、最後にはこの不況の申し子のような若者によって、その夢はぶち壊されてしまう。
なんという因果なのだ。
是非、定年退職した壮年のおっさんにも、現役で苦しんでる青年もどきのおっさんにも、読んでもらいたい。
ある意味日々の生活に違った光が差すかもしれない物語なのだ。