四国遍路の道中、楽しみにしていたコトのひとつが『讃岐うどん』だった。

 

 普通の旅行であれば、書籍やネットなどで名店を調べまくったりするのだが、遍路道から遠く逸れたり行列に並んだりして時間を取られるのが嫌だったので、道中に在るお店をテキトーに選ぶことにした。うどん屋の密度が半端なく、コンビニやガソリンスタンドよりも多いので、店を探す必要がない。うどん県と呼びたくなる気持ちが良く分かる。

 お店は有名な個店からチェーン店、製麺工場の直営店など多彩で、喫茶店などでもメニューにうどんが欠かせないらしい。

 

まずは、『しょうゆうどん』からスタート

 

最初に入ったのはこんな感じの店だった

 

 多くのうどん屋には『セルフ』と書かれた看板があり、トレーを持って並んで注文する方式は大分でも馴染んでいたので違和感がなかったが、てっきり本場では自分で麺を湯がく店ばかりだと思っていたので、少々肩透かしをくった気がした。

 肝心なお味の方はと言うと、これといって特別な驚きはなかった。丸亀製麺にしょっちゅう行っているからだろうか?いつの間にやら、讃岐うどんと馴れ合いになっているようだ。

 

 しかし、本場の味を脳に刻み込むように次の日も朝からうどんを食す。

 

かけうどんだと野菜不足になるのでワカメをトッピング

 

 この店も旨いことに変わりはないが、特に感想は無し。

 

 だんだんと飽きてきたが、ココはもうひと押し。

 お昼もうどん屋に入る。どうやら、最近オープンしたお店のようでハツラツとした若いスタッフの接客が清々しく、満面の笑顔で『次回かけうどん半額券』なども頂いた。

 

釜玉うどんに大きな海老天をトッピング

 

 3度目にして、初めての満足感。かけた醤油がうまかった。

 

 店内は老若男女、学生からお年寄り、OLなど多くのお客さんで賑わっていた。女性ひとりでも抵抗なく、ズルズルっと豪快にうどんをすすっているところが、いかにも『うどん県』らしい。

別府で風呂桶持って当たり前のように公衆浴場に出入りする姿と似ている。

 

 釜玉うどんをすすりながら、前日のことを思い出した。

 

 912mの標高にある66番札所雲辺寺には、ロープウェイに乗って参拝した。

 ロープウェイの窓から平野を見下ろすと、国東半島同様に溜池が多く点在していた。

いや、もしかすると国東よりこちらの方が多いかもしれない。乗客も私ひとりだけだったので、ガイドのお姉さんに尋ねてみた。

 

「この地域は雨が少ないんですか?」

 

「はい。雨の日数というよりも、降水量が全国的にみてもかなり少ないらしいです。」

 

 なるほど。それで腑に落ちた。

稲作よりも小麦栽培に適しているから、うどんなのだ。どちらが先か分からないが、国東も古くからうどんを食べる文化が根付いていて、お接待やハレの日には必ずうどんが出てくる。

 さらに出汁の原料となる小イワシや塩田にも恵まれ、良質な醤油の製造にも長けている、となれば主食が米でなくうどんになってもおかしくない。

 四国と国東の共通点を見つけた気がする。

 

 

 

 

 でわ!