蕎麦による地域振興が全国的に盛んになり、旅の先々でご当地蕎麦を楽しめるようになったのは、蕎麦好きな私にとって嬉しい限りである。
ラーメンと違って当たり外れが少ないのも魅力のひとつだが、蕎麦は他の麺類と違って、麺そのものの食感だけでなく香りを味わうという醍醐味がある。
それどころか、つなぎの多い蕎麦でも素麺やうどんのように違和感なく食べれるし、真っ白い蕎麦の上品さも全然オッケー。
高級蕎麦屋で呑むのも旨いし、ガード下やホームの立ち食い蕎麦も好き。
或いはたまに秘境のような山間で出てくるようなゴツゴツした太く短く、香りの強い田舎蕎麦などに出会った時は思わずガッツポーズしたくなるほどだ。
蕎麦という食べ物を一定のカタチにはめるのでなく、自由に羽ばたかせてあげたい。
蕎麦通の方々は邪道だと仰るかもしれないが、私はそのように楽しみたいと思っている。
そもそも、現在の殆どの蕎麦が品種改良された同じ種のものだということも案外知られていない。
その土地ならではの在来種、ご当地ならではの食べ方で食べるというのが最高の贅沢じゃないだろうか。
行く先に味わったことのない蕎麦があるから旅に出るのであって、こうじゃなきゃいけないという蕎麦なら馴染みの店に通えばよいのだ。
旅と蕎麦、それは広く、深い世界。
仕事で訪れた兵庫県豊岡市但東町。
赤花地区で栽培が続いている在来種の蕎麦は、風味が良く粘りも強いので、古くから十割で提供されている。
最初は、そのままツルッと。
んーーーんーーーんーーーこの、香りがたまらない。
御汁だけ、わさび入れ、ネギ入れ、と段階的に。
この微妙な加減を楽しむのもイイ。
メニューには、御汁のない『水そば』もありんす。
いやいや、御馳走様でした。
ふと、他の席に目をやると、県外から観光客やライダーの皆さんも多く訪れていた。
そして、
この夏から、阪急百貨店で贈答用の超高級品として商品化されるとの事。
社長さんに出来上がったばかりのサンプルを見せていただいた。
瞬間急速で冷凍し、マイナス40度保存。
沸騰したお湯につけるだけで、挽きたて、打ち立て蕎麦の出来上がり!
もらって嬉しい贈り物、だけど但東町に来て食べるのが一番ですよ~!
でわ!
赤花 そばの郷