比叡山坂本と京都の町歩きで、すっかり『魔除けフリーク』になってしまったワタシだ。
最終日は奈良に行こうと決めていたが、今さら東大寺や奈良公園に行く気はなかったし、雨天だったので飛鳥や吉野方面へ赴く気力もなく・・・ひとまず奈良駅前の観光案内所でパンフレットや情報を仕入れ、駅構内のモスバーガーでモーニングのバーガーをかぶりつきながら行程を考えた。

奈良観光案内所 
 基本ルートは、こんな感じ。
駅から商店の続く三条通りを興福寺まで突き抜けて南下、奈良町と呼ばれる古い町並みの商家や住宅、神社仏閣などを見学しながら、JR京終駅まで歩く3km強のコース。 当然、時間の制限などないので、気になるものがあれば、どんどん脱線しても構わない所存である。

奈良ルート

当初の思惑通り、三条通りに並ぶ企業や商店は現代風の商店街で何の楽しみもなかったが、奈良町へ入った途端、魔除けモード全開で結界を張っている商家や住宅が現れる。こちらも、見逃さないように集中して見て歩く。

粽と柊鰯(奈良)

防火用バケツ奈良 
粽に柊鰯、見つけるたびに胸が高鳴る。
防火用バケツがあるのもいつしか見慣れた光景になっていた。

と思っていたら
なんだかヘンテコリンな物を見つけてしまった。

身代わり申1 
どこの玄関先にも、紅と白の団子のようなものが吊るされているではないか。 
歩き進んでいるうちに、粽よりも紅白団子の方が圧倒的に多いことに気づいた。
旧家を開放した『奈良町にぎわいの家』という展示施設の窓口の女性に
「あれは何ですか?」と尋ねたところ
「庚申様のお猿さんです。」 と予期せぬ答えが帰ってきたのである。
すかさず、「猿田彦大神様のことですか?」と聞いてみると
「何と説明すればいいのか・・・」 かなり困惑されている様子。
これ以上困らせても厄介な観光客にしかならないので、お礼を言って施設を出た。
少し歩いていくと・・・

奈良町資料館 
『奈良町資料館』という無料の入場施設があったので、入ってみた。
http://naramachi.co.jp/migawarisaru
 
ここに来てようやく、謎の紅白団子の招待が掴めた。
彼の正式名称は、 『身代わり申(みがわりさる)』
60日に一度の徹夜集会をしない代わりに、この申を吊るすことで魔除けにしているのだという。お腹にあたる部分には、「交通安全」とか「家内安全」など願い事が書かれていて、サイズも大きいものから小さいものまで色々あって、お守りであり、お土産でもあるのだ。ちなみに軒先に吊るしてあるのを『くくり申』と呼ぶらしい。

腹の願い事 

近くに『庚申堂』というのがあったので行ってみた。

庚申堂1 
 庚申堂2 
 流石にハンパない。

見ざる言わざる聞かざる 
 屋根の上にもニクい限りの、見猿聞か猿言わ猿、である。

そして、もうひとり屋根に登る英雄を見つけた。

 鍾馗1 
 鍾馗2 
 鍾馗3 
 彼の名は、鍾馗(しょうき)。
実を言うと、京都市内でも見かけていたのだが、なんだか分からなかったので、帰宅してから調べてみたのだった。 
(※参考サイト)
http://www.kyogawara.com/kodawari/syouki.html

媽祖信仰で登場する千里眼と順風耳に似たいでたち。
唐の時代からの縁起物というから、これまた古い。

こんな風に、町を歩いていて、その土地ならではの文化とか、風習を見つける旅が面白くてたまらない。
住んでいる人にとっては、ごく普通の当たり前なことが、遠く離れて暮らす人にとっては、全くの異文化・異世界のように思えるのだ。
今回は新たな魔除けというテーマで3つの町を歩いてみた。
九州・大分に帰っても、何かの発見につながるかもしれない。





 でわ!