わびのリードをにぎったまま、
腕を組み、
やっぱり、空を見上げる小夜さん。


きっと、すぐにやみますよ。


せがれが言えば、
5秒後に
小夜さん、大きくよろめく。


なんか、
今の言い方、
なんか、
なんか、
すごくよかった。


真面目に言って、
せがれを見て、
にっと笑う。



ぼくには、あなたがわかりません。


せがれが、
冷たく言えば、



小夜さん、せがれに手をかざして、
遊ぶ。


見える。
見えるぞ!

青柳青年と別れて、
家路を急ぐ、せがれ。

雨にふられてしまった。


やっと商店街にたどり着くと、
うらめしげに
空を見上げる
やっかいな人と目が合う。


あ、せがれ。



わびを連れた、小夜さんだ。



近づきながら、
せがれ、
笑って言う。


なんか、
西郷さんみたいですよ。


わかってる。
そこは、ちゃんと意識して、
立ってるの。


迷いのない小夜さん、
失笑するせがれ。


意識してたんですか。
なら、よかった。

だれがどう見たって、
はるは、
小夜さんのこと好きなのにな。


そんなことないでしょ。


わかんない方が
少数派。


せがれ、ずるずると
机につっぷす。


当人が・・・。


あの人、ねぇ。
すてきな物語、書くのにねぇ。