ある日、バスに乗っていると日本人の青年に出会いました。

ひとり旅のその青年に話を聞くと、グレックシュタインヒュッテ(Gleckstein Hutte)に行くとのこと。
グレックシュタインヒュッテ?その刹那、聞いたことのない名前に胸がときめいてしまいました。彼の話だと、そのルートではシュタインボック(アイベックス...ツノのでかいヤギ)が見られることも多いとか。

ますますときめき。

ということで、人の影響を受けやすい私は数日後の休みを利用して早速グレックシュタインヒュッテへと行って参りました。



グリンデルワルトからグローセシャイデック行きのバスに乗り込み約20分。グレックシュタインヒュッテへの登山口に到着。

バスを降りたところからすぐにトレイルが始まります。

(↑歩き出して数分でこの風景。20mほど先に人が歩いているのが見えますか?)

朝のひんやりとした空気を味わいながら歩いて行くと、すぐに目の前には大きな岩壁が。
石灰岩の白い岩の塊に張り付くように作られたトレイルをなぞっていきます。
足を滑らせれば数100m下まで真っ逆さま...というような山道を進んでいきます。
(とはいうものの、道はしっかりしているので北アルプスの山などに慣れていれば問題ありません)


深い谷に入っていきます。左上、谷の奥に見えているのはシュレックホルン。
4000mを超える山々が連なっています。


氷河に削られた深い谷。
真っ白な石灰岩と青々とした緑のコントラストが眩しい。
目の前に広がる一つ一つの風景がどれも大きく、日本では決して見られないスケール。


氷河に形作られた大きな谷。
この景観を作り出した自然の営み。その悠久の時を想いながら進みます。


つ、冷たい!
キンキンに冷えた水をくぐるようにして先へ。なるべく濡れないように足早に通り抜けたつもりでしたが、しっかり濡れる。
背中に水が入って、ヒャッ♪ってなりました。
楽しい。


黙々と登ること約2時間、ガスの合間からヒュッテが見えてきましたよー!標高は2317m。スタート地点が標高1558mでしたので、800m近く登ってきました。

それにしても、スイスの山小屋はどこも本当に立派。ホテルのようです。
日本はボロっちいこやも多いですが...日本の新しい山小屋はスイスの小屋にも劣らないと思います。

(↑小屋からの眺め)

小屋のテラスに腰掛けしばし休憩。
目の前に広がる氷河とシュレックホルン。雄大だ!
20年ほど前まではこの氷河の上に立つことができたそうです。しかしながら、温暖化の影響で氷河はズンズン後退。今では近くまで行くことも難しくなってしまいました。

(↑小屋からの眺め)


1時間ほど小屋で景色を堪能して、下山です。名残惜しくて、何度も何度も振り返る。




氷河と滝。
遠くにあるので小さく見えますが、こんな滝の一つ一つも、数100mの高さがあるのだろう。
地球はなんて大きいんだろう。

(↑振り返って、登山者と山小屋)


U字谷の先にグリンデルワルトの町が見えます。そうそう、夜にグリンデルワルトから見上げると、グレックシュタインヒュッテの灯りが見えるのです。
ヴェッターホルンの右下にチラチラと灯りが揺れているので、グリンデルワルトに来られた際はぜひ見てみてください!


登るときはぜえぜえ息も上がり、風景を見る余裕も無かったりしますが、下りだとよく見える。
いかにこの岩壁が大きいか。下山時にやっと実感。山と比べて登山客の小さいこと...。

自然の作り出す雄大で繊細な造形。大きく、強く、美しい!!!

テクテク下ってスタート地点のバス停へ。
下山時にはたくさんのファミリーとすれ違いました。道幅が狭く危険なところもあるので、小さな子どもにはハーネスやスリングで安全確保をしていました。
巨大アスレチック気分で、子どもたちも楽しそうでした。


大きな岩や氷河に圧倒され、自然の美しさを改めて実感したグレックシュタインヒュッテへのトレッキング。
またまた、自然が好きになってしまいました。